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【CEATEC JAPAN 2002】
KDDI小野寺社長、「3G発展のため、ドコモにも頑張ってもらいたい」

KDDI 代表取締役社長 小野寺 正氏
 10月1日~5日にかけて幕張メッセで開催されている「CEATEC JAPAN 2002」。3日目の基調講演にKDDI 代表取締役社長 小野寺 正氏が登場し、「ユビキタス・ソリューション・カンパニーを目指して」と題した講演を行なった。

 ブロードバンドの普及が社会に与える影響や、過去のサービスから今後のCDMA2000 1x EV-DOなど携帯電話に関わる戦略、また固定通信および移動体通信を1社で行なうことによるユビキタス戦略について語られた。第3世代携帯電話の話題では、FOMAの普及に苦戦しているドコモを励ます一幕も見られた。


パソコンにとらわれては、真のブロードバンド社会になることはない

 まず小野寺氏は、ブロードバンド環境の普及が社会にもたらす影響について語り、「携帯電話の契約数が固定電話の契約数を超えたが、現状はモバイル通信と自宅など固定環境での通信は棲み分けができている。(普及している携帯電話が)新しい文化を創造したように、ブロードバンドの普及によって別の新たな文化ができなければならない」と述べた。

 「コンテンツを楽しむ環境は、より高速なものほど良い」と語った小野寺氏は、2005年度に光ファイバーがxDSL環境よりも普及するという総務省の予測を示し、「ユーザーが求める高品質のコンテンツを配信するためには(光ファイバー網は)欠かせない。そうなれば常時接続は当然のものとなる」と述べたほか、「パソコンに囚われていればユーザー層が限定される。テレビで閲覧できるようになれば、(ユーザー層が)変わるだろう」とした。

 さらに「地上波デジタル放送が始まれば、通信と放送はますます1つになる」と語り、コンテンツ配信を例にライフスタイルの変化を予測した。また「(ブロードバンドという)新しい社会インフラとモバイルは連携すべき。それがユビキタス」と語った。


2005年度にはFTTHがxDSLよりも普及しているという予測 イタリアや台湾で100%前後の普及率を示しているのは「プリペイド端末が多いため」と解説する場面も

W-CDMAの普及はドコモの頑張り次第

「W-CDMAの苦境は対岸の火事ではない」
 次に小野寺氏は、第3世代携帯電話の現況について、これまでの道のりを振り返り、「アナログ時代、欧州では国ごとに方式が異なり、ローミングができなかったが、EUとして“1つのヨーロッパ”を目指していたことでGSMが導入された」と当時の状況を語った。

 その一方で、PDC方式がスタートしていた日本では「“全てをオープン化する必要がある”とNTTと旧郵政省に提言した。端末はどのメーカーでも製作できるようになったが、インフラはオープンにならなかった」ために、「先が見えていたCDMAを導入することにした。PDCとCDMAを同時に行なっていたのは失敗だったが、ドコモに対抗するためには、既存の技術では勝てっこない」と自省の姿勢を見せながら、CDMA方式を導入した背景を語った。

 また、ドコモやJ-フォンが第3世代携帯電話として採用しているW-CDMA方式とPDC方式は「まったく別のサービス。日本だけが国際ローミングを次世代で実現すべき目標の1つにしている」と述べた。

 W-CDMA方式の普及がはかどっていない欧州については、「データ通信はGPRSで充分。また3Gのライセンス料も高騰している」とその原因を指摘し、「市場も成熟しており、GSM方式で充分なのだろう」と述べた。

 しかしながら、その状況は「対岸の火事ではない」と小野寺氏は語り、W-CDMAを推し進めるドコモに対して、「W-CDMAの成否はドコモ次第。W-CDMAが普及しないと、コンテンツや技術における全世界規模での進化が滞る」と、第3世代携帯電話の普及で一歩リードしている同社の余裕を感じさせる発言もあった。


「3Gというインフラ」よりも「コンテンツと端末」

 ここで、auの歴史に話題を転じた小野寺氏は「鍵は、ユーザーが何を望んでいるのか、ということ」と述べ、「64kbpsで通信できるCDMA方式を導入したにも関わらず、ユーザーは増加しなかった」という過去の経験をもとに「やはり楽しく面白く、かつ高速でないとダメ」として、cdmaOne時代にGPS、Java、動画を導入し、CDMA2000 1x方式がスタートする際には「第3世代である、というよりも“より良くなった”とアピールした」ことが、9月末でユーザー数が260万人を越えている現状をもたらしたと、過去の講演でも述べられていた点を再度強調。

 「第2世代でできることは、当然第3世代でもできなければいけない。サービスエリアもカバーしていなければならない」とした上で、「高速通信も気軽に使ってもらわなければダメ」と、同社の「パケット割」を例に挙げて「パケット単価を下げなければ3Gは意味がない」と断言した。

 このほか、「受信側に不都合な場合もあるテレビ電話は現状必要ない」とテレビ電話サービスに対して、これまでも表明していた態度を繰り返し、「好きな時に閲覧できる」ムービーメールの利点を挙げた。


各国の次世代方式への移行状況 KDDIの3G戦略は「2Gプラスアルファ」

高価でも高品質回線を

 「ユビキタスネットワークは“いつでも”“どこでも”に加えて“どんな情報も”ということ」と述べた小野寺氏は、ユビキタスネットワークを支えていく様々な条件の中でも「モバイル環境で、今後問題となるのは回線の品質ではないか」と語り、「現状のベストエフォート方式に対する批判はしかるべきもので、高価でも高品質回線を提供していく必要があるだろう」との認識を示した。

 また第3世代携帯電話と無線LANの関係に対しては、「競合関係にならないだろう」と述べた。その理由として「携帯電話は移動しながらの通信、無線LANは場所を選ばないが、移動通信には適していない」ことを挙げた。

 最後に小野寺氏は、「固定、長距離、移動体、ISPと1社で全てを提供できる強みを活かしたサービスを展開していく」と力強く語り、講演は終了した。


固定、長距離、移動体、ISPを唯一1社でまかなうKDDI 全てを提供できるKDDIの強みを活かしたシームレスなサービスを展開していくという

・ CEATEC JAPAN 2002
  http://www.ceatec.com/
・ KDDI
  http://www.kddi.com/


(関口 聖)
2002/10/03 20:05

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