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ビジネスシヨウ2000(5/23~5/26)
法林岳之の「ビジネスシヨウ2000」レポート

 5月23日から東京ビッグサイトで開催されている「ビジネスシヨウ2000」。毎年秋に開催されている「COM JAPAN」と並び、例年、各携帯電話・PHS事業者などが新製品や新サービスを発表するケースが多く、最も見逃せないイベントの1つとなっている。今年のビジネスシヨウも夏のボーナス商戦を狙った新製品が数多く出品されている。各事業者の注目商品を紹介しながら、この夏以降のトレンドを探ってみよう。


モバイル商品のラインアップをさらに充実するNTTドコモ

 iモードの販売自粛で展示内容が注目されたNTTドコモだったが、今回は発売が噂されている新端末の展示を見合わせている。しかし、メール端末をはじめとするモバイル商品のラインアップをさらに拡充するなど、相変わらず来場者の注目度は高い。

 まず、メール端末では「ポケットボード パレ」「キャメッセボード」が参考出品されている。

 ポケットボード パレは「初代ポケットボード」及び「ポケットボード ピュア」同様、シチズンの製造によるもので、ポケットボードシリーズの正当な後継モデルと言える製品だ。実機を見て驚かされるのは、そのボディの薄さ。従来のポケットボード ピュアのキーボード側程度の厚さしかない。機能的には10円メールだけでなく、POP/SMTP方式のインターネットメール対応、パケット通信対応が特長として挙げられる。価格的に安ければ、エントリー向けのメール端末として、再び大ヒットしそうな予感もある。


 NTTドコモ『ポケットボード パレ』。アルファベット表記は“PALET”だが、商品名は“パレ”と読むそうだ。
 ポケットボード パレのキーボード。配列はポケットボード ピュアに近い。キータッチもほぼ同じ。右上のワンタッチメールキーが新しい。

 キャメッセボードはすでに発売されているカメラ付きメール端末「キャメッセプチ」のキーボード付きモデルとも言える製品だ。液晶ディスプレイはカメラ用のカラー液晶とメール用のモノクロ液晶を1つずつ備える。やや変則的なレイアウトのようにも受け取れるが、コストと解像度、消費電力などのバランスを考えれば、現時点では賢明な選択と言えるのかもしれない。キャメッセプチ同様、独自プロトコルを利用するため、対応プロバイダでしか利用できないが、キーボード付きの方が使い道はありそうだ。


 NTTドコモ『キャメッセボード』。キャメッセプチにキーボードを搭載したモデル。液晶ディスプレイはカラーとモノクロを1つずつ装備。
 キャメッセボードのキーボード部分。カーソルキーを除けば、標準的なレイアウトに近い。シャッターがやや大きいのは使いやすいかも。

 また、メール端末では、4月に発売されたばかりの「ポケットポストペット」も実機が展示されている。デモ機も豊富に展示されているので、実際の動作を見たことがない人は会場で体験してみるといいだろう。

 携帯電話本体では、間もなく発表されるスーパードッチーモ「SH821i」が展示されている。見た目の印象はJ-フォンのJ-SH02によく似ており、操作性などもほぼ同じスタイルを採用している。注目の液晶ディスプレイの発色も比較的良好で、視認性もいいという印象が得られた。スーパードッチーモの隣りには、これも以前から発売が噂されているデータ通信カード一体型PHS「Mobile Card P-in Comp@ct」が展示されていた。現行モデルの「Mobile Card P-in」とほぼ同等の機能をCFスロットサイズにまとめたものだ。ただし、製造元は従来のMobile Card P-inがシャープだったのに対し、Mobile Card P-in Comp@ctは松下電器が担当している。ザウルスユーザーやPalm-size PCのユーザーには気になる存在だ。


 NTTドコモ『スーパードッチーモSH821i』。カラー液晶を搭載し、iモードに対応したドッチーモ。iモード端末のカラー液晶モデルとしては3機種目。
 NTTドコモ『スーパードッチーモSH821i』。カラー液晶を搭載し、iモードに対応したドッチーモ。iモード端末のカラー液晶モデルとしては3機種目。

 このほかには、NTTドコモが昨年の展示会から熱心に出品している次世代携帯端末のモックアップやデモ機が展示されている。目新しいところでは、間もなく試験サービスが開始される音楽配信用端末なども展示している。NTTドコモのブースを見て感じることは、以前にも増して、携帯電話やPHSを音声通話以外にどのように利用するのかを訴える傾向が強くなっているという点だ。「話すケータイから使うケータイへ」の思想は、こんなところにも表われてきているのかもしれない。


新ブランド端末を一挙に公開した新生DDIグループ

 今年10月に合併するDDI、KDD、IDOの3社は、今回のビジネスシヨウでは新生DDIグループとして共同で出展をしている。なかでも目を引くのが新生DDIグループで採用される予定の『KDDI』のロゴだ。ブース正面にはKDDIのロゴが大きく書き込まれ、説明員もロゴをあしらったコスチュームを着たり、バッジを胸につけている。

 新生DDIグループでは22日のニュースでもお伝えした通り、cdmaOneとPDC方式によるデジタル携帯電話で、「au(エーユー)」という統一ブランドを採用する。7月には新ブランドでの展開が始まるそうだが、すでに今回の出品からauのロゴを使った端末が数多く展示されている。

 たとえば、cdmaOneではC301T~C305Sに続く製品として、日立、東芝、京セラ、松下通信工業、カシオ製の新製品が展示されている。これらのうち、日立と東芝製の端末はカラー液晶を採用しており、カシオ製はC303CAとほぼ共通のデザインを採用している。また、日立製についてはモックアップだけでなく、すでに稼働する製品が存在するようで、発売も近いと予想される。おそらく、これらの製品は6月下旬以降から9月頃に掛けて、順次発売されることになるだろう。

 また、製造メーカーは不明だが、PCMCIAタイプのデータ通信カード一体型PacketOne端末も展示されていた。もし、パケット通信のみをサポートするシングルモード端末であれば、企業向けから組み込み用、モバイルユーザー向けとして、幅広く利用されるのではないだろうか。


 カシオ製cdmaOne端末。C303CAと基本的に同じデザインを採用。ボタン類の変更のみかもしれない。
 日立製cdmaOne端末。カラー液晶を搭載。最も発売に近いと予想される1台。

 京セラ製cdmaOne端末。ツーカー向けに販売するTK01に近いが、中央のキーの操作性は良さそうだ。
 松下通信工業製cdmaOne端末。Panasonicらしく、センス良くまとめたデザイン。中央のキーはP502iなどと同じスタイルを採用。

 東芝製cdmaOne端末。カラー液晶を搭載。従来のC301Tとは異なったデザイン。中央のキーの左右にあるLEDが目新しいワンポイント。
 メーカー不明のPacketOne対応データ通信カード一体型端末。モバイルユーザーには期待の1台(1枚)。

 PDC方式のデジタル端末では京セラ、松下通信工業、ソニー製の新製品が展示されている。京セラ製はツーカーでも販売されている製品とほぼ共通のデザイン、ソニー製はNTTドコモから間もなく登場するSO502iに近いデザインを採用している。松下通信工業製は松下らしいセンスの良いまとめ方で、PDC方式のデジタル携帯電話では最も売れそうに見えた。


 京セラ製PDC端末フリップ型。EZサービスに対応。ツーカー向けに供給されるTK01と同じデザインを採用。
 京セラ製PDC端末ストレート型。EZサービスに対応。ツーカー向けに供給されるTK02と同じデザインを採用。

 松下通信工業製PDC端末。EZサービスに対応。cdmaOneモデルとは中央キーのデザインが異なる。
 ソニー製PDC端末。EZサービスに対応。今ひとつデザインのインパクトに欠ける。もっとソニーらしい製品を期待したいのだが……。

 DDIグループ傘下になったツーカーのブースでは、先日発表されたばかりのEZget!対応端末「TT02」(東芝製)と「TP01」(松下製)のデモ機が展示されている。しかし、それ以上に注目したいのがカラー液晶を採用した三洋製の「TS02」だろう。ツーカーセルラー東京のエリアでは、浜崎あゆみをキャラクターとして採用したことで、急速にシェアを伸ばしているだけに、目を引くカラー液晶端末が登場すれば、さらにシェアを拡大する可能性大と言えそうだ。発売はTT02、TP02の後と考えれば、7月下旬から8月といったところだろうか。


 ツーカー『TP01』。松下通信工業製。4階調液晶を採用し、着信メロディは三和音。
 ツーカー『TT02』。東芝製。液晶は2階調。基本スペックはcdmaOneのC301Tに近い。

 ツーカー『TS02』。三洋製。ツーカー初のカラー液晶搭載モデル。ボディカラー次第ではかなり売れそうな雰囲気。

 PHS最大手のDDIポケットは、22日に発表された九州松下製端末「KX-PH35S/935S」、音楽配信システム「ケータイdeミュージック」対応の三洋製デモ端末などを展示している。また、モバイル関連製品では各社から発売されたデータ通信カードやUSBケーブルをずらりと並べている。サードパーティ製のモバイル関連製品がこれだけラインアップできるようになったところにも「H"(エッジ)」の成長ぶりがうかがえる。

 また、ブースは京セラになってしまうが、H"端末「PS-T25」のレインボーライト機能搭載モデルも参考出品されている。写真ではややわかりにくいかもしれないが、液晶ディスプレイからボタンに掛けて、光が7色の変化しているのが特徴だ。実用性はともかく、話題性や注目度という点では一歩リードする端末だ。


 H"対応のデータ通信カード/ケーブル。ここ数カ月の間に一気に発表された製品群が勢揃い。TDK製PCカードにはH"のロゴ入り(!)。
 京セラ『PS-T25』。ブルーバックライトの液晶ディスプレイで人気を集めたモデルに、例ボーライト機能を搭載。着信時にイルミネーションすれば、かなりウケるかも(笑)。

 新生DDIグループはDDIとIDOによるcdmaOneの全国ネットワークによる繋がりから、今年10月の合併へ向け、さまざまな環境が大きく変わろうとしている。今回はその第一歩となるイベントであり、KDDIのロゴとともに、積極的に来場者へのアピールを強めようとしている点が印象に残った。EZサービスやプロバイダ事業の統合など、まだまだ山積する問題は多いが、今後への期待が膨らむ展示内容と言えそうだ。


いち早く新製品を体験できるJ-フォン

 J-フォン『J-SH03』。シャープ製。カラー液晶を搭載。従来のJ-SH02よりも液晶が明るくなり、サイズも大きくなっている。会場では実機を操作可能。
 NTTドコモや新生DDIグループに比べ、今ひとつ派手さがなかったのがJ-フォンのブースだ。しかし、今月発表され、順次発売が予定されている新製品が用意されており、機種によっては動作する製品を体験できるようになっている。購入を検討しているユーザーなら、ぜひともチェックしておきたい。

 まず、今週末から発売が予定されているのがシャープ製「J-SH03」だ。J-フォン端末としては大ベストセラーとなったJ-SH02の後継モデルで、基本的なデザインコンセプトを継承しながら、液晶ディスプレイの大型化、操作系の見直しなどのリファインが図られている。

 これに続くのがカラー液晶ディスプレイを搭載した東芝製「J-T04」、三洋製「J-SA02」だ。

 J-T04は中央のSガイドボタンが操作性のキーになっているが、このキーからアクセスできるJ-T04専用サイトも用意される。専用サイトではひらがなフォントやゲームなどがダウンロードできるそうだ。また、メール送信回数に応じて、利用できるイラストの種類が増える「ランクアップSKY」などのお遊び系機能も充実している。

 J-SA02はキャラクターで遊ぶことを重視したケータイだ。ポヨポヨフィッグと呼ばれるキャラクターが内蔵されており、携帯電話の動作に合わせて、さまざまなアニメーションを見せてくれる。操作性は他事業者の三洋製端末同様、ややクセがあるが、慣れてしまえば、十分に対応できるレベルだ。デザイン的にもソツなくまとめられており、J-SH03のいいライバルになるかもしれない。


 J-フォン『J-SA02』。三洋製。カラー液晶を搭載。メールとスカイウェブのキーは下にレイアウトされている点が他機種と大きく異なる。
 J-フォン『J-T04』。東芝製。カラー液晶が大きく見えるデザインが印象的。写真のオーシャンブルーの他に、エクストラチタンとネオホワイトがラインアップされる。

 カラー液晶ではないが、松下通信工業製のJ-P02もモックアップが展示されている。こちらもジェッピーというキャラクターを内蔵しているが、デザイン的にはシブくまとめられており、どちらかと言えば、ビジネスマンなどに人気が出そうなモデルだ。

 携帯電話以外では3月に発売した「Sky e pad」、新端末と同時発売予定の「Mobile Printer」などの実機が展示されている。Mobile Printerは非常にコンパクトで、携帯性にも優れている。解像度はあまり高くないが、画像などを印刷しても十分判別できるレベルで印刷できるため、ちょっとしたメモを残したいときなどには有用なツールと言えそうだ。

 この他にも、J-フォンのブースでは次世代携帯電話を意識したコンセプトモデルがいくつか展示されている。こうしたコンセプトモデルはNTTドコモが最も得意としてきたが、J-フォンのブースに展示されているものはノキアやエリクソンといったヨーロッパ勢のものが多く、国産端末にはないデザインセンスが目を引く。


 J-フォン『Mobile Printer』。感熱紙を利用した小型プリンター。モノクロだが、画像なども判別できるレベルで印刷が可能。
 J-フォン『次世代携帯端末』。エリクソンがデザインした次世代携帯電話。この他に、ノキア製なども展示されている。いずれもJ-フォン(日本テレコム)向けにデザインされたもの。

今年後半のトレンドはやはりカラー液晶?

 今年のビジネスシヨウ2000は、パソコンメーカーが軒並み出展を控えたため、主役は完全に携帯電話関連となっている。しかも、コンテンツプロバイダなども出展していないため、結果的に携帯電話・PHS事業者のブースばかりに人が集まっているという印象が強い。NTTドコモが間もなく発売すると言われている新端末のラインアップを展示しなかったのは残念だが、携帯電話・PHS事業者全体で見れば、夏のボーナス商戦以降へ向けた主力商品がずらりと並んでおり、内容的にも見ごたえがある。

 ビジネスシヨウ全体を見て感じることは、今年後半以降の携帯電話・PHSのトレンドとして、やはりカラー液晶が中心になっているということだ。携帯電話用液晶パネルそのものの供給が追いついてないため、全キャリアがすべての新製品で採用するまでには至っていないが、確実に今年の後半もカラー液晶が売れ筋になることはほぼ間違いなさそうだ。もしかすると、来年にはごく一部の商品を除いて、ほとんどの端末がカラー液晶と搭載しているかもしれない。

 これに対し、今ひとつ具体性に欠けているのが次世代携帯電話だ。確かに、モックアップやコンセプトモデルで端末の方向性は見えてきているのだが、実際のエリアや料金体系、サービス内容などがまだ見えてこない。次世代携帯電話は性能的にも期待できるサービスかもしれない。しかし、郵政省から割り当てられた周波数帯域は決して広くなく、利用エリアもかなり限定される。その上、当初はコスト的にもかなり割高になるはずで、データ通信などの分野については個人ユーザーが気軽に使えるレベルにはならないという予想もある。どうしても各社の華やかな展示内容に目を奪われてしまいがちだが、ユーザーとしては現在、利用できるサービスをしっかりと見極めることが大切と言えそうだ。



(法林岳之)
2000/05/24 17:30

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