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【NETWORLD+INTEROP 2002 TOKYO】
ドコモ大星氏基調講演レポート

 幕張メッセで開催されているネットワーク関連のイベント「NETWORLD+INTEROP 2002 TOKYO」だが、最終日となる7月5日、NTTドコモ 前代表取締役会長・現相談役の大星公二氏が登場。「モバイル・ブロードバンド・ユビキタスと情報ルネッサンス」と題した基調講演を行なった。


もはやモシモシハイハイで売れる時代ではない

NTTドコモ 前代表取締役会長・現相談役の大星公二氏
 講演の前半部分は、NTTドコモ創業となる1992年からiモードのヒットまでの同氏が描いた経営戦略を、後半部分はモバイル・ユビキタスが呼び起こす社会変革についてそれぞれ述べられた。

 冒頭、大星氏は日本の深刻な経済状況について触れ、「小泉さんではなく、我々企業家がもっとがんばらねばならない」として、IT業界が日本経済の生命線であること、まだまだ日本はIT分野で遅れていることを指摘。IT関連の株価が下落している現状についても触れ、「投資家による過剰投資が原因で起こった株価下落で、IT自身となんらかかわりがない」と述べた。さらに、アメリカの過去10年の好況もIT業界が作ったことを強調。今後もITが経済に与える影響は大きいだろうと予測した。

 大星氏は、ドコモがNTTの子会社としてスタートを切った1992年当時の話から、iモードに至る1999年までの経緯を述べた。同氏が講演中で再三強調していたのは、「市場の成熟とともに、需要はより知識・情報・癒しといった目に見えないものになる」ということだ。

 同氏によれば、「モノが充足した成熟した社会では、人々の欲求が高度化し、“精神のリッチ”を求めるようになる」と述べ、人間の行動範囲が広がり、時間の隙間もできるので、コミュニケーションやナレッジ、エンターテイメントといったモノではない、いわばコンテンツに需要が集まるのだという。その変化をいち早く捉え、iモードという製品にしたことが現在のドコモの成功を形成しているのだという考えを示した。

 また、ソニーの出井伸之会長と「(消費者は)ウォークマンを買ってるのではなく音楽を、プレイステーションではなくゲームソフトを買ってるんだよね」と話し合ったというエピソードを披露し、「電話も同じ。モシモシハイハイでは売れない」とiモードの話題を結論づけた。


ユビキタスの核は動画

 この後、モバイル・ブロードバンド社会、ユビキタス社会と呼ばれるものの見通しについて話題は移された。同氏によれば今後もっとも重要なトピックスは高精細な動画の送受信だという。その理由について同氏は「動画はテキストや静止画よりリアリティがあるため、個人のコミュニケーションだけでなく、ビジネスもより“Face2Face”になり、社会は大きく変革を遂げるだろう」と述べている。

 また、技術的な部分にも触れ、Bluetoothや無線LANを搭載し、家庭に入る多くの情報を一括して取り扱うホームサーバーや、消費者同士がやりとりを行なうP2P技術、動くすべてのモノにIPを付与できるIPv6などが今後重要な要素になるとの予測を述べたほか、4Gについても、「4Gは2010年と言われているが、それでは遅すぎる。2007年くらいに前倒しできるよう研究所の連中には言っている」と語った。

 これらの技術によってもたらされるユビキタス社会についても、「情報のバリア・フリーが訪れる。中世において、一部の権力者が情報を握っていたが、グーテンベルクの活版印刷によって変わったように、同じ現象が起こるだろう」と“ルネッサンス”の再来を宣言した。

 また、「知識や情報は双方向になり、すべての人が消費者であり、生産者であるような時代で、“個”の能力が最大限に発揮される社会になっていくだろう」という見通しを語った。ビジネスについても、「大量生産は、賃金の安い中国に流れて空洞化を迎えている。知的付加価値の高いものを生み出して生産性を上げるしかない」とし、「個人の力がものをいうベンチャーやSOHOの時代になる。知的かつ創造的な高付加価値のイノベーションで経済を立て直さなくては」と述べた。

 最後に同氏は、「うちの夏野(iモード事業本部 iモード企画部長 夏野剛氏)も大きな会社を辞め、ベンチャーをやり、そしてiモードを作ったが、これからは自分の知的満足感を得るために、やりたいことができる会社で働くべき。会社がつまらなかったらさっさとやめろと若い人たちに言いたい。トラディショナルカンパニーのオールドボーイズたちとつきあっていてはいけない。これからの日本のために是非がんばってほしい」と若者を激励する言葉で会場を沸かせ、講演を締めくくった。


・ NETWORLD+INTEROP 2002 TOKYO
  http://www.interop.jp/
・ NTTドコモ
  http://www.nttdocomo.co.jp/


(伊藤 大地)
2002/07/05 18:54

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