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【mobidec 2003】
パナソニックの岸田氏、今後の方向性を語る

パナソニック モバイルコミュニケーションズ モバイルターミナル事業部 コンテンツ開発推進グループ グループマネージャーの岸田真一氏
 8月28日、29日の2日間、モバイル・コンテンツ・フォーラム(MCF)および翔泳社主催による携帯電話関連のコンテンツ開発者向けイベント「mobidec 2003」が開催されている。国内の端末ベンダーでは唯一の参加となったパナソニック モバイルコミュニケーションズより、モバイルターミナル事業部 コンテンツ開発推進グループ グループマネージャーの岸田真一氏が「モバイルコンテンツとケータイ端末の進化」と題した講演を行なった。


岸田氏、携帯電話の市場動向を説明

携帯電話の国別普及率

端末市場予測
 岸田氏は冒頭、28日の午前中にノキア・ジャパンが講演したことを受けて「我々はノキアと違って端末をキャリアに供給するOEMベンダー。キャリアが強く我々からはなかなか話せないことも多い」と、キャリアとメーカーの関係を示した。

 携帯電話市場の動向を説明した同氏は、ヨーロッパの市場で端末普及率が大幅に拡大している点を挙げた上で、「やはり、アジアだろう」とした。中国は、普及率の面では携帯電話先進国にまだまだ差を開けられているものの、「欧州並みの普及率8割を達成すると大変な数字になる」とする一方で、国内では今後新規のユーザー獲得が望めないとの見解を示した。しかし、「使う使わないに限らず、再来年には全ての国内端末にカメラが付いてくるだろう」と語っており、「そうなると、メーカーとしてはつらい」とメーカーサイドの苦しさを漏らした。

 だが、国内では今後も拡大するとしたカメラ付き端末も、岸田氏は「欧米ではそれほど伸びないのではないか」と述べており、中国市場では新規契約などが増加しているため、「やはり戦いやすい中国で勝負していきたい」と同社の海外戦略としてアジア圏に注力していく姿勢を示した。

 また同氏は、携帯電話に対するユーザーニーズが高度化している点にも言及した。端末の各機能が基本機能からステップアップしていく中で、「(携帯電話は)身に付けるものだけに、カスタマイズが付加価値を生む」としており、パナソニックでは、ランチャーやアイコンなどでそうしたニーズに応えていると述べた。

 なお、こうしたユーザーのニーズは今後、メールを使ったビジュアルコミュニケーションや、ネット対戦ゲーム、バーコードリーダーなどへ移行していくとした。岸田氏は、ツーカーのテレビCMを例にとって、「『今、ケータイ必死や』とのCMがあるが、メーカーはシャレではなく本当に必死だ」としており、2Gと3Gの両方に端末を供給していかなければならない苦労をにじませた。

 このほか、同氏は「ケータイにどのように付加価値を与えるか」が重要としており、今後、指紋認証や非接触ICを利用した個人認証、地上デジタル放送受信などが新たな機能として端末に搭載されるとした。さらに、SDカードを使った様々な利用形態も重要だという。


ユーザーニーズの変化 端末の移り変わり

岸田氏「高機能化はコスト高」

 続いて、同社の端末の内部技術について説明があった。同社は端末を軽量・薄型化するために部品の小型化を図り、バッテリーをニッカドからニッケル水素、リチウムイオン電池に変更、そして基板や半導体の小型化、部品数の削減などにも挑戦したという。

 こうした中で岸田氏は、「メーカーにとって小さいものを作ることは大変だ」と語ったが、「松下は小さいものを作るのが得意だった」と自社の優位性をアピールした。同氏は、端末の高機能化が進むことで、「端末自体のコスト収益は厳しい」としており、さらに高機能化によるシステムチェックが膨大になるため今後も楽観視できないとの見方を示した。

 松下では、P503iで他社よりもJavaのスピードが遅かったと反省を元に、P504i/iSで、Javaの性能を向上させた。岸田氏によれば、P504i以降、処理速度が向上したJavaアプリだが「ゲームメーカーはチューニングするのに疲れたと言っていた」としており、同シリーズのJava対応端末でも処理スピードに差がある点を指摘した。

 「ケータイというツールを考えるといろいろできる」と岸田氏は話す。今後、携帯電話が通訳したり、身分証になったりといった利用方法が考えられるが、「デジカメが携帯電話に吸収され、テレビも見られるようになれば総合メーカーの松下としては携帯電話以外の製品が売れなくなってしまう不安もある」と述べた。また、同氏はモバイルEC向けのソリューションなどにも意欲を見せたが、現実的にはアライアンスを組むための困難さが障壁となっているとした。


小型化への挑戦 ハードからソフトが重要に

携帯Javaのベンチマーク モバイル端末の展開

端末のシームレス化 暮らしの中の様々な分野で携帯電話が利用される

ARPUで億単位の貢献も「全然キックバックがない」

 話題はメーカーサイトなどのコンテンツにも渡った。岸田氏はメーカーサイトについて「元々は販促ツールとしての利用方法だった」としており、「無料と言いながらもコンテンツを増やしていかなければならない」と語った。しかし、端末メーカーはキャリアの今後の戦略を早い段階で獲得できるため、キャリアの戦略に即したコンテンツを一早く作成できる利点もあるという。

 なお同社のiモード向けメーカーサイト「P-SQUARE」は2002年度の月間ページビューが2,000万PVを達成。2003年度は3,000万PVになる見込みとのこと。松下では、2002年度にこうしたP-SQUAREを訪れたユーザーのARPUによって、ドコモに約18億6,000万円の貢献を行なったとしている。しかし、岸田氏は「ドコモからは全然キックバックがない」とも語る。

 このほか同氏は、P505iで搭載された顔認証機能を利用した「チャーミーフェイス」などを紹介。「顔認証機能をECなどで利用しようと思えばもっと精度が必要となるが、こうしたコンテンツでも楽しめるのではないか」とした。岸田氏は講演の締めくくりに「コンテンツはP(パナソニック)にはない。全て外部に任せている。これからは自社だけで何とかしようとしていたのでは間に合わない」とコメントした。


メーカーサイトの取り組み P-SQUAAREの2002年度アクセス状況

現在研究中のロールナビキー 顔認証技術


URL
  mobidec 2003
  http://www.shoeisha.com/event/mobidec/
  パナソニック モバイルコミュニケーションズ
  http://panasonic.co.jp/pmc/


(津田 啓夢)
2003/08/28 21:36

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