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【PDA・モバイルソリューションフェア2006】
キャリア4社がディスカッション、携帯ビジネスの未来を語る

 9月1日に開催されたモバイルビジネス関連の展示会「PDA・モバイルソリューションフェア2006」。午後の講演では、携帯電話・PHSの通信事業者の代表者が集結し、「キャリア4社が語る これからのモバイルソリューション」と題してパネルディスカッションが行なわれた。

 パネリストは、NTTドコモのユビキタスサービス部 企業ソリューション担当部長 武藤肇氏、KDDIのモバイルソリューション事業本部モバイルソリューション商品開発本部長 山本泰英氏、ボーダフォンの法人営業本部法人マーケティング部長 齋藤和也氏、ウィルコムのソリューション営業本部ソリューション推進部長 深見一一氏の4名。司会はリックテレコムの太田智晴氏が行なった。


会場は大入り満席、各社が現状を語る

ウィルコムの深見氏
 事前登録者でほぼ満席状態、当日登録者を合わせると立ち見客でセミナー会場が埋まった今回のパネルディスカッション。ワイヤレスのブロードバンド環境が整備されつつある中、まず、各社が現状について語った。

 口火を切ったウィルコムの深見氏は、国内のスマートフォン市場に一石を投じた同社の「W-ZERO3」について触れ、「5年前でもW-ZERO3のような端末は存在したが、実際にモバイルで1カ月間マジメに仕事をしようとすれば、30万円かかっていた。今はそんなことはないだろう。デバイスなどの進化によって、法人がモバイルをマジメに考えられる段階になったのではないか」とした。

 ドコモの武藤氏は、同社が31日に高速パケット通信「HSDPA」対応のFOMA端末「N902iX HIGH-SPEED」を発売したことに伴い、「我々もようやくブロードバンドの端末を出した。これかの未来、固定通信を追いかける形でモバイルも益々ブロードバンド化していく」と述べた。

 ボーダフォンの齋藤氏は、司会者の「ボーダフォンからソフトバンクに変わる」といった投げかけに対し、「皆さんが本当に聞きたいのは、ソフトバンクに変わることで何が変わるのか? ということだと思うが、実は孫社長から止められているんです」と話し、会場の笑いを誘った。ソフトバンクでは、3Gで他社に劣っている部分を回復し、その後、ソフトバンクのグループ力を活かして、ユーザーがどこに繋がっているか意識せず繋がっている状態にするとしている。同氏は「今後はもっと総合力が求められるのではないか」と語った。

 また、KDDIの山本氏は、企業内でのモバイル活用に言及し、「企業アプリの繋がる先は全てイントラ(イントラネット)だと思う。安心・安全で速い通信スピードが求められている」と話した。これに加えるように、ドコモの武藤氏は「携帯電話は上りも下りも速くてストレスなく使える環境が求められていく。従来の外勤者・内勤者というカテゴリに、テレワーカーが加わるのではないか」と予測。大量の定年退職者が生まれる団塊の世代が持つ経験を活かせる仕組み作りの必要性を語った。


定額制について

ボーダフォンの齋藤氏
 「モバイルがブロードバンド化することで企業活動はどう変わるのか?」――司会者の問いかけに答えたウィルコムの深見氏は、「モバイルは時間と空間、場所の制約をとってしまう。その辺りが今後の中心となるのではないか」と話す。また、ドコモの武藤氏は、すでにオフィス内のブロードバンド化が実現している現状を踏まえて、「外からのアクセスがどれだけに便利になるか。この課題を克服できれば外でもオフィス内と同じ環境を提供できる」との見解を示した。

 さらに、モバイルの定額制についてもコメント。ボーダフォンの齋藤氏は、「外と繋がることで多くの可能性が広がるが、コストは最適化されなければいけない。どこまでできるかは別として、我々も定額制について提案していかなればならないだろう。単に通信の定額ということではなく、さまざまな形で定額制が必要ではないか」とした。

 これに対しKDDIの山本氏は、「定額は法人ユーザーにとって自然なこと。それは企業が予算で動くからだ。我々は法人向けに通信カードの定額化や音声のグループ内定額をスタートする。これまではDION・au・IP-VPNのそれぞれの契約が必要だったが、今後は、KDDIとの間でユーザーは通信の権利を購入し、どれにアクセスしてもいいようなものを提供していくことになるだろう」と語った。


端末への課題

ドコモの武藤氏
 ディスカッションでは、モバイルがブロードバンド化する中で、端末の今後の課題などについても言及された。

 ウィルコムの深見氏は、好調にに推移するW-ZERO3について、「我々の販売目標は50万台だが、実は発表した当初はここまでになるとは考えていなかった」と話した。ヒットの理由として同氏はWindows Mobileを採用して点を挙げており、今後、プリンタやBluetoothといった入出力ニーズに応えていく必要性を語った。

 これを受けて、「スマートフォンタイプの端末はなかなか売れない。そこを見事に突破したのがW-ZEORO3」と述べたのはドコモの武藤氏。ドコモでは、フルキーボード搭載した「hTc Z」の提供を開始しており、ウィルコムが切り開いたとも言えるスマートフォン市場にも注力していく姿勢を見せた。

 こうした中、スマートフォンタイプの端末の投入について、ボーダフォンの齋藤氏は「雑誌などで噂が書かれているが、現段階で否定も肯定もできない。ただ、ビジネスマンにとってスマートフォンが本当に使い易いのかは検討していく必要がある」とコメント。「雑誌で噂もされない我々」と会場の笑いを誘ったKDDIの山本氏は、スマートフォンタイプの端末について「大いなる興味を持って検討したい」とした。ただ同氏は、法人の端末ニーズを「スタミナとタフネス、セキュア」と分析しており、KDDIの法人向け端末でこうしたニーズに応えていくとした。


携帯電話の利用スタイルについて

KDDIの山本氏
 このほか、山本氏から、居並ぶキャリアの代表者に聞きたいとして、携帯電話の文化的な側面への疑問が投げかけられた。同氏がビジネスで携帯電話を使う上で、音声通話の場合は仕事をしているように見えるが、「メールを打つといった画面を見る姿勢は、他人に遊んでいるように思われるのではないか」と話すと、各社の代表者もその意見に同調。ウィルコムの深見氏は「W-ZERO3を使っていて、同じような姿勢だったので近付いて見たらPSPだった」とコメント。隣同士で使っているとPSPの仲間のように見えるかもしれないと話した。ボーダフォンの齋藤氏からは「文化を変えるためには、ビジネスでの利用シーンをもっと増やしていかなければならない」との意見が挙がった。

 また、10月24日から開始される携帯電話番号の持ち運び制度(MNP)の話題になると、携帯電話事業者3社ともに競争が加速するとの見解が示された。一過性のものではなく、10月24日以降ずっと続く制度のため、キャリアの総合力が問われるとの意見もあった。MNPの蚊帳の外とも言えるウィルコム深見氏だが、「市場がどう活性化するか見たいと思う。しかし、活性化した市場に対し、我々もただ手をこまねいているつもりはない」と意気込みを述べた。

 ディスカッションの締めくくりには、各社代表が今後の法人向けモバイル市場について短くアピールを行なった。各社のコメントは以下の通り、「これまで以上にいろいろな側面からユーザーの意見を聞いてやっていきたい」(ドコモ武藤氏)、「真のFMCを実現し、企業ユーザーに提供していきたい」(KDDI山本氏)、「ソフトバンクやヤフーの総合力を活かして、ユーザーに使っていただけるサービスを提供していく」(ボーダフォン齋藤氏)、「ITの世界では当たり前となっているエコシステムを通信の世界にも持ち込み、全てのユーザーに還元していきたい」(ウィルコム山本氏)。



URL
  PDA・モバイルソリューションフェア2006
  http://www.mcpc-jp.org/pda/


(津田 啓夢)
2006/09/01 21:50

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