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【WIRELESS JAPAN 2003】
NECが見つめるケータイの技術トレンド「年内には200万画素に」

 7月16日より、東京ビッグサイトでワイヤレス関連イベント「WIRELESS JAPAN 2003」が開催されている。2日目となる17日のコンファレンスで、NEC 取締役常務の中村勉氏が「NECのモバイルソリューションとグローバル展開」と題した講演を行なった。


まだユーザーが望むサービスが実現されていない

中村 勉氏

NEC取締役常務
中村 勉氏
 講演は全体的な戦略について順を追って述べるような一般的な形式ではなく、業界動向、技術トレンドなどさまざまな“お題”についてデータを示しながら、淡々と所感を述べる形で進行された。

 序盤は市場についてのコメントが中心で、「カメラ付き携帯電話の買い換え需要が好調で、この流れはしばらく続くのではないか」「IP接続数の伸びがどうなるかというのが業界にとって大事」「ユーザーが3Gに期待するサービスを調べると、TV電話は意外と(需要が)ない。位置情報がトップだが、位置情報といっても多様で、どういう風に要求されているのかまだよくわかっていない」などと語った。

 現在の携帯電話市場では「新サービスを開始したから買い換えるのではなく、新しい端末が出たから、という感が強い。まだサービスの本質に迫った欲求が出ていないのがこれからの課題だ」と述べ、業界全体で市場飽和状態とささやかれる中、まだ市場拡大の余地があるとの見解を示した。

 これと同様の意見として、「我々には衝撃的な事実だが、カメラ付き携帯電話で実際に画像を送っているのは、週に1回未満。まだカメラとネットワークを結びつけるに至っていないということだろう。料金体系も含めて、ユーザーが望むサービスが実現されていないのではないか」とも語った。

 さらに、同氏は「中国市場がなんといっても重要だ」とグローバル化についても述べている。


位置情報サービス 中国
 3Gのアプリケーションは位置情報サービスが期待されている  注目の市場は、当然のことながら中国

200万画素カメラが付いても、どう使うかが問題

2CPUアーキテクチャ

 2CPUアーキテクチャはコストもかかるが、リスク回避などの面で有利
 続いて話題はテクノロジーのトレンドに移った。まず、ますます高機能する携帯電話端末についてだが、「通信の高速化に伴い、端末も高機能化しているが、注意すべきところは、カメラ、マルチメディアプレーヤー、ゲームなど、携帯電話を使わなくてもデバイス単体で利用できる機能が増えてきていることだ。もはや電話だけにこだわらない姿勢も必要だろう」と語った。

 また、様々な部分で話題になっている携帯電話の内蔵カメラについて、「2003年中には200万画素になる。これをどう使うかというのが問題」とし、「現在はCCDが主流だが、軽量、コスト安のCMOSにも注目すべきだろうと考えている」などと述べた。

 機能が複雑化する携帯電話においては、OS、アーキテクチャーといった要素も重要だ。NECでは通信系とアプリケーション系とを分離して制御する2アーキテクチャー、2OS方式を採用しているという。これは、頻繁なアップデートや機能追加が必要となるアプリケーション部分と、まず安定性が求められる通信部分を切り離すことで、バグなどのリスクを最小限に抑えることができる仕組みだ。また、アプリケーション制御側のOSにはLinuxを採用することも明らかにされた。


燃料電池、地上波デジタル、RFIDがケータイに?

日本経済のチャンス

 モバイル市場の成長こそ日本経済のチャンスだ
 このほか、試作品が出始めている燃料電池、地上波デジタルについても携帯電話への応用に「有望」だと語ったほか、Auto-ID CenterやユビキタスIDセンターで標準化が進むRFIDタグに関して、「携帯電話そのものにタグを付けるのではなく、タグのリーダ・ライタが携帯電話に付くのではないかと考えている。ポスターにタグが付いていて、携帯電話で読み込むと詳細情報が表示されるといったアプリケーションが考えられる」との見解を示した。

 そして今後のキーテクノロジーとしてIPv6を挙げ、「IPv6を利用した固定網とのシームレスな高速通信が重要だ」と語った。また、1Mbpsクラスの速度、3.5GHz帯未満の周波数、250km/h以上の速度でも通信が維持可能、15km以上のセル範囲といった特徴を持つ現在規格策定中のIEEE 802.20についても「非常に期待している」と興味を示した。

 最後に中村氏は、NECの戦略について、Javaやコンテンツ記述言語の規格をオープンにしていく「オープン性」、IPv6のサポートやシームレスな通信環境の切り替えなどを総合した「IP化」、メーカーとして事業者をサポートし、料金の低廉化や国際ローミングなどを可能にする「サービス」の3つにキーワードを集約し、「さらに業界のオープン性を高めて、市場を活性化すべき」と提言し、講演を締めくくった。



URL
  WIRELESS JAPAN 2003
  http://www.ric.co.jp/expo/wj2003/
  NEC
  http://www.nec.co.jp/


(伊藤 大地)
2003/07/17 19:26

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