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【ワイヤレス・テクノロジー・パーク2006】
電波産業会、NTTドコモ、KDDIが次世代の無線通信について語る

 4月27日~28日にかけて、神奈川県横浜市にあるパシフィコ横浜では、無線技術のイベント「ワイヤレス・テクノロジー・パーク2006」が開催されている。そのセミナー「グローバル・スタンダードを目指す『世界の無線通信方式と規格最前線』」で社団法人 電波産業会(ARIB)やNTTドコモ、KDDIが次世代通信システムに関する講演を行なった。


電波産業会の佐藤氏
 まず電波産業会 常務理事の佐藤 孝平氏が「次世代移動体通信システムの標準化とITU-R WP8Fの最新動向」と題した講演を行なった。電波産業会は電波を利用する通信・放送システム全般の業界団体。

 佐藤氏はまず、IMT-2000(いわゆる3G)の標準化団体である3GPPsについて紹介する。3GPPsとは国際的な仕様作成をする団体で、参加する標準化機関は3GPPsで作成された仕様を各国・地域の標準に変換する。3GPPsにはNTTドコモやボーダフォンが採用するW-CDMA方式などを扱う3GPPと、KDDIが採用するcdma2000方式を扱う3GPP2があり、それぞれの技術仕様を策定している。

 電波産業会は3GPPsにパートナーとして参加している。3GPPsのパートナーとしては他にも各国の標準化機関が参加していて、最近では中国のTD-SCDMA方式の標準化団体も参加しているという。佐藤氏は3GPPsは法的な団体ではなく、単なる“共同作業の場”であると説明する。「参加する標準化機関間で重複した仕事をやめるとか、作成した仕様の内容を各機関で変更しないこと、国・地域の要求条件は可能な限り3GPPs内で指摘し、技術上のオプションにすることなどが決められている」という。


3GPPsの目的と役割 3GPPsの組織概要

 佐藤氏は続いてITU-R WP8Fの活動も紹介する。ITU-R WP8FとはITU(国際電気通信連合)の無線通信技術標準化部門であるITU-R内にある、IMT-2000とその次世代システムを検討する部門。佐藤氏はまず、通信速度とモビリティの関係を示したITU-R勧告による図を示し、IMT-2000の高度化とその後継システムに要求される能力を説明した。さらにITU-R WP8Fの最近の成果として、候補となる周波数幅の草案が決定して周波数の予測が可能になったことや、後継システムの名称が議論の結果IMT-Advancedに決定し来年承認される予定であることなどを紹介した。


WP8Fの概要 IMT-2000の高度化を示す図。「バンダイアグラム」とも呼ばれるという

 さらに佐藤氏は第4世代実現のための日本のフォーラム、モバイルITフォーラム(mITF)についても紹介する。モバイルITフォーラムでは市場調査を行ない、ユーザーニーズの分析などを行なっているという。

 最後に佐藤氏は高度無線通信研究委員会について説明した。高度無線通信研究委員会は総務省の提言を受けて電波産業会内に2006年4月1日に設置されたもので、既存のIMT-2000研究委員会の流れを汲むもの。佐藤氏は「シームレスなネット環境の早期実現などのために、みなさんのご協力と支援をいただきたい」として講演を締めくくった。


mITFの概要 高度無線通信研究委員会について

NTTドコモの尾上氏
 続いてNTTドコモのIP無線ネットワーク開発部 無線システム開発部長の尾上 誠蔵氏が「スーパー3Gおよび4Gに関する最新技術動向」と題した講演を行なった。

 尾上氏は直近のドコモの取り組みとして4Gまでのロードマップを示し「2006年にはHSDPAを導入する。ネットワークのIP化も今年行なう。あと新しい周波数帯もどんどん必要に応じて利用していく。先月1.7GHzをもらったので、早い段階で導入して増える加入者数に対応していく」と語った。

 HSDPAについては「基本的に通信の効率が上がる。ユーザーから見ると高速なデータ通信が可能になる。事業者から見るとビットコストが削減され、そこがユーザーにフィードバックされる。それらを狙った技術」と説明する。

 HSDPA以降については「3Gの長期的な進化、それがドコモの言うスーパー3G」としてドコモの取り組みを紹介する。「基本コンセプトは3Gと4Gの間の時間的・技術的ギャップを生め、スムーズに4Gを導入するというもの。これがもともとの考え方だっが。しかしほかのオペレーターとしては、3Gが長続きして発展し続ける点に賛同している。いまはそういった動機でも取り組んでいる」と語る。4Gとスーパー3Gの違いについては「周波数が違う。ターゲットとして高いところを4Gは目指していて、まとまった周波数を使う。このあたりが違う」と説明する。タイムスケジュールとしては、2006年にHSDPAを導入し、2010年ごろにスーパー3Gをネットワークに加えていくことを想定しているという。


ドコモのロードマップ スーパー3Gについて

現行の3Gの進化とスーパー3G、4Gの違い 現行の3G、スーパー3G、4Gの展開シナリオ

KDDIの渡辺氏
 KDDIの技術統括本部 技術開発本部長の渡辺 文夫氏は「ウルトラ3GとWiMAXに関する最新技術動向と今後の戦略」と題する講演を行なった。

 渡辺氏はまずauの現状を紹介し、その上で「将来はどうなるか、FMCとよく言うけど、KDDIは移動と固定をトータルに提供しているからどうなるか。その目指すところをウルトラ3Gと呼んでいる」とし、「無線、有線、いろいろなアクセスを併用しながら共通のサービスプラットフォームを作る」と語ってウルトラ3Gについて紹介した。

 無線部分の技術については「CDMA方式は順次発展している。本年中にEV-DO Rev.Aを導入する」として無線通信方式の進化についても紹介した。「Rev.0(現在のWINの通信方式)はどちらかというとダウンロード能力を高めた方式。ウェブ閲覧や着うたダウンロードに向いている。一方のRev.Aはアップロード能力も強化している。そしてリアルタイムにコミュニケーションできる仕組みも盛り込んでいる。たとえばHSDPAは太い高速道路でダンプを走らせてデータを運ぶようなもの。VoIPなどをやるには効率の悪い方式。Rev.Aではそうしたリアルタイム性の求められる通信が効率的になる」として次の通信方式について説明した。

 Rev.Aの後については「その次は決まっていないが、オペレーターとして大事な制約条件はビット単価を低減できること。これが担保で切るような技術を目指して開発している」と語った。


ウルトラ3Gへの流れ ウルトラ3Gの基本イメージ

CDMA2000方式の今後の拡張 EV-DO Rev.Aの特徴


URL
  ワイヤレス・テクノロジー・パーク2006
  http://www.wt-park.com/

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(白根 雅彦)
2006/04/28 12:00

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