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【Internet Week 2005】
WiFi/WiMAX/iBurst、各社が進める次世代通信の討論会

左からライブドアの伊勢幸一氏、インテルの竹井淳氏、京セラの木村滋氏
 パシフィコ横浜で開幕した、JPNIC(日本ネットワークインフォメーションセンター)主催のフォーラムイベント「Internet Week 2005」。6日、WiFi陣営の代表としてライブドアの伊勢幸一氏、WiMAXを推進するインテルの竹井淳氏、広域通信規格として注目を浴びるiBurstを開発している京セラの木村滋氏の3氏がそれぞれの推し進めるサービス、通信規格についてプレゼンテーションを行なった。


ライブドア伊勢氏「iBurstやWiMAXも利用したい」

 ライブドアの伊勢氏は、12月1日に開始されたばかりのlivedoor Wirelessについて概要を説明。「WiFi自体の電波は200mくらい届くが、実用的な電波強度はアクセスポイントから100m以内。現在は1,500カ所程度だが、これを2,500カ所にして山手線内エリアの80%をカバーする」とした。さらに今後、第2次計画として2006年春には「4,000のアクセスポイントを東京都内、大型商用施設やオフィスビルの屋内にも設置、2006年6月に東京23区内で6,200カ所、2006年12月には1都6県で60,000カ所を目指す」という。

 また、スループットについては「最大27~28Mbpsくらい。アクセスポイントが見える位置から接続すると実測平均値で約5Mbps出ている」とコメントしたほか、採用する技術についても「今はWiFiのサービス、ということで来ているが、ライブドアはプロトコルを開発する会社ではなく、すでにある技術でサービス展開をする会社。iBurstやWiMAXが出てきて、コスト、クオリティの面で問題がなければどんどん利用していきたい」と抱負を述べた。


livedoor Wirelessが遭遇した4つの苦難

 もっとも聴衆の興味を引いたのは、伊勢氏が「ここだけの話」としてコミカルに語ったlivedoor Wirelessのサービスインに至るまでのトラブルについてだ。まず最初の苦難はサービスの概要が決まり、実際に使用する機器選定に入った2004年の夏だったという。「この段階では、802.11nの規格になりそうなMIMOでいこうか、ということで某メーカーに協力を依頼し、無線LANアクセスポイントのテストを重ねたが、ファームアップデートするたびに動かなくなるなどトラブルが頻発した。秋にはメーカーさんのほうから“無理でした”と言われ、約4カ月間を棒に振ることになった」。

 次の苦難は2005年春。「納入メーカーも決まっていたが、数千台単位での無線LANアクセスポイントを設置するという前例がなかった。納期は間に合ったのだが設定ツールがプリセットされておらず、納入された500台に、一台一台手作業で設定内容を書き込んだ」という。

 3つめは2005年秋。サービスインの延期を発表したときだ。突然の解散総選挙により、設置工事が難しくなったためだという。「通常ならば、電源やダークファイバの設置などで1つのアクセスポイントを設置するのに5時間くらいかかる。工事中に選挙カーが来て、工事のせいで渋滞を起こしてしまうことを想定した。公共サービスを提供する企業としてそれは避けなければならない。1回の設置を複数回の作業に分けなければならず、サービスインが延期になってしまった」。

 最後の苦難は今年10月の、役所との折衝だったという。某区役所が「アクセスポイントの箱はいいが、ダークファイバと電力線が美観を損ねる」と懸念を示したのだという。伊勢氏の言葉とともに画面に「箱だけ置いて、どうせぇって言うのよ!」と反論の文章が表示されると会場はどっと沸いた。


サービスインまでの苦難 500台のアクセスポイントを手動で設定したという

総選挙の影響によりサービス延期 アクセスポイントの設置は許可されたが、区役所から指摘も

インテル竹井氏「WiMAXはWiFiや携帯電話とは競合しない」

 インテルの竹井氏は、WiMAXの概要や現在の標準化進捗状況、インテルのWiMAX普及にかける意気込みなどを語った。

 竹井氏は「LAN(Local Area Network)>MAN(Metro Area Network)>WAN(Wide Area Network)」という、有効範囲によって異なるネットワーク呼称を引き合いに出し、「LANはWiFiが、WANは携帯電話網がカバーしている。今はその中間にあるMANがない。ここをWiMAXが補完する」と語り、WiMAXの位置づけを説明。それに加え、「WiMAXがあればWiFiはいらないという人がいるが、それは違う。WiFiが使えるエリアならば、そちらを使ってもかまわない。WiFiが使えないような位置でWiMAXを、WiMAXも使えない場所では携帯電話網を使えばいい。WiMAXが出てきたからといってなにかを駆逐することはない」とした。さらに、「ライブドアの考えるような面の展開で公共ネットワークを目指すという意味では目指すところは同じ」とも語り、WiMAXが既存技術とも共存できることを何度も強調したのが印象的だった。

 次に竹井氏はWiMAXの推進を行なう「WiMAX Forum」の活動について、「ひとつのスタンダード(=WiMAX)でモバイルブロードバンドを世界中で提供しようという活動をしているのがWiMAX Forumだ」と説明。普及までの課題として周波数問題について触れ、「WiFiとは異なり、WiMAXで利用する周波数には免許が必要。各国で免許申請をしなければならない。ここで各国がバラバラの周波数を使うことになってしまったら、デバイスのコストも下がらず、普及しない。WiMAX Forumでは、世界中で同じ周波数を使おうと主張している」と活動の主な目的を解説した。


初のWiMAX搭載パソコンは2008年登場?

 プレゼンテーション終盤、ワーキンググループでの標準化活動の進捗状況について、竹井氏は「実際に製品の形でユーザーにWiMAXが届くのは2008年くらいからではないか」との見通しを示した。また、同氏は最後に「WiMAXを最初に搭載してくるメーカーはまだ決まっていないが、今までの歴史を見れば新しい技術を積極的に取り入れていくメーカーが最初にWiMAXを搭載したPCを出していくものと思われる」と語った。


「WiMAXはWiFiや携帯電話を補完する」という主張を示す図 生活シーンすべてをカバーするために、WiFiより広範囲をカバーするWiMAXが必須だという

京セラ木村氏「数年後には下り4~5MbpsのiBurst IIも」

 最後にプレゼンテーションした京セラの木村滋氏は、冒頭、iBurstの開発目標として「エリアが広く、ストリーミングがストレスなくできるレベルのスループットを目指して開発された」とコメント。発表はiBurstの詳細な技術解説がメインとなった。

 iBurstはTDMA/TDD方式を採用した、携帯電話のようにキロメートル単位の広範囲のエリアをカバーする通信技術。5MHzの周波数帯域で、1基地局辺りのスループットは24Mbps。一台の端末では下り最大1Mbps、上り最大346kbpsでの通信が可能で、主にコスト面、周波数利用効率の面で優れているとされる。すでにオーストラリア、南アフリカでは商用サービスがスタートしているほか、日本や米国でも実験が開始されている。木村氏のプレゼンテーションではアダプティブアレーアンテナ、SDMAなどiBurstに用いられた技術について、さまざまなデータや数式を用いながら、iBurstの周波数利用効率のよさ、干渉の少なさ、S/N比のよさなどがアピールされた。

 標準化の活動としては、まず米国のANSI(American National Standard Institution)においてHC-SDMA(Hi Capacity SDMA)として認可されている。さらに今後、下り4~5MbpsのBEST-WIN(通称 iBurst II)を、IEEE 802.20として規格化すべく、活動を続けているという。その後のロードマップでは、下り最大10MbpsのiBurst IIIも控えている。木村氏は「周波数効率の良さを活かしながら、徐々に高速化していき、WiMAXなどと対抗していきたい」とコメントし、プレゼンテーションを締めくくった。


iBurstの概要 iBurstのロードマップ


URL
  ライブドア
  http://www.livedoor.com/
  京セラ
  http://www.kyocera.co.jp/
  インテル
  http://www.intel.co.jp/
  Internet Week 2005
  http://internetweek.jp/


(伊藤 大地)
2005/12/06 20:10

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