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【WIRELESS JAPAN 2007】
KDDI田村氏、CDMA2000技術のこれまでと今後を語る

KDDIの田村氏
 ワイヤレスコンファレンス2007の「ネットワークコンファレンス」で、KDDI 技術渉外室の企画調査部 標準戦略G 主任の田村 知之氏は、「CDMA2000技術の現状と将来展望」と題した講演を行ない、同社が採用するCDMA2000技術について語った。


CDMA2000とW-CDMAを比較し、CDMA2000の速い進化をアピール

CDMA2000とW-CDMAの発展比較
 田村氏は、3GPP2が標準化するCDMA2000、3GPPが標準化するW-CDMAの2つの技術の進化の流れをチャートで見せ、CDMA2000の進化の流れを説明する。

 まずCDMA2000 1Xについては、「3GPP2で1999年に規格化し、auではCDMA 1Xとして2002年に商用化した。一方、3GPPでこれに相当する規格がW-CDMAで、これは日本では2001年に登場している(ドコモのFOMA)」と説明する。

 続いて「次の段階として、ダウンロード通信の強化が行なわれている。3GPP2では2000年にEV-DOが規格化し、KDDIでは2003年にサービスを開始した(auのWIN)」とし、さらに「3GPPでこれに相当するのはHSDPAで、日本では2006年に商用化されている(ドコモのFOMAハイスピードとソフトバンクの3Gハイスピード)」と語った。

 次にBCMCS(Broadcast/Multicast Services)については、「次の段階がデータ同報配信の強化。これはKDDIでは昨年から商用化している(EZチャンネルプラスなどに利用されている)。一方3GPPではMBMSとして2005年にかけて標準化が完了している(国内で商用化はされていない)」と説明した。

 Rev.Aについては、「次はアップロード速度の強化とQoSなどの追加。これは3GPP2ではRev.Aとして規格化されていて、KDDIでも昨年末よりスタートしている。一方、3GPPでこれにあたるものは2つに分かれている。アップロードの強化はHSUPAで、リアルタイム性の強化はHSPA+に相当するだろう」と語った。

 そのあとの進化としては、「3GPP2ではRev.Bが昨年、規格化された。これはデータ通信が強化されている。さらに次のものとしては、2007年春にUMBが規格化されたばかり。3GPPではRev.Bに相当するものとしてHSPA+があり、さらにUMBに対応するものとしてはLTEがある。LTEは年末までの規格化を目指しているが、UMBが一足お先に規格化した格好」と解説した。

 こうした流れを振り返り、「現在のところ、3GPP2のCDMA2000は早い段階で進化している。3GPPと比較して、同様コンセプトでは先行して先端サービスを提供できていると思う」とし、CDMA2000が先行していることをアピールした。


CDMA2000 1XからUMBまでの諸元 EV-DO Rev.Aについて。3GPP系に比べて早い展開を強調

UMBまでの各規格をサービス事例を交えて紹介

CDMA2000 1Xの特徴
 田村氏はCDMA2000 1Xについて、「第2世代のcdmaOne(IS-95)の音声・データ通信の機能を拡張したもの。第2世代との互換性によって、早期実現とスムースな移行ができた。この後方互換は重要なところで、従来のcdmaOneエリアに、オーバーレイするように展開した。シームレスなハンドオフも可能。CDMA2000 1X以降、EV-DOなどもこの互換路線を継承していて、これがKDDIのエボリューションの路線となっている」と語り、KDDIが後方互換を重視していることをアピールした。

 さらにCDMA2000 1Xで実現したサービスとして、「フォトメール」や「EZ着うた」などを紹介し「これらは新たなサービスというより、cdmaOneの後期にあったコンテンツサービスと同じ。CDMA2000 1Xにより、サービスの完成度を上げることができた、という言い方が正しいだろう」と説明した。


CDMA2000 1Xによるサービス事例 CDMA2000 1Xの後方互換について

EV-DO Rev.0の特徴
 EV-DOの最初のバージョン、いわゆるRevision 0(Rev.0)については、「高速パケットデータに特化した規格で、下り速度の向上などが特徴。IPデータ通信に特化したので、回線交換式のCDMA2000 1Xとは相補的なシステムになっている。またIPベースなので、シンプルなシステム構成になっている」と説明する。

 KDDIではEV-DOを「WIN」という名前で提供している。EV-DOによって実現したサービスについて田村氏は、「通信効率向上によるデータサービスの低価格化がEV-DOの特徴の1つ。KDDIでは2003年11月に商用サービスを開始した。EV-DOにより、ダブル定額やPCサイトビューアーの定額など、いち早い価格戦略の展開が可能になった。また、着うたフルやEZブックなど、さまざまなサービスを展開するにいたっている」とEV-DO導入の成果を紹介した。


Rev.0のサービス事例

 また、同報配信機能のBCMCSについては、2006年9月より商用サービスを開始し、EZチャンネルプラスやEZニュースフラッシュに応用されていることを紹介した。


BCMCSの特徴 BCMCSの事例

 EV-DOの2番目のバージョンであるRev.Aについては、上り転送速度の向上と遅延の低減化の2つの特徴があると語り、「KDDIでは2006年12月に商用化し(W47TとDRAPEの2機種が採用)、テレビ電話などに応用している」と紹介した。


EV-DO Rev.Aの特徴 Rev.Aのサービス事例

 EV-DOの次のバージョンであるRev.Bについては、20MHz幅までの搬送波を束ねるマルチキャリアと変調方式の64QAM採用による伝送速度の向上が最大の特徴と説明する。変調方式の変更により、従来と同じ1.25MHz幅でも、下り通信速度は最大で4.9Mbpsにまで向上し、さらにそれを束ねることで、たとえば3つのキャリアを使えば最大14.7Mbpsにまでなるという。


Rev.Bの特徴 Rev.Bの技術

UMBの特徴
 田村氏は、さらに次の規格として「UMB」についても解説する。UMBはOFDMAやMIMOなどのマルチアンテナなど、最新の無線技術を使って性能向上を図るという。田村氏は、UMBによって大容量コンテンツサービスや大容量のVoIPサービスが実現すると語る。基地局がつながるネットワークについても、「IPベースのフラットなアーキテクチャで、可能な限り階層を減らし、低遅延を目指す」と説明する。

 UMBの進捗状況としては、「無線部分は4月に規格化された。ネットワーク側は10月をめどに進んでいて、すべてを含んで2007年中に標準規格化されて準備が整う」と見通しを述べた。


UMBの諸元 UMBのネットワーク構成

ウルトラ3G構想への流れ
 さらに田村氏は、KDDIが進める「ウルトラ3G構想」についても説明する。ウルトラ3Gとは、モバイルと固定を融合したインフラのこと。田村氏は「既存の3GケータイからRev.BやUMBなど強化された3G、さらにWiMAXやIMT-Advanced(4G)、ADSLやFTTHなど固定ブロードバンド、デジタル放送までをすべて包括した総合的なネットワークの構築を構想している。これはITUの考える構成ともマッチしている」と語った。

 最後に田村氏は、「CDMA2000の技術は、速い進化スピードで、早くサービスを提供できている。ウルトラ3G構想でも、CDMA2000はアクセス技術の中核になるだろう。今後もCDMA2000でサービスを提供していきたい」として講演を締めくくった。


ウルトラ3Gの構成 ウルトラ3Gでのサービス展開


URL
  KDDI
  http://www.kddi.com/

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(白根 雅彦)
2007/07/20 17:10

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