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【MediaFLO Day】
ジェイコブスCEOにMediaFLOを聞く

 米国サンディエゴの米クアルコム本社で2日(現地時間)、同社CEOのポール・E・ジェイコブス氏と日本の報道関係者とのラウンドテーブルが催された。映像配信プラットフォームのMediaFLOなどに関して話を聞いた。


クアルコムCEOのジェイコブス氏
――なぜMediaFLOを提供することにしたのでしょう?

 もともと携帯向けブロードキャストサービスをやりたいと考えました。最初はオーディオのみの配信という構想でしたが、練っていくうちに映像も配信できる可能性があると判断したのです。3Gサービスでは、マルチメディアというものに期待が寄せられていると思いますが、きちんとスケーラビリティを活かすためのサービスとしてMediaFLOを提供することにしました。

 韓国でCDMA2000 1xEV-DOがスタートした直後、現地では定額での映像配信サービスが提供されました。多くの人に使われましたが、すぐにキャパシティが問題になり、その後、従量課金制に移行しました。その直後に利用されなくなってしまったのです。映像を配信するには、音声配信の100倍以上の帯域、ビットレートが必要ですが、携帯電話のネットワークで実現させるのは難しいでしょう。それならば別のアプローチが必要と考え、その結果がMediaFLOという形になったわけです。

 開発そのものは、QVGAサイズで30fpsという映像を配信するためのシステムで開発を進めてきており、携帯電話以外に配信するということはまだ考えていません。そういう需要が存在し、コンテンツホルダーとの契約スタイルや考え方によっては、携帯以外の配信もあり得るかもしれません。

 MediaFLOの事業会社は、将来的にスピンオフさせる考えで、その時点ではクアルコムの収益と関連がなくなるでしょう。チップビジネスでは、携帯電話にさまざまな機能が搭載されることで、端末価格の下落を抑えることができると見込んでいます。ただし、“MediaFLO効果がいくらか”というところまではまだ明言できないでしょう。ライセンス料などの収入よりも、端末買い替え需要の促進によってチップの売上に貢献する、という形のほうが期待できるのではないでしょうか。つまりMediaFLOによる収益は、子会社としての収入、ライセンス料、端末価格という流れで移り変わっていくでしょう。

 ちなみにMediaFLO専用のチップは、開発の効率を踏まえて、単独のチップとなっていますが、将来的にMSMシリーズとの統合があり得るかどうか、という点については、マーケットの動向などによります。ただ、各方式のブロードキャストに対応するチップの開発は考えており、さまざまな端末開発のサポートしていきたいと思います。いずれにせよ、市場の動向次第ということになりますね。

――MediaFLOの登場によって、BREWはどう進化していくと思いますか?

 MediaFLOのユーザーインターフェイスはBREWで構築されており、両者の関係は大変深いものです。たとえば株式情報では、MediaFLOで株式情報をチェックしてBREWアプリから購入するといった形も考えられます。またゲーム配信では、毎週何か新しいデータが配信され、新しい展開が楽しめるということもありえるでしょう。いずれにせよ、今後は新しい世界が広がっていくと思います。


日本市場、OFDMを活用するIEEE802.20について

MediaFLOへの意気込み、今後の展開になどについて語った

クアルコムがこれまで取得した特許の証明書を展示するPatent Wall
――日本市場はどう見ていますか?

 日本は、常に新しいアプリケーションが展開されるという意味で、非常に重要な市場です。ハイエンドのチップセットでサポートする機能を検討する際は、日本のニーズは非常に重要な要素であり、日本のキャリアと常にディスカッションを継続しています。また、日本の端末メーカーは常に先進的ですが、国際競争力という面では、コストについても検討される必要があるのではないでしょうか。日本市場以外でも合うような価格帯の製品でありながら、差別化が図れているという端末作りに協力していきたいと思います。

 日本の通信事業者では、モバイルWiMAXに対する動きがありますが、モバイルWiMAXについては思い違いというか、それに対する期待にはちょっと間違いがあると思っています。我々としては、モバイルブロードバンドの世界では、OFDMを使った次世代高速通信技術のIEEE802.20を開発しており、モバイルWiMAXより優れていると捉えています。キャリア側とすれば良い技術を採用されるでしょうから、IEEE802.20が採用されるよう展開していくことになるでしょう。特に日本市場は要求レベルが高く、それに答えられる開発を行ない、提供する必要があるでしょう。

――今後のクアルコムはどういったものを提供していくのでしょう?

 来週ヘルスケア業界の方とミーティングする予定なのですが、携帯電話はさまざまなものと繋がっていき、コンバージェンスが発生していくでしょうし、そこにフォーカスしていくことになるでしょう。今の通信は、人と人を繋げるという部分が中心ですが、機械と機械といった面も拡大していくことになるでしょう。

 また、たとえば発展途上国のような国、通信インフラがないような国で携帯電話のコンピュータ機能でデジタルデバイドを解消したり、それらの国の経済発展に寄与できるようなこともあるでしょう。

――ありがとうございました。



URL
  クアルコム(英文)
  http://www.qualcomm.com/

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(関口 聖)
2006/03/03 15:54

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