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【mobidec 2002】
DDIポケット、128kbpsの準定額サービス提供へ

 8月29日、30日の2日間、モバイル・コンテンツ・フォーラム(MCF)および翔泳社主催による携帯電話関連のコンテンツ開発者向けイベント「mobidec 2002」が青山ダイヤモンドホール(東京・表参道)で開催されている。

 数多く開かれたセッションの最後としてDDIポケット取締役 経営企画本部長の喜久川 政樹氏が登場し、「AirH"/PHSを活用したモバイルソリューションの現状と今後と展開」と題した講演を行なった。


主軸はデータ通信へ

DDIポケット 取締役 経営企画本部長 喜久川 政樹氏
 まず喜久川氏は、DDIポケットが昨年下期より、音声通信からデータ通信へ事業展開をシフトしていると述べた。その理由について、音声通信市場が既に成熟段階に入ったことに加え、携帯電話との競争が激化し、サービス開始当初にメインユーザー層であった学生を中心とする若年層が携帯電話へ流出している点を挙げたほか、端末へのニーズが高機能化にあり、端末価格が高騰、その結果販売店へのコミッションも上がっていると語った。

 一方、同社が主軸としていくデータ通信市場は、これからの成長が期待できることに加え、AirH"機能を搭載した音声端末など、PHSの特性を活かしたサービス展開が実現できると語り、「データ通信カードは、液晶やスピーカー、和音再生に必要なモジュールなどが必要なく、大幅なコストダウンが可能」とした上で、「通信ネットワークのバックボーンをIP化することで、ネットワークコストも低廉化できる」と同社が黒字化に成功した要因を語った。

 続けて同氏は、データ通信サービスを魅力あるものとして提供するために、同社では無線パケット技術とネットワークのバックボーンをNTTのISDN網からIP網へ昨年夏から切り替えていると説明。NTTのISDN網を利用した回線交換方式では「音声通信でもずっと喋り続けているわけではない」と、接続がつながれたままである状態に音声・データ通信双方でのメリットが薄くなり、IP網によるパケット通信方式を導入することで、より多くのユーザー、データが扱えるようになったと述べた。


ユーザーを獲得する要因はエリアそして料金

 喜久川氏は、多くのモバイルユーザーに同社のサービスを利用してもらえる要因の1つとしてサービスエリアが全国に及び、人口カバー率が93.5%に及んでいる点を指摘。音声通信用に構築された全国16万局の基地局を、ハードウェアを入れ替えることなく、そのまま利用できたとコスト面でのアドバンテージを強調した。

 ここで同氏は、1パケットあたりの単価を他社サービスと比べたグラフを示した。PDC方式やFOMAに比べ、AirH"は格安であるとして「ユーザーにとっては、パケット単価が一番大事ではないか」とAirH"に優位性があるとした。また現在オプションとして提供されている128kbps通信サービスに、同社の64kbps通信サービス「ネット25」のような準定額の料金コースを提供する予定であると語った。


データ通信により、ユーザー数大幅増

データ通信ユーザーが大幅に増加しているという
 喜久川氏は、同社ユーザーにおけるデータ通信の利用者の伸びをグラフで示し、2001年4月の段階で50万人強であったのに対し、2002年6月には約110万人に達し、年間成長率が80%であると、同社の好調な業績をアピールした。

 このデータ通信サービスが、法人利用においては、営業担当者などの外勤者にはバーチャルオフィスとして、また広域に拠点を持つ企業にとっては経営管理の効率化などで活用されているケースを紹介。また一般ユーザーではPDAやノートパソコンにおける利用だけではなく、同社による調査の結果、職場で昼休み等にプライベートとして利用しているケースもあると述べた。


足元を固め、新たなマーケットへ

 DDIポケットの今後の戦略を語るにあたり、喜久川氏は「AirH"はサービスを開始して、まだ1年。設備投資をおろそかにはできない」として、128kbps通信の実質的なエリア拡大を目指すとした。これは128kbps通信を行なうためには4つの基地局と接続を確立しなければならない現状を、1~2つの基地局だけでも128kbps通信を実現するために技術改良を行なうとしている。同氏は「無線は、その性質からガラスでも減衰してしまう」と述べ128kbpsのサービスを充分に利用してもらうために行なうことであるとした。

 このほか同氏は「DDIポケットは、1社でなんでもやろうとはしない。水平分業していく」と述べ、法人向けサービスにおいて、サーバー事業者やASP事業者など他社と積極的に提携して、サービスの拡充を目指していくとした。また大手企業を中心に利用されている現行サービスに対して、中小企業やベンチャー向けに、セキュリティシステムなどを含めたシステムを2002年度中に提供していきたいとの意欲を見せた。

 さらに同氏は新たなマーケット創出として、最も小さいCFタイプよりも更に小型化・低コスト化した端末開発を行ない、あらゆる家電製品・携帯機器への搭載を目指し、ユビキタスネットワーク市場へ挑戦していきたいとしたほか、DDIポケットはユビキタスに求められている「超小型化」「省電力」「低コスト」といった条件に対し、最も有力なインフラ候補であると、自信をのぞかせた。

 また、DDIポケットでは、ヘビーユーザーを中心に浸透している現状から、ミドル/ライトユーザーへ、ADSLユーザーにアピールできる新たな料金プランを検討しているほか、29日に発表された同社のISPサービス「PRIN」向けのデータ圧縮サービスなど、更なるサービスの拡充をはかるという。

 無線LANサービスについても、PHSの特長を有効活用できる点を踏まえ、積極的な姿勢であることを示し、KDDIと協力して無線LAN実験を実施する可能性も明らかにした。最後に喜久川氏は「PHSは忘れられているかもしれないが、日本生まれの技術」として「中国やタイでは既に1000万ものユーザーが存在している。日本国内でも頑張って、はずみをつけたい」と語り、講演は終了した。


DDIポケットの戦略は3つの面で展開される 128kbps通信環境を改善していきたいという

更なる小型化が今後の目標の1つ。しかし具体的には明らかにされなかった 小型化によってユビキタスネットワークのインフラを目指す

端末はどうなるのか

 講演終了後、喜久川氏に一部で報道されているSDカード型PHS端末を含め、具体的な端末開発に訊ねると、「まだまだ研究段階」としたほか、その他の形状については「ノーコメント」と笑顔で語った。

 また無線LAN搭載PHS端末については「開発しているメーカーもあるでしょう」とした一方で、「我々としてはPHSがメイン」と語った。今後の音声通信端末については「現状と同じく(フルモデルチェンジされた新端末の発表が)年2~3回ある程度」として、データ通信端末へシフトしながらも、音声端末を利用しているユーザーを「サポートしていくのは当然」と述べた。


・ DDIポケット
  http://www.ddipocket.co.jp/
・ mobidec 2002
  http://www.shoeisha.com/event/mobidec/


(関口 聖)
2002/08/30 21:17

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