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【mobidec 2004】
ケータイ向けリッチコンテンツを語るパネルディスカッション

 8月26日、27日の2日間、青山ダイヤモンドホールで開催されている携帯電話関連のセミナーイベント「mobidec 2004」で、「リッチコンテンツビジネスの可能性と課題」と題したパネルディスカッションが行なわれた。パネラーはNMRCネットワーク音楽著作権連絡協議会 代表世話人も努めるミュージック・シーオー・ジェーピー 会長の佐々木 隆一氏、コロンビアミュージックエンタテインメント 執行役員 デジタル事業部長 竹中 禎一氏、MTV Japan コンテンツビジネス ディベロップメント部 インタラクティブビジネスディベロップメントの鈴木 貴歩氏、ジェイ・アニメ・ドットコム 取締役の高山 晃氏の4人。モデレーターはモバイルコンテンツフォーラム 事務局長の岸原 孝昌氏。

 ディスカッションの冒頭でモデレーターの岸原氏は、当日と前日に着うたサービスへの新規参入を妨害した疑いで大手レコード会社が捜査を受け、前々日にはアニメの2次利用時の使用料訴訟で日本俳優連合が日本アニメーションに勝訴したなど、マルチメディアコンテンツに関するニュースがあったことを前置きとして紹介した。ディスカッションはまず、各パネラーとその会社がケータイ向けリッチコンテンツにおいて、どのような取り組みをしているかの紹介から始まった。


モデレーターのMCF 岸原氏(左)とミュージック・シーオー・ジェーピーの佐々木氏(右) 左からコロンビアの竹中氏、MTV Japanの鈴木氏、ジェイ・アニメ・ドットコムの高山氏

 コロンビアミュージックエンタテインメントの竹中氏は「コロンビアは94年の歴史を持っている。わたしは入社して半年だが、半年たった今日、会社が公正取引委員会の捜査を受けた」と冗談交じりに発言。同社のケータイ向けコンテンツについては、「CDパッケージに次ぐコンテンツ提供形態として取り組んでいる。赤坂のコロンビア通りにあるスタジオの1つをデジタルコンテンツ専用に改造し、ここでケータイ向けコンテンツも作れるようにした」と力を入れていることをアピールした。

 MTV Japanの鈴木氏は、同社がケータイ向けに提供しているコンテンツを紹介しつつ、たとえばMTVのアワード授賞式の模様をFOMA向けに配信する際には、ケータイ専用のカメラを配置したり、ケータイ向けに独自の編集を行なうなど、ただのコンテンツの2次利用ではなく、ケータイの特性を生かしたコンテンツ提供を行なっていることをアピールした。

 ジェイ・アニメ・ドットコムの高山氏は、「裁判でも話題になっている、のが親会社の日本アニメーションです」と冗談交じりに発言。日本アニメーションのコンテンツをデジタル化して配信しているのが同社で、名作劇場や「ちびまる子ちゃん」など、日本アニメーションのキャラクターを販売していることを紹介した。とくに今年開始したちびまる子ちゃんのコンテンツでは、主役の声優が歌う主題歌(本来は歌手が歌っている)など、ケータイオリジナルのコンテンツをアフレコ時についでに収録しているという、コンテンツホルダーの強みを生かしたケータイ専用コンテンツ提供をしていることを説明した。

 ミュージック・シーオー・ジェーピーの佐々木氏は、同社について「96年から配信会社としてやっている。当時から有料サービスをやっている会社で生き残っているのはウチくらい」と紹介。さらに、音楽配信だけでなく電子出版やアニメの配信も行なっていることも紹介した。電子書籍については「次世代では書籍を是非、とKDDIに1年間通って了解いただいた」とEZチャンネルでのサービスが好調なこともアピール。さらに公正取引委員会が大手レコード会社を捜査した件に触れ「わたしも絡んでいるんじゃないかといううわさが飛び交ったが、我が社の着うたはいろいろなレコード会社に提供してもらっている。感謝こそすれ告発するなどとんでもない」とやはり冗談交じりに発言した。


 ケータイのリッチコンテンツの表現能力については、コロンビアの竹中氏が「フルサイズの着うたは秋くらいから予定されている。いまの着うたはCDセールスにつながるから各社やっているが、フルサイズになるとCDセールスに影響が出るかも知れない」とコンテンツホルダーとしての考え方を説明。さらに「モバイルで音楽を聴くという市場を作るのは本当にいいのか。5分のフル楽曲は着信音としては意味がないという機能的な矛盾をはらんでいる。また、モバイルでやりすぎるのはユーザーの耳を壊し、音楽なら何でも同じになってしまう。ケータイの音楽は、試聴メディアとしてのスタイルがよいのでは」とも語った。

 またミュージック・シーオー・ジェーピーの佐々木氏は、「年々、ケータイのユーザーがリッチコンテンツを受け入れやすい環境になっている。そういうものを配信するとき、自分がコンテンツホルダーでないと権利の処理が難しい。しかしコンテンツがリッチになればなるほど、俳優や脚本家など、権利者が増えてくる」と発言。こうした権利の処理については実際に解決していない部分も多く、現状のサービスは実験的なレベルだと説明。その上で「そうした権利の取り決めを協議する団体の代表をやっているが、仕事が増える一方で解散できない」と業界統一のルールがなかなか作れない現状を語った。

 コロンビアの竹中氏は権利者の問題について、「欧米のような権利を管理するライトクリアランスエージェンシーのような第3者機関が日本にはない」と指摘。さらに「佐々木さんにもお願いしたいが、文化を振興すると言うことで税金を使ってこうしたことをやれないものか」と発言した。それに対して佐々木氏は「たとえばテレビドラマを2次配信する場合、音楽が流れればJASRAC、レコードを使えばレコード会社と演奏者、原作があれば原作者、脚本家の組合、さらに俳優などと協議しないといけない」と権利者の問題が難しいことを説明。さらに「第3者機関は日本の法律では難しい。日本の法律はよくできているもので、たとえば5人のバンドで1人が喧嘩して出て行くと、2次配信できなくなる。けれど、たとえば映画でちょい役の俳優にまで聞くかというと、それは現実的ではない。権利制限がもっと使いやすくなればハッピーになるが、これは日本の法律上、難しい議論」と法律的な問題にも言及。「すべては権利者、隣接権利者のもの。欧米のエージェンシーのようなものができればみんなコンテンツを預けると思うが、権利の処理は難しいので誰かがきちんとした体制を作るのは難しい。しかしエージェント機能ができればそれが発展していく。100%は求めないので、暫定でもいいからやるべきだ」と語った。



URL
  mobidec 2004
  http://www.seshop.com/event/mobidec/


(白根 雅彦)
2004/08/27 22:17

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