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【ワイヤレス・テクノロジー・パーク2008】
NTTやKDDIが研究開発の成果を展示

 5月13日と14日の2日間、パシフィコ横浜で無線通信技術のイベント「ワイヤレス・テクノロジー・パーク2008」が開催されている。主に研究開発側にフォーカスしたイベントで、コンシューマー向けの製品展示は少ないが、NTTドコモやKDDIなどが研究開発の成果を展示している。


NTTのブース。NTTドコモも同ブース内で展示している
 NTTドコモ関連の展示は、NTTグループとして行なわれている。ケータイ関連では、Super 3G(LTE)や4G(IMT-Advanced)の実証実験や開発状況の紹介が来場者の注目を集めていた。

 このほかにも、NTTグループとしてさまざまな研究開発中の技術が展示されている。「広域ユビキタスネットワーク」は、ガスの検針など低頻度・低容量通信向けのネットワークシステム。間欠動作させることで、数年のバッテリー寿命を持たせられるといった特徴がある。イメージとしては、双方向ページャーに近い。まだ商用化はしていないが、総務省の「ユビキタス特区」の対象プロジェクトとなっており、東京の江東区、江戸川区、台東区、荒川区、墨田区、葛飾区で3年間の実証実験が行なわれるという。周波数帯としては、NTTドコモのポケットベルが使っていた280MHz帯を利用する。ポケットベルが使っていた280MHz帯は、ワイヤレスブロードバンドに使えるほどの帯域幅はなく、アンテナが大きくなるという欠点はあるものの、電波特性的には障害物に強く、広域な通信エリアを確保しやすいという。

 このほかにも、家電ごとに異なるECHONETやDLNAといったプロトコルに統合的にアクセスするための「PUCC」プロトコル、Windows Mobileを間欠動作させることで無線LANアクセス利用のバッテリ消費を抑えるソフトウェアなど、さまざまな研究開発中の技術が展示されていた。


Super 3GやIMT-Advancedについては、パネルやビデオなどで紹介する 広域ユビキタスネットワークについてのパネル

OSごと間欠動作させ、一定時間ごとにメールチェックなどをさせて消費電力を抑えるソフトウェア 光の干渉を使って電界強度を測定するセンサ。こうした研究開発の成果や開発のためのソリューションが展示されている

KDDIが新開発した無線レピータのアンテナ。送信と受信のアンテナが1本の鉄柱にまとめられている
 KDDIもIMT-Advanced実証実験の状況についての展示などを行なっている。ちょっと変わったところでは、新たに開発されたCDMA2000向けの無線レピータの展示も行なっている。

 無線レピータとは、一方から受信した電波を他方に中継送信する設備のこと(リピーターとも呼ばれる)。電波が直接届かない場所と無線通信をするために用いられる。通常の基地局と違い、レピータとネットワーク側との接続には普通の携帯電話の通信波を使うため、有線・無線のネットワークインフラを新たに敷設する必要はなく、ただレピータを設置して電源を供給すれば、ネットワークのカバーエリアを広げることができる。

 従来のレピータは、基地局と通信するアンテナと携帯電話と通信するアンテナの干渉を防ぐため、アンテナの距離を離して設置する必要があった。しかし今回KDDIが開発したレピータは、電波の干渉が抑えられていて、2つのアンテナを1つの鉄塔に設置することも可能となっている。これにより、従来も低コストでレピータの設置が可能になるという。

 新開発されたレピータは、今夏ごろより実際に設置されるという。主に基地局からの電波が直接届かない山間部などのため、尾根などに設置するものだというが、ビルの谷間などにも利用できるという。800MHzと2GHzのCDMA2000形式に対応できるほか、技術的にはW-CDMAの中継も可能だという。


IMT-Advanced実証実験の紹介パネル 開発中のセキュリティソリューションも展示されていた

電波感度のシミュレーションツール。上下にある大きな2つの画面でシミュレーション結果を見ながら設計ができる
 NECはWiMAXやLTE関連の展示とともに、基地局のエリア設計を支援するツールの展示を行なっている。これは基地局を設置した際、どの場所でどのくらいの感度が得られるかを計算するというシミュレータツール。地形だけでなく、建物の高さや形状を含んだ地図データを元に、都市部におけるビルの反射波を考慮に入れた電波感度を計算できるようになっている。

 シミュレーションは、大型のタッチパネルディスプレイ上で基地局位置を設定することで、上空からの見下ろしと自由視点の両方で、電波感度のシミュレート結果を見られるようになっている。会場でのデモンストレーションでは、WiMAXのエリア設計が行なわれていたが、ほかの通信方式にも対応できるという。


下側の画面はタッチパネルになっているあたりがちょっとニンテンドーDSっぽい

 このほかにも会場には、さまざまな企業や研究機関が無線通信技術や製品の展示を行なっていた。


独立行政法人の情報通信研究機構(NiCT)の展示の一つ。技術試験用の静止衛星「きく8号(EST-VIII)」(2006年12月打ち上げ)を使った無線端末。衛星側に直径13mの巨大アンテナを用いることで、通信電力はわずか1Wで(普通のケータイの数倍)、移動機側のアンテナも硬貨サイズに収まっている EST-VIIIとの通信機能とGPSを内蔵したモジュール。別途、本体と同程度の大きさのリチウムイオン電池を必要とする。衛星との通信とGPSには布状アンテナが利用可能。セキュリティ分野での位置追跡などの用途が想定されている

NiCTの展示の一つ。超高速インターネット通信衛星「WINDS」(2008年2月打ち上げ)の模型。移動体向けのEST-VIIIとはことなり、こちらは固定局向けの高速通信を目的としている 大学や研究機関などがパネル展示を行なうエリア。理工系の学会にも近い雰囲気

一部にはコンシューマー向け製品を展示する企業も。IBS JapanはBluetoothデバイスなどを展示。こちらは参考出品のBluetooth接続GPSユニット。28gでちょっと大きめのキーホルダーほどの大きさが特徴


URL
  ワイヤレス・テクノロジー・パーク2008
  http://www.wt-park.com/


(白根 雅彦)
2008/05/13 17:56

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