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携帯で改札を通れる「モバイルSuica」、2006年1月にスタート

協力してモバイルSuicaを進めていくソニー 代表執行役社長の安藤 国威氏(左)、JR東日本 代表取締役社長の大塚 陸穀氏(中央)、NTTドコモ 代表取締役社長の中村 維夫氏(右)
 JR東日本は、非接触IC搭載の携帯電話で電車に乗車できる「モバイルSuica」を2006年1月に開始すると発表した。

 「モバイルSuica」は非接触IC搭載の携帯電話が乗車券になるサービス。NTTドコモ、ソニーと協力して、電子マネー機能や定期券機能、普通列車のグリーン券購入機能など、現在カード型のSuicaで提供されている機能は全て使えるようになるという。

 携帯電話と1つにまとまることによる新機能としては、携帯電話のネットワークを経由して、電子マネーのチャージや定期券の更新が可能になる。また専用iアプリによって、電子マネーの残高や利用履歴が確認できる機能がサポートされる。なお、利用できるエリアは、首都圏のほか、仙台周辺、新潟周辺になる予定。

 2007年度には、「モバイルSuica」で新幹線も乗車できるようにする。3社では今後、iモード FeliCaを利用したフィールドテストを2005年3月より開始する。このテストでは、関係者のみが参加する小規模なものになるとのことだが、現在Suicaが利用できる場所であれば、全てテストに利用できるようにするという。

 3社では22日、都内で記者発表会を開催。JR東日本 代表取締役社長の大塚 陸穀氏、NTTドコモ 代表取締役社長の中村 維夫氏、ソニー 代表執行役社長の安藤 国威氏が出席し、各社から見た「モバイルSuica」への期待や今後の抱負などが語られた。


携帯で利用できることの大きなメリットは、残高などを確認できることと通信を活用した機能だ 将来的には新幹線のチケットや決済サービス、広告配信なども視野に 会場の試験端末に搭載されていた専用アプリのトップ画面。最終的にはFlashを利用したインターフェイスになる予定だという

利用履歴を確認したところ 定期券情報の確認画面 通信機能によって、電子マネーのチャージや定期券の更新などが可能に

JR東日本、携帯との融合で利便性向上を図る

JR東日本 代表取締役社長の大塚 陸穀氏
 JR東日本の大塚社長は、鉄道の乗車券としてスタートしたSuicaは、発行枚数が現在1,090万枚に達しており、「電子マネーなど鉄道分野以外での機能がユーザーに受け入れられた」と述べ、「Suica事業は、(JR東日本にとって)第3の柱と捉えており、モバイルSuicaは、Suica事業のコアを担うツール。3月からフィールドテストを実施するが、これは実現に向けたカウントダウンが始まるということ。3社が手を取り合って、モバイルSuicaを推進していくことに合意し、日本における新しい通信インフラを構築していく」と決意を表明した。

 JR東日本にとってのメリットとは何か、大塚氏は「通信機能と画面表示機能がプラスされたことで、利便性が大きく向上する。ネット購入した商品の決済サービス、ポイント交換サービスなどでも利用できるだろう」とユーザーのメリットが大きいことを指摘。

 また鉄道運営に関しても「ネットワーク経由で乗車券、定期券が購入できることで、窓口の利用頻度が下がるのではないか。そこで駅構内に新たなスペースを生み出せる可能性もあり、駅という資産価値の高い場所では、非常にプラスになる。生活サービス事業の収益に貢献するだろう」と語った。

 またドコモ以外の携帯電話事業者との協力体制について同氏は、「現在、他のキャリアにも提案している。当社の考え方に賛成してもらえるのであれば協力して進めていくだろう」と説明し、auやボーダフォンなどの端末にもモバイルSuicaが搭載される可能性に含みをもたせた。

 また、JR西日本のICOCAなど他地域のJR各社との連携については「JR東日本だけにクローズする気はない。声がかかれば、できるだけ協力していきたい。ユーザーから“便利にしてほしい”という声が挙がれば、そういう方向にいくのではないか」とした。


ドコモ中村氏、来年度末にはiモード FeliCa1,000万台を目指す

NTTドコモ 代表取締役社長の中村 維夫氏

ドコモ夏野氏は、モバイルSuicaの登場に対して「非常に嬉しい」
 NTTドコモの中村社長は、「iモードで携帯電話は、通信インフラからITインフラに進化したが、昨夏スタートしたiモード FeliCaで生活インフラに進化する。鉄道という、生活に欠かせず、生活に密着したインフラとの融合は大きな一歩だ」の期待を寄せる姿勢を見せた。

 続けて同氏は、「Suicaとの相乗効果で成功を収めていきたい。2005年度末時点で1,000万台を目標に、おサイフケータイの拡大に努めていく」と具体的な数値を掲げた。また、2006年にも提供される見込みのナンバーポータビリティ制度に関連して、「端末やネットワーク、コンテンツなど総合的な戦いが予想される。そのコンテンツの1つとして、大きな要因となるモバイルSuicaが発表されたのはありがたい」と語り、他社との差別化で有利になるとの見方を示した。

 iモード FeliCaのスタート以来、端末を紛失するリスクが指摘されているが、この点について中村氏は「現在でも指紋認証や遠隔ロック機能を提供している。できる限りのことはしていきたい」と述べたものの、具体策について触れなかった。また「モバイルSuica」が利用できる機種については、「フィールドテストで精査する予定だが」と前置きした上で、「既に販売済の900iや901iシリーズでも利用できるようにする」と述べた。iモード FeliCa対応機種としては、506iシリーズの一部にラインナップが用意されているが、それらは非対応機種となり、基本的には900i/901iシリーズのサポートに留まるようだ。

 また、NTTドコモの夏野 剛氏は、「iモードの誕生日である2月22日に発表できた。もともとiモード FeliCaは、JR東日本から提案されたことでスタートしたものであり、今回モバイルSuicaが3社揃って発表できたのは非常に嬉しい」とコメント。

 モバイルSuicaが、iモード FeliCaの普及にどのような影響を与えるのか、同氏は「起爆剤にはなり得るが、JR東日本だけのサービスであり、“本命”と呼ぶのは違うのではないか」との見方を示した。今後、iモード FeliCaが取り込む新たなジャンルがあるとすれば、「タクシーや個人商店などの少額決済ではないか」と語り、より一層、生活に密着した存在にしていきたいとした。


ソニー安藤氏、FeliCaのセキュリティ面をアピール

ソニー 代表執行役社長の安藤 国威氏
 ソニーの安藤社長は、「我々が普段手掛ける製品は、技術革新が激しく、商品サイクルがどんどん短くなっている。しかしFeliCaは20年間かけて大切に育ててきたビジネスの1つ。他にも非接触ICの規格は存在するが、それらとの大きな違いは(データをやり取りする)スピードとセキュリティの2点。特にセキュリティ面では、日本だけで4,500万以上、全世界で7,000万以上を出荷してきたが、偽装チップは現われていない」と述べ、安全性をアピール。同氏は「モバイルSuicaは、壮大な挑戦と受け止めている。3社で手を取り合って進めていきたい」と語った。

 また、電子マネー「Edy」を提供するビットワレットは、ソニーとも関連がある企業だが、Suicaの電子マネーと競合するかどうかについて、JR東日本大塚氏および安藤氏ともに「競合する場面はあるかもしれないが、まずは電子マネーというマーケットを底上げすることが重要。競争することで広げていきたい」と述べた。

 会場には、Suicaのイメージキャラクターを務めるタレントの西原亜希も登場し、会場に設けられた改札機やキオスク風のコーナーで、試験端末を用いて体験デモを披露していた。


Suicaのイメージキャラクターを務める西原 亜希も登場 iモード FeliCa端末を使って、デモを披露した


URL
  JR東日本 プレスリリース(PDF形式)
  http://www.jreast.co.jp/press/2004_2/20050213.pdf
  NTTドコモ ニュースリリース
  http://www.nttdocomo.co.jp/new/contents/05/whatnew0222b.html
  ソニー プレスリリース
  http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/200502/05-0222/index.html

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(関口 聖)
2005/02/22 15:57

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