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【Interop Tokyo 2006】
韓国WiBroの現状とは

韓国政府の情報通信部 通信事務官 宗相勲氏

韓国のFMCサービス「ワンフォン(One Phone)」

韓国のFMCサービス「ワンフォン(One Phone)」
 6月5日~9日にかけて、千葉県幕張メッセで、IT関連イベント「Interop Tokyo 2006」が開催されている。7日午前には、さまざま事業者が関心を寄せている広域高速無線通信「WiMAX」の現状を紹介するコンファレンスが催された。その中で、韓国政府の情報通信部 通信事務官 宗相勲氏から、韓国で6月末にも正式サービスが開始されるモバイルWiMAX「WiBro」の現状が紹介された。

 「WiBro」とは、Wireless Broadbandの略で、モバイルWiMAX(IEEE802.16e)を採用した高速無線通信サービス。韓国内でのブランド名称とも言え、これまではKTおよびSKTから実験サービスが提供されている。宗氏によれば6月末にも正式サービスの提供が開始される見込みという。

 宗氏は、なぜ高速な無線通信サービスが必要となってきたが、その背景から説明を行なった。同氏は「通信市場の動向として、成長が続いてきた携帯電話も成熟し、固定電話は縮小傾向にある。そのような状況下、韓国では端末レベルで融合するサービス、そしてアプリケーションレベルで融合するサービスの提供を進めてきた」と語る。

 融合サービスの具体例として同氏は、いわゆるFMCにあたる「ワンフォンサービス」を紹介。これは1台のワンフォン対応携帯電話があれば、屋外では携帯電話として、屋内では近距離通信で通信・通話できるというもの。屋内の固定網には、Bluetooth対応の送受信機が接続され、Bluetoothの圏内に携帯電話があれば固定網を使う。固定電話宛に着信があった場合、圏内であれば携帯電話で応答できる。韓国最大の通信事業者であるKTから提供されており、現在17万人の加入者がいるという。なお、KTからの提供にあたっては、市場支配力の強化を防ぐために、固定電話と携帯電話は別々に課金され、他事業者も同じ条件でサービス提供できるよう義務づけられているという。

 またデータ通信にフォーカスするFMC風サービスとして紹介されたのは「NESPOT」と呼ばれるサービスだ。これは屋外では携帯、無線LANスポットでは無線LANという形で通信方式を切り替えるサービス。普段は携帯電話のネットワークを用いながら、データ通信する際に無線LANスポットに居れば、より高速で通信できる。2003年よりKTが提供しており、加入者は10万人を超えている。

 ここまでが端末レベルの融合サービスとした宗氏は、続いてアプリケーションレベルで融合したサービスの具体例に触れた。その1つは、携帯電話やパソコン、デジタル音楽プレーヤーなど、機器を問わずに利用できる「ユビキタスデジタル音楽サービス」だ。韓国では2004年11月~2005年5月にかけて続々と類似のサービスが登場したとのことで、料金は月額500円程度、事業者が持つ80万曲以上の楽曲をレンタル形式で自由に楽しめるようになっている。急速に利用者が増加しており、2006年1月には有料会員が121万人を突破したという。

 宗氏は「かつてはリングバックトーン変更サービスや着信メロディが携帯電話での音楽サービスとして成長してきたが、今やユビキタスデジタル音楽サービスが市場をリードしている。いつでもどこでも音楽を得られるというのは、ユーザー獲得の要因だ。このサービスがあるからこそ、米アップルはiTunes Music Storeを韓国内で展開できない状況と言える」と述べた。


無線LANを使う「NESPOT」 ユビキタスデジタル音楽サービスが高い人気という
無線LANを使う「NESPOT」 ユビキタスデジタル音楽サービスが高い人気という

6月末に正式サービスがスタートするWiBro

6月末に正式サービスがスタートするWiBro
 WiBroがスタートする以前から、積極的なサービス展開が為されている韓国市場。まず宗氏は、WiBro導入の流れに触れ、「かつて韓国では“携帯インターネット”という新たな用途を産み出して、2.3GHz帯に周波数を割り当てた。それが今はWiBroに名称を変更して実用化に結びつけた。世界的にはWiMAXを2.5GHz帯で使うことが主流になりつつあるが、韓国は先駆けてスタートしたため、若干異なる周波数になっている。2005年にKTとSKTにWiMAXの認可を付与したが、サービス開始から3年後にはMVNOの導入を義務づけると言う条件を課している」と説明した。

 それではWiBroの登場は、どのようなインパクトを与えるのだろうか。宗氏は「WiBro登場で、我々が期待しているサービスは、位置情報サービスや、パソコン・携帯間でのネットワーク対戦ゲーム、予告編を見られる映画チケット購入サービス、語学学習などだ」と実験サービスの様子を披露しながら、期待を示した。

 同氏は「世界各国でWiMAXの導入が検討されており、2006年はモバイルWiMAX元年になるだろう。韓国政府としては、ユーザーの選択権を拡大する政策などを展開していく。WiBroは成熟・縮小状態にある通信市場を成長させるサービスとしても期待している」と述べた。


WiBro展開に向けて、着々と展開してきた韓国政府 WiBro登場で期待される各種サービス
WiBro展開に向けて、着々と展開してきた韓国政府 WiBro登場で期待される各種サービス

WiBro対応スマートフォンで見たビデオオンデマンド 各国でWiMAXの導入が検討されている
WiBro対応スマートフォンで見たビデオオンデマンド 各国でWiMAXの導入が検討されている

IRIユビテック干場氏

IRIユビテック干場氏
 このほか同講演では、IRIユビテック ユビキタス研究所の干場 久仁雄氏から日本でのWiMAXの展開に向けたポイントなどが触れられた。同氏は「WiMAXは、キャリアが展開するサービスのはか、無線LANのような形で免許がいらない帯域での通信プラットフォームを構築できる。大学や工場といった有線LANの展開が難しい場所でのイントラネットのインフラ構築、自治体の災害対策用バックアップ回線などが面白いところだろう。当社ではYOZANのサービスもコンサルティングしたが、無線LANのバックボーンとして活用するのが、立ち上げ時期に適した展開と考えている。また、端末も無線LANカードのような形で、キャリア以外の事業者が販売する可能性も期待できる」と述べ、既存の携帯電話とは異なる形でのサービス展開に期待感を示した。

 その一方で同氏は「個人的な考えだが、既に携帯電話事業者は面的なサービスエリアを構築しており、新たにWiMAXでのサービスエリア構築を行なうメリットが見いだせるかどうかは疑問。そういった面からは固定網の通信事業者やケーブルテレビ事業者がWiMAXを展開するというのが良いのではないか」と語った。



URL
  Interop Tokyo 2006
  http://www.interop.jp/


(関口 聖)
2006/06/07 15:51

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