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【MediaFLO Day】
MediaFLOの特徴を解説、実環境でのデモも披露

クアルコムのロブ・チャンドック氏
 携帯電話に向けて映像コンテンツを配信できる「MediaFLO」は、テレビ放送のようなプラットフォームだ。クアルコムのエンジニアリング・マーケット開発担当バイスプレジテントのロブ・チャンドック氏は、日本の「ワンセグ」を含めた、各国の携帯向け地上デジタル放送と比べ、「MediaFLO」は消費電力などで携帯電話に適した技術と紹介した。


チャンネルの切り替え時間と消費電力

携帯での利用を前提として設計されたMediaFLOでは、チャンネルの切り替え速度と消費電力のバランスをとっている
 携帯電話向けに設計された具体例として挙げられたのが、チャンネルの切り替え時間と消費電力のバランスだ。同氏は、欧米などで導入予定の地上デジタル放送規格「DVB-H」と比較して、「基本的に家庭内のテレビでの利用を前提とした地上デジタル放送(DVB-H)では、携帯電話で受信できるのはオマケと言える機能。もともとMediaFLOは、地上デジタル放送のネットワークを携帯電話でも共有できないか検討したことで生まれたもので、携帯電話での利用を前提とした設計になっている」と説明。

 チャンネルの切り替え時間と消費電力は、一見したところ関わりがないように思える。しかし、ストレスなくチャンネルを切り替えるのに理想的な環境は、常に放送波を受信し続けるという方法だ。家庭内など常に電源がある固定型のテレビであれば常時受信は簡単に実現できるが、携帯電話で放送波を常時受信すると、スムーズなチャンネル切り替えが可能になる一方、消費電力が増大してしまう。

 携帯電話での利用に向けて設計されたMediaFLOでは、1秒間に4回、放送波を受信する形になっており、チャンネル切り替え時間は2秒以下(1.5秒を目処に開発中)で、4時間の連続視聴(850mAバッテリーの場合)と、バランスを重視した仕様になっている。


2種類の配信スタイル

MediaFLOで用いられるデータの仕様
 MediaFLOの主な機能としては、番組表にあわせてリアルタイムに放送するモードと、数分単位の短時間の映像コンテンツを配信して端末内に保存しておくモードが挙げられる。前者は「リアルタイム」、後者は「クリップキャスト(Clipcast)」と呼ばれる。

 米国では700MHz帯のうち6MHz幅を使ってサービスが提供される予定だが、MediaFLOそのものは、5MHz幅・6MHz幅・7MHz幅の3種類で運用できる。同氏は「米国での仕様を元にした内容」と前置きした上で、リアルタイム配信では、QVGAサイズ、30fps、H.264コーデックの映像コンテンツを最大20チャンネル分放送できると説明。またラジオのように音声(音楽)だけを配信する場合は、AAC+コーデックで最大10チャンネル分の配信が可能だという。

 一方、クリップキャストでは、映像データの仕様そのものはリアルタイム配信と同じで、1日あたり10分の映像コンテンツを80本、合計で800分ぶんのデータを配信することができる。日本国内で提供されているKDDIのEZチャンネルに近いものだが、端末への蓄積型配信という面では、MediaFLOでは映像・音声コンテンツに加えて、株式情報や気象情報といったシンプルなデータの一斉配信も可能だ。これは同社内で「IP data-casting」と呼ばれる機能で、災害が発生した場合などの緊急通報機能もこの部分を使って実現できるようになっている。データ配信分を同社開発のユーザーインターフェイス技術「uiOne」と組み合わせれば、待受画面に最新の情報を表示する、といったサービスも実現できる。

 サービスのインターフェイスは、同社ではなく、MediaFLOを採用する事業者が最終的に決定する形になるが、データ配信、あるいはWebサイトにアクセスしてリンクをクリックすると、MediaFLOで配信された映像画面に移る、ということも技術的には可能だという。またリアルタイム配信を視聴しながら、チャンネルを変える感覚で、端末内に蓄積されたコンテンツに移ることもできる。なお、MediaFLOは、携帯電話でコンテンツを受信するという一方通行の放送型プラットフォームだが、米国でのデータ伝送速度の仕様は最大11Mbpsで、通常は6Mbps程度になる。

 チャンドック氏は「無線通信部分は、OFDMをベースとした技術。受信環境に応じてQPSK、16QAMと変調方式を変更することも可能。変調方式の変更は、チャンネルごとに設定することもできる」と語った。


試験放送のデモも披露

披露された試作機

サブメニューを出したところ
 同社が開発したMediaFLO対応の携帯電話試作機も披露された。また、この端末を使った視聴デモンストレーションもあわせて行なわれた。

 視聴デモは、試験用の放送設備から発せられた放送波を受信した様子がわかる内容。放送波の受信というデモンストレーションそのものは、これまでもさまざまなイベントで披露されてきたが、それらは展示ブース内に置いた放送設備から発せられた微弱な放送波を受信していた。

 一方、今回のデモでは、会場から10マイル(約16km)程度離れた場所にあるアンテナから放送波が流されており、本番環境に非常に近い状況となっている。受信したのは屋内だが、映像データは15fpsというフレームレートで、スムーズに再生されていた。番組概要の参照やスキンの変更も可能となっていた。

 また、あわせて試作機の内部パーツも公開された。試作機のチップセットは、W41HやW41CAなどで採用されている「MSM6550」だが、MediaFLO対応機能を実装するために組み込まれた部品は、受信機能を司るチップと、映像をデコードする部品のみ。実際に映像をディスプレイに表示する機能などは、MSM6550側で処理されている。

 4時間の連続視聴が可能とされているが、チャンドック氏は「あくまで試作機での話で、4時間見るとバッテリーが尽きてしまう。ただ、MediaFLOの受信そのものよりも、液晶ディスプレイ部分を駆動させることで電力が消費されてしまう」と語り、MediaFLOコンテンツのデコードなどでの消費電力はわずかと説明した。

 別の会場ではサムスン製のMediaFLO対応試作機も公開された。1月に開催されたイベント「International CES」でもサムスン製およびLG製のMediaFLO対応試作機が披露されていたが、今回の試験機とは別のもの。ただし、今回の試作機では受信デモはできないようになっていた。


スキンの変更も可能だ 数字キーの3を押すことで横向きのフル画面に切り替えられた

内部パーツも公開 サムスン製の試作機


URL
  クアルコム(英文)
  http://www.qualcomm.com/

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(関口 聖)
2006/03/02 17:36

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