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【MediaFLO Day】
クアルコムが推進する無線ブロードバンド「802.20」

クアルコムのピーター・カーソン氏
 通常の携帯電話網よりも高速な無線通信環境を実現すべく、KDDIが実証実験を行ない、イー・アクセスやアッカネットワークスも取り組むというモバイルWiMAX。しかし、クアルコムでは現在、「IEEE802.20」という通信技術の開発、標準化に取り組んでいる。同社では「802.20は、モバイルWiMAXより遙かに優れている」としている。標準化そのものが2006年中、2007年以降に本格展開されるという802.20は、まだその実力を目にすることができない状況だが、同社ビジネス開発部門シニアディレクターのピーター・カーソン氏から同規格の概要が紹介された。


通信速度は下り最大260Mbps以上、上り60Mbps以上に

カーソン氏は無線通信の現状を説明し、より高性能な技術が求められていると指摘

CDMAとOFDMの特徴
 カーソン氏は、「無線通信技術は、Bluetoothなどの近距離型のほか、携帯電話のセルラーネットワーク、無線LAN、当社が手掛けるMediaFLOなど、さまざまな方式が存在している。現在は、リッチコンテンツの登場によって、無線通信のキャパシティ増加が求められているが、802.20では、高トラフィックに対処できるようになる」と述べた。

 そもそも802.20とはどのような通信方式なのか。その特徴は、無線LANや地上デジタルテレビ放送などで用いられているOFDMを活用するということだ。同氏は「OFDMとCDMAを比べると、無線LANでわかるように、より安定した環境ではOFDMのほうがハイパフォーマンスで、通信波の一部が遅れて届く場合(ディレイ)も補正しやすい。しかしCDMAは、セル(1基地局がカバーする通信可能エリア)とセルの間に発生する干渉を、比較的シンプルな手法で低減できる。ハンドオーバー時には、CDMAではソフトハンドオフが採用されており、高速移動時に効果を発揮している。802.20では、OFDMを用いながら、CDMA方式で活用されているソフトハンドオフを採用している」と説明。

 また、同氏は「一定の周波数幅での効率性ではCDMAもOFDMも同じパフォーマンスながら、今後の周波数割当によって、細切れの周波数幅をマルチキャリアとして処理するよりも、大きな帯域幅を割り当てて一気にOFDMで処理したほうが、よりシンプルとなり、コスト面でもOFDMにアドバンテージがある」と述べた。

 802.20では、FDD(周波数分割)と、TDD(時分割)がサポートされている。FDD版はクアルコムが提唱したもの。TDD版は京セラとクアルコムがそれぞれ提唱しており、最近リリースされたドラフトでは京セラ案とクアルコム案を組み合わせているという。なお、京セラでは高速無線通信方式の「iBurst」を世界各国で提供しているが、かねてより京セラ関係者からは、IEEE802.20としてiBurstの標準化を目指していることが明らかにされている。

 また802.20の規格そのものは、移動体通信に向けた内容となっており、3G方式との統合も視野にいれているという。通信速度は、FDD版で20MHz幅の場合、下り最大260Mbps以上、上り60Mbps以上に達する。なお、仕様上はMIMOも採用されている。

 カーソン氏はこれらを踏まえた上で「WiMAXはもともと固定向けの通信方式で、現在、移動体向けの技術を模索している段階。エリアカバレッジ、ネットワーク能力、キャパシティ能力では802.20のほうが、モバイルWiMAXとは比較にならないほど優れた技術だ」と自信を見せた。

 同社では、今後のロードマップを、2006年中が802.20の準備段階、2007年以降に802.20が本格化し、802.20と3Gのマルチモードのサポートは2009年以降としており、WiMAXよりも一歩出遅れた感は否めない。


802.20では、下り最大260Mbps以上、上り60Mbps以上が実現できるという 同社が示したロードマップ。802.20の実用化までは、もうしばらく時間がかかりそうだ


URL
  クアルコム(英文)
  http://www.qualcomm.com/

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(関口 聖)
2006/03/03 16:29

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