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【mobidec 2002】
KDDI高橋氏、CDMA2000 1xの優位性をアピール

 8月29日、30日の2日間、モバイル・コンテンツ・フォーラム(MCF)および翔泳社主催による携帯電話関連のコンテンツ開発者向けイベント「mobidec 2002」が青山ダイヤモンドホール(東京・表参道)で開催されている。その中で、KDDIのソリューション事業本部 コンテンツ本部 コンテンツビジネス部 部長の高橋 誠氏は「KDDIコンテンツビジネス次の一手」と題した講演を行なった。


CDMA2000 1xの順調な伸びをアピール

 高橋氏は講演の最初に、4月より開始されたKDDIのCDMA2000 1xサービス加入台数が順調に増えていることを強調した。KDDIのCDMA2000 1xは開始から3カ月弱で100万台を突破したデータを示した上で、同様の普及にiモードでは5.5カ月、写メールでも8カ月かかったというデータを示した。また、8月23日には200万台を突破したというデータを示すとともに、KDDIが以前から掲げていた「2002年度末までにCDMA2000 1xの加入者は700万人」という目標についても「プレスにはいろいろ言われたけど、今後出す端末は全部CDMA2000 1xだから、700万台は達成する」と、当然の数字であるとの考えを語った。

 また、第3世代携帯電話に分類されるCDMA2000 1xだが、国内の第3世代のシェアとしてCDMA2000 1xが93%とドコモのFOMAに圧勝していることなど、CDMA2000 1xが第3世代携帯電話の中でも好調であることをアピールした。


 高橋氏は、従来のcdmaOneからCDMA2000 1xへの移行がスムースに行なわれていることも強調した。同社ではPDC方式からcdmaOne方式に移行した経歴があるが、そのことについて「cdmaOneで苦労したから、3Gの導入は簡単」という考えを示した。

 たとえばPDCからcdmaOneに移行する際には、一気に移行できないため、PDC端末とcdmaOne端末を併売する必要があった。しかしcdmaOneからCDMA2000 1xへの移行については「今現在、在庫の関係で旧cdmaOneも併売しているが、新規はすべて3G(CDMA2000 1x)」とした。

 この背景には、CDMA2000 1xがcdmaOneと同様に全国で使えるという、新方式であるにもかかわらずユーザーに不便がなかった点などの機能面と、CDMA2000 1x端末が従来端末と変わらない値段で提供されるという価格面、この両面で工夫した結果だという考えを示した。「デュアルチップにしてJavaをくるくる動かせるようにする」などのアイディアもあったが、価格の面などからワンランク上のものとして見られることでコンシューマーに売りにくくならないよう、そういった新機能を見送ったいきさつも披露した。

 またPDCからcdmaOneへの移行の際には「音質」「国際ローミング性」「高速通信」など技術の面での優位性を強調し「KDDI(旧IDOやセルラー)は技術ばかり重視している」というイメージを作ってしまったと語った。それに対してcdmaOneからCDMA2000 1xの移行時には、端末の価格や使い勝手の面を工夫したり、GPSやムービーケータイといったユーザーにとって魅力のある機能やサービスをアピールし、逆に通信速度などはそれほど強調していないとした。


 さらに高橋氏は「3Gにはウソがある」として、現状の第3世代携帯電話がまだ未完成なものだという考え方を示した。第3世代携帯電話は、高速な通信が可能だが「通信料金が伴わないから話にならない」という。大容量のコンテンツを提供しても、パケット料金が安くならないと、ユーザーに活用されないという考えだ。「料金の問題を解決しないで導入したのがいまの3G」と表現し、それに対してKDDIでは来年秋より1x EV-DOを導入することで、データ通信料金を低廉化し「真のブロードバンドを携帯電話にもたらす。ここまでのシナリオを持って、cdmaOneシリーズをPDCに対抗して導入した。CDMA2000 1xはそのシナリオの道半ば」と語った。


多彩なサービスと料金の低廉化が武器

 続いて高橋氏は、先日発表されたばかりの新製品や新サービスの紹介を行なった。先日同時発表された「A5301T」などカメラ付きのCDMA2000 1x端末を紹介し「4月の新端末同様、高い端末にするつもりはない」とした。

 他キャリアの携帯電話に写真を送る仲介をする新サービス「フォトメール便」については「マジョリティならいいが、マイノリティのKDDIとしては、ドコモやJ-フォンに送れないといけない」と語った。

 ムービーメールについては「携帯電話で動画はなりたたないといわれているけれど、それは料金のせい」として、新端末と同時に発表された「パケット割」などで今秋から料金に手を入れ、ムービーケータイについて「拡充・普及すると宣言させていただく」と断言した。


 GPSケータイについては、すでに200万台以上の出荷があることを示し「コンシューマーには提供できた、今度はソリューション」と、業務分野への展開を強調した。従来、GPSと通信機能を併せ持つ業務専用端末となると6万円程度するのが常識だったが、GPSケータイであれば「通話もしてもらえるからインセンティブも出せて価格が1万円程度になる。こんなソリューションはこれまでなかった」と、ソリューションとしてのGPSケータイの優位性をアピールした。

 KDDIのソリューションビジネスへの問い合わせも多く、NTTコミュニケーションズもGPSケータイを使った業務サービスを提供している例を挙げるとともに、海外から「KDDIのGPSケータイをそのまま導入したい」という問い合わせも受けていることを明らかにした。こうした業務向けのニーズに合わせ、KDDI自身も業務向けソリューション「GPS MAP」を今秋よりスタートさせる、とした。


 また利用料金の割引については、これまで導入されていた時間帯割引制度については「複雑な料金だと反省した」として、パケット割の新規導入を紹介。さらに144kbpsの高速パケット通信サービスのオプション料金については、本来は9月末までの期間限定で無料となっていたが、そのまま標準機能となることを高橋氏は「1回も料金を取ることなく無料にする」と表現した。


コンテンツビジネスの鍵は「オープン化」

 KDDIのコンテンツビジネスについて高橋氏は、まず公式サイトにおけるiモードとEZwebの市場規模の比較を引用した。それによると市場規模は、iモードでは80億円、EZwebでは30億円程度となる。しかしサービス加入者1人あたりがコンテンツに支払う料金を比較すると、iモードでは230円、EZwebでは280円と、EZwebユーザーの方がより多く有料コンテンツを利用しているというデータを披露した。この理由について高橋氏は「コンテンツが少なかったからCPと話し合い、よりユーザーに近いコンテンツを提供できたのか、あるいは次世代のサービスを買ってもらっているのか、もしくは非公式の一般サイトが少なかったのか」という想定を語り「この有料コンテンツの利用量が多いという傾向が続くと良い」とした。


 またオープン化を進めることで「EZwebを特徴付けるコンテンツ」を誕生させ、差別化を図るという考えも示した。KDDIでは、公式メニューに登録されない一般サイトのコンテンツプロバイダに対しても、料金回収代行を行なう予定だ。審査によって公序良俗に反するようなコンテンツに荒らされることを嫌いつつも、多くのコンテンツプロバイダが同じ土俵に立てるようなリニューアルを10月に実施するということを明らかにした。


独自なサービス提供が可能なBREW

 高橋氏はKDDIが今後導入予定のBREWについては「時間がかかっているが、積極的に進めている」と語った。時間がかかっている理由として、米国生まれのBREWを、海外に比べて高度な日本のケータイ文化にあわせて改良していることと、BREWの新バージョンBREW 2.0の導入を目指していることを明らかにした。

 BREW導入後のコンテンツビジネスについては「ぜんぜん変わってくる」と表現した。従来のEZwebやezplusといったサービスでは、KDDIのゲートウェイを仲介させ、HTTP通信のみをサポートする。この従来形式のビジネスは「根幹である」として今後も重視していく考えを示した。

 一方でBREWでは、端末で可能なほとんどの機能はBREWプログラムで実行可能となる。とくにTCP/IPのモジュールにアクセスできるため、独自を含むTCP/IP上のあらゆるプロトコルの使用が可能となる。そのため、EZwebのゲートウェイを仲介せずに、ユーザーがダウンロードしたBREWアプリケーションが直接サービス提供者のサーバーにアクセス可能となる。このようなエンド・トゥー・エンドのサービスがBREW導入後のいちばんの変化だと語った。


 またBREWでは、同じくBREWを導入する海外キャリアとアプリケーションを相互流通させる仕組みも導入される。こうした国際展開の容易さも、BREWの特徴だとアピールした。

 講演後の質問では待受アプリに関する質問が寄せられた。これに対して高橋氏は、Java、BREW両方に共通したこととして、ドコモの夏野氏と話したことから引用し「ポータルの開放より待受アプリの開放」という考えを示した。つまり「常に起動しているアプリが、さまざまなサービスや機能へのポータルとなる」という考えである。しかし高橋氏はここでも「通信料金の開放がないと」とし、通信料金が安くならないと、そういった展開も難しいという考え方を示した。

 BREWに関しては、今回のmobidecでは高橋氏の後にクアルコムの山田氏が講演を行なっている。BREWの詳細に関してはそちらを参照されたい。


従来型のサービス提供モデル BREWを使ったサービス提供モデル

・ KDDI
  http://www.au.kddi.com/
・ mobidec 2002
  http://www.shoeisha.com/event/mobidec/


(白根 雅彦)
2002/08/30 17:01

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