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【WIRELESS JAPAN 2005】
ドコモ尾上氏、動き始めたSuper 3G、4Gを語る

NTTドコモ IP無線ネットワーク開発部長の尾上 誠蔵氏
 「WIRELESS JAPAN 2005」の最終日となる15日に行なわれた講演では、NTTドコモ IP無線ネットワーク開発部長の尾上 誠蔵氏が「4Gへの発展シナリオ」と題した講演を行なった。同氏は昨年の「WIRELESS JAPAN 2004」でも4Gに向けた取組みに関する講演を行なっているが、今回は仕様策定など、より具体的な活動が始まったSuper 3G、その後となる4Gへのシナリオに焦点が当てられた内容となった。

 同氏はまず最初に、W-CDMA方式を採用するFOMAの普及状況について、「軌道に乗った」と好調ぶりに触れ、「今はまだPDCが多いが、今年度末にはFOMAが2,400万加入ぐらいになる」として、FOMAの急速な普及状況をアピールした。また、海外の通信事業者においてもW-CDMA方式を採用する企業が増えていると指摘した上で、「さらに次の発展を考える段階にきた」と述べた。

 FOMA以降、最も早い段階で投入される新しい通信方式として下り最大約14Mbpsを実現するHSDPAが挙げられているが、同氏はHSDPAの進捗状況についても触れた。ただ、昨年の講演で同氏が解説した内容や、すでに発表されている情報から新たな内容は無いとし、「高速下りシェアドチャネル」「適応変調符号化」などの特徴が説明され、「パケット伝送効率はW-CDMAの3~4倍」、「現在の基地局の簡単なハードの交換で対応できる」といった特徴が改めて解説された。また、「(基地局などの)ハードウェアはすでに開発を完了した」とし、サービス開始に向けて最終段階に近づいていることを印象付けた。


Super 3Gの概要

Super 3G導入シナリオの例
 Super 3Gについてはまず、位置づけとして「いかに4Gにマイグレーションしていくかというもので、3Gと4Gの時間的、技術的なギャップを埋めるもの」とし、「まず3Gを発展させてSuper 3Gとし、その上で4Gに移行していく」という移行シナリオをドコモとして推していくとした。「Super 3Gはあくまで3G。4Gも重要だが、3Gそのものが発展することが重要と認識している」と述べた同氏は、「Super 3Gと4Gは周波数帯域が一番違い、位置づけが違うもの」としたほか、「Super 3Gでは2GHz帯などを使っていくのがいいのではないか。4Gは新たな広帯域の周波数の割当てを期待する」と3GPPに提案している意見を明らかにした。

 Super 3Gの導入シナリオの例として、無線インターフェイスの従来と違うものにすることや、RAN(Radio Access Network)アーキテクチャを抜本的に変更することを検討しているという。Super 3GはIMT-2000の発展型であると位置付けながら、Super 3G導入時点で4G無線アクセスを追加できる準備を完了し、将来の4Gの導入時にはスムーズに移行できるという。

 Super 3Gの標準化の進捗状況については、2005年6月に「TR 25.913」として必要となる条件などが策定されたことを紹介し、「3GPP全体として Super 3Gを検討していくことで合意した」と説明。7月には技術仕様が定義される見込みという。現在想定されている仕様は、下り100Mbps、上り50Mbps、アイドル状態からアクティブになるまでの接続遅延が100msec、無線接続の遅延が5msecといったもの。スループットはリリース6のHSDPAより2~3倍程度になるという。また、周波数帯域として5、10、15、20MHz幅に加え、1.25、2.5MHz幅も検討されているという。

 また同氏は、「物理レイヤーについては、先行して開発することは往々にしてあることだが、ワーキングレベルで技術のディスカッションが始まっている」と述べ、仕様の策定と平行してSuper 3Gの技術的な議論が広く進んでいることも明らかにした。その中で候補として挙がっているいくつかの通信方式について、「下りにOFDMA(直交周波数分割多重接続)、上りはシングルキャリアのSC-FDMA(周波数分割多元接続)がいいのではないかと考えている。高速移動に対応し、カバレッジも大切だ。上りでは、SC-FDMAがカバレッジを重視するSuper 3Gにはいいのではないか」と述べ、ドコモが提案していく可能性のある通信方式に言及した。また同時に、「去年の講演の段階ではコンセプト段階だったが、ここまで具体的な内容で議論されている」と述べ、Super 3Gの実用化に向けた取組みに意気込みを見せた。


Super 3Gの進捗状況 ドコモは、6つのうち一番上にある方式を推す

 最後には、同社の4Gへの取組みが紹介された。これまでも4Gの実験結果などを発表している同社だが、最新の実験結果である、屋外においてデータ転送速度で1Gbpsを達成した実験内容を紹介。「VSF-Spread OFDM 無線アクセス」という方式を採用し、1チャンネル28Mbpsの動画を32本束ねて送信する様子などが紹介された。「今は1Gbpsの速度を何に使うのかといった段階かもしれないが、議論はこれから。さまざまな要求に応えられるよう研究を進めている」と述べ、4Gへの取組みをアピールした。


4Gでは高速移動時でも100Mbps、低速移動時なら1Gbpsの通信速度を実現する 実験では、時速30kmで走る車が使用されたという


URL
  NTTドコモ
  http://www.nttdocomo.co.jp/

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(太田 亮三)
2005/07/15 17:48

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