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【CeBIT 2004】
「2年以内に世界シェア15%を目指す」――NECに世界戦略を聞く

 「日本はケータイ先進国」――確かに国内の端末を見ればそれは事実だが、こと海外に目を向けてみると、日本製の端末を使っている人はほとんど見かけない。第2世代携帯電話が実用化された際、日本はGSM方式ではなく、PDCという独自方式を採ったため、日本のメーカーにとって海外進出は高い壁となったのだ。そんな状況の中、欧州にiモード端末やW-CDMA端末を日本メーカーとしていち早く投入した国内トップシェアメーカー、NECのモバイルターミナル事業本部 営業本部部長の小川晶央氏に携帯電話事業の世界戦略についてお話を伺った。


小川晶央氏

 NEC モバイルターミナル事業本部 営業本部部長 小川晶央氏
―まず、NECの海外向け端末事業についてご説明ください。

 中国、ヨーロッパ向けを中心にGSM、W-CDMA端末を供給しています。イギリス、フランス、イタリア、オーストラリアなどに開発拠点があり、中国にも多くの販売、開発拠点を持っています。特に3Gに関しては英ハチソングループの3Gサービスに端末を供給し、数百万台という規模で受注しています。3Gを含めたトータルの実績でも、まだ国内の台数から比べれば圧倒的に少ないので、事業規模としてはこれからといった段階です。

―ドイツのiモードサービス開始時にN21iをリリースしてからすでに2年間が経ちました。iモード以前を含め、これまでの経緯を教えてください。

 まず、GSMでは非常に苦しい状況が続いていたと言えると思います。世界全体がGSMに移行した頃、NECはNTTドコモが採用したPDCにリソースを費やしていましたし、オープンなスタンダードを目指していたはずだったGSMが、実際はメンバー以外の企業には規格がオープンにされず、海外に出て行きたくても端末が作れない状況になっていたからです。

 結果、GSMのマーケットではブランド戦略に長けたノキアが圧倒的なシェアを獲得するに至ったわけですが、NECも1998年くらいから、DB2000というプロジェクトでGSMに本格的にカムバックしようとやってきています。

 ドイツ向けのiモード端末も、当初は日本でFOMAを始めたときに近い状態でした。最初は端末の大きさ、重さ、コンテンツの数が限られていること、そしてユーザー自身がモバイルインターネットに慣れていないことが響き、動きは鈍かったですね。現在は100万契約を超え、徐々に軌道に乗ってきている段階です。ボーダフォンが同じタイミングで始めた欧州版写メールがヒットしましたが、それに刺激された部分もあるのではないかと思っています。


―日本でNECといえばやはり折りたたみの元祖、というイメージがありますが、海外では小型軽量、ストレート型の端末が好まれる傾向にあるようです。これまでNECが発表してきた海外向けiモード端末はいずれも折りたたみ型ですが、ここには何か強いこだわりのようなものがあったのでしょうか。

 当然、折りたたみ型にはこだわってやっています。参入当初から、欧州でデファクトスタンダードの小型スタンダード端末を作ったところで埋没してしまう。NECの個性と言えばやはり折りたたみだ、と思ってやっていました。ノキアに代表されるように、欧州で軽量小型なストレート端末に根強い人気があることは事実ですが、モバイルインターネットが普及すれば、日本で起きた現象と同じように「ケータイでインターネットやるなら大きい画面がいいよね、大きい画面でもボディを小さく折りたためるのがいいよね」ということをわかってもらえるのではないかと考えたのです。もちろんメーカーだけでできることではありませんが、折りたたみ型が受け入れられるためには、モバイルインターネットそのものを啓蒙することが非常に重要だと感じています。ただ、海外のメーカーも今はさかんにこのタイプの端末を出していますし、状況は変わってきていると思います。我々以外でも、Vodaone live!のシャープ製端末の影響も大きいのでしょう。

―折りたたみへのこだわりを見せる一方、中国向けに発表されたデジカメ型のGSM端末「N900」は、あの「折りたたみのNがこんなものを!」と大変印象的でした。あのような個性的なモデルはなぜ、そしてどうして中国向けに開発されたのでしょうか。

 中国向けに斬新な端末を発表したのは、中国では規格さえあっていれば、事業者側からのコントロールをほとんど受けずに自由に端末を開発し、価格を決定できるからです。そのため中国は、技術のアピールや新しいスタイルで作った端末のトライアルには適した市場だと思っています。日本ですと、キャリアに「こんなの売れない」と言われたら終わりですから。特にドコモの50Xiシリーズでは、なかなか奇抜な形にはしづらいですよね。あの形、あの使い勝手に慣れている方が多いので。また、変えなかったことが受けた、という点もありますし。ただ、海外に関してはそれにあてはまらない。そういうことですね。

 あの端末にはもう1つの意味があります。折りたたみにこだわるあまり、海外の方からは「NECのやつは、大きい端末作るのはうまいけど、小さいのはないね」と言われてしまうわけです。そんな方たちに「NECの技術力で、こういうのもできるんだよ」というのを示したかった。薄型のデジカメタイプのものや、ペンダントタイプの端末は、その答えでもあるのです。そういった意味では、この2つは数を売ると言うより、アピールの意味が大きいと言えるでしょう。


N400i e616
 欧州で発表されたばかりのiモード端末「N400i」  ハチソングループ向けのW-CDMA/GSM端末「e616」

―日本でトップのシェアを誇るNECですが、世界規模で見ればまだまだ上がたくさんいます。海外市場の難しさはどのあたりにあるのでしょうか。

 まずは海外でのNECの知名度が低い、ということが大きく異なります。日本では「ドコモのN」「折りたたみのN」は非常に多くのお客様に認知されていますが、国外では未だ、NECを知らない、もしくは知っていても何をやっている企業かを知らない人がほとんどです。これはもっとがんばらなければなりません。

 2つ目は、キャリアとの付き合いです。日本では当然、ドコモをはじめとして、これまでずっと一緒にやってきて信頼も得ていますが、海外ではゼロから始めなければなりません。ただ現在は、ハチソンと一緒に3Gを始めたことでようやく基盤ができつつあります。

―2004年が3G元年となるこのドイツをはじめ、欧州ではいよいよ3Gが立ち上がります。どのような戦略で望もうとお考えですか。

 ハチソングループの3Gサービスによってさまざまな技術的問題を乗り越えていますので、今後、他社のサービスが始まり、一気に3Gのユーザーが増えた段階でもこのアドバンテージを維持し、NECのブランドが広く認知されればいいなと思っています。そのためにいいものを作るというのはもちろんですが、ブランド・PR戦略にも積極的に投資していきたいですね。

 また、端末だけよくても、サービスがしっかりしていないと売れません。日本なら、たとえばドコモに「900i登場!」という広告をガンガン打ってPRしてもらえる部分がありますが、欧州では勝手が違います。事業者と協力したり、場合によっては「もっとやりましょうよ」とこちらから促していく必要はあるでしょう。

―最後に今後の抱負をお聞かせください。

 いろいろなところで3Gが始まるこのタイミングは端末メーカーとして大きなチャンスだと思っています。GSMでは乗り遅れましたが、なんとかこの潮流に乗って巻き返しを図りたいですね。今現在、世界規模でのシェアは3%です。この2年以内に15%を目指します。我々としては3Gの普及にうまく乗って、どこででも先行して入って3Gで圧倒的なシェアを取り、3Gだけになった暁には30%くらいになれればいいなと思っています。我々にとって3Gが本命ですので、「3GといえばNEC」と言われるようにがんばります。

―お忙しい中、どうもありがとうございました。


事業所 重要拠点
 NECがヨーロッパに設ける事業所  英・仏・伊・豪・中に重要拠点を置く

海外端末事業 今こそ勝負
 NECが歩んできた海外端末事業  3Gに変わる今こそが勝負だという


URL
  NEC
  http://www.nec.co.jp/
  CeBIT 2004(英文・独文)
  http://www.cebit.de/

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(伊藤 大地)
2004/03/20 17:17

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