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【第5回 ケータイ国際フォーラム】
京セラ、LANとWANの間を補完するiBurstをアピール

京セラの西口会長
 3月15日と16日の2日間、京都のパルスプラザにおいてケータイ関連の展示会「第5回 ケータイ国際フォーラム」が開催された。同会場で行なわれたカンファレンスの中で京セラの代表取締役会長兼CEO 西口泰夫氏は「本格的に到来するユビキタス社会に向けた京セラの取り組み」と題した講演を行なった。

 まず西口氏は昨年総務省が発表した「u-Japan」政策を紹介する。「uはユビキタス、ユニバーサル、ユニーク、ユーザの4つの意味を持つが、重要なのはユビキタスだろう」と語る。「ユビキタスは物と物が通信するような環境。これにより新しいことができる。このユビキタスに対し、無線インフラが果たす役割は重要。また、単に無線でつながるだけでなく、異なる無線方式をどう組み合わせるか、大容量データ通信に耐えるインフラをどうするかも解決する必要がある」と説明する。


u-Japan政策について ユビキタス社会のネットワークについて

無線インフラの4分類
 西口氏はユビキタス社会を支えるインフラを、4種類に分けて解説する。一番目はテレビ放送などのBroadcast。「放送のポテンシャルはこれからも無視できない。注目するべきはデジタル化とモバイル対応。デジタル化することでより通信インフラとの親和性が高くなる」と説明する。2番目には携帯電話などのWANを、3番目には無線LANなどのLAN、そして4番目にBluetoothやRFIDなどのPAN(Personal Area Network)を分類する。

 ケータイ市場については、「世界的にみると利用者は増えている。2005年末には21億人を突破した。昨年1年だけで4億人増えており、依然、成長期にある」と説明。「地域的にはBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)の成長が核になっている。BRICSでは2Gのローエンド端末がメインで、3Gは世界市場全体で見てもまだまだ。しかし今年は米国欧州のメガキャリアが3Gに本腰を入れるので、節目の年になるだろう」と今後の見通しを語った。

 一方の国内市場については「対人高普及率が70%を超え、飽和しつつある」と説明する。今後については「運営面で未確定な部分があるが、MNPも始まる。新規事業者も入ってくる。市場が動かす大きな要因があり、可能性がある」と語った。


世界のケータイ契約者数と方式内訳 国内のケータイ契約者数と方式内訳

 またPHSについても言及。「世界のPHSユーザーは過去5年間で激増している。この主たる原因は中国で伸びているから。伸び率自体は鈍化傾向にあり、今後3Gの導入が進めばPHSが厳しくなるという観測もあるが、読みきれない。現在の中国ではPHSは庶民的なインフラとして確固たるポジションを築いていて、これは変わらないだろう」とし、PHSが将来も発展を続けていくという予測を語る。さらに国内のPHSについても、ウィルコムの音声定額が好評なことを紹介して「通信という世界で、音声通信=会話がキラーコンテンツであるということを実証した」と語った。


世界のPHS契約者数と純増数 国内のPHS契約者数と純増数

WANとLANの間を補完する「MAN」としてのiBurst

 西口氏は固定ブロードバンド回線の高速化に伴い、GyaOなどの動画配信の人気が高まっていることを紹介。「ユーザーはリッチなコンテンツを求める。そのニーズにこたえられるインフラが必要」と説明する。その上で「ユビキタス社会を牽引する無線通信のブロードバンド化には広い周波数帯が必要だが、周波数は限りある資源なので、一定の周波数でより大きなデータを転送できる周波数効率が重要になってくる」と語る。

 その上で西口氏は、先ほど紹介した無線通信インフラの4分類を引用し、WANとLANの間を補完するMAN(Metropolitan Area Network)=ワイヤレスブロードバンドというコンセプトを説明する。WANほどのエリアはカバーしないが、LAN並みの速度をもっと広いエリアで使う、という発想だ。


ワイヤレスブロードバンドへのニーズ WANとLANのあいだに位置するMAN=ワイヤレスブロードバンド

 西口氏は「MANの技術にはさまざまなものが考えられている。その一つはIEEE802.16e、いわゆるMobile WiMAX。そしてもう一つがIEEE802.20。京セラではiBurstという規格を提供している」と説明する。

 iBurstの特徴として高い周波数効率があると紹介する。さらに5MHzという帯域でワイヤレスブロードバンドサービスが提供できると説明し、10~20MHz程度を必要とするWiMAXに対する優位性をアピールする。さらに1つの基地局に多数のユーザーがアクセスした場合でも、ある一定のラインまでは1ユーザーあたりのスループットが低下しないという特徴も紹介する。また、オーストラリアなど4カ国で商用サービスが開始されていることも紹介し、世界展開が進んでいることもアピールする。

 標準化に関しては「今年1月にIEEEから802.20という技術仕様のスタンダードナンバーをもらった。詳細に関しては今年一年をかけて検討する」と説明。さらにIEEE以外の標準化に関してもANSIに認定されていることなどを紹介。「世界で共通で使われる通信システムだから、世界標準化するのが重要」と語った。

 最後に西口氏は「ワイヤレスブロードバンドという新しい考えが世界を広げようとしている。新しい世界が広がると、さらなる高速化が求められる。そこで限られた通信資源=周波数を有効活用することが重要になる。京セラは基地局デバイスの事業を通して、積極的に市場に参画していきたい」と語った。


iBurstの位置づけについて iBurstの周波数効率

狭い帯域でもワイヤレスブロードバンドを提供できるiBurst 同時アクセス数が多くてもスループットが落ちないというマクロセルで有利な特徴を持つ

世界で展開するiBurst 標準化に向けた動き。京セラ提案とクアルコム提案の2種類がある


URL
  京セラ
  http://www.kyocera.co.jp/
  ケータイ国際フォーラム
  http://itbazaar-kyoto.com/forum/

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(白根 雅彦)
2006/03/17 19:03

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