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【BREW JAPAN Conference 2008】
KDDI竹之内氏、auのライフスタイル戦略を語る

 デジタルハリウッド、クアルコム、KDDIは23日、ヒルトン東京にて「BREW JAPAN Conference 2008」を開催。500名を超える来場者が詰め掛けるなか、基調講演ならびにツール展示会、レセプションを行なった。開催に先立って、デジタルハリウッド大学・大学院 学長である杉山知之氏が挨拶した。

 「この6年間で日本にBREWが根付いたと思う」としたうえで、「ケータイについて、今社会的関心が集まっている時期。年齢を問わず国民全体が使っており、さまざまな問題も起きている」と語った。フィルタリングにより、携帯コンテンツの世界が狭められることを危惧し、「開発者はただ企画通り開発すればいいのか? 携帯が社会に健全な形でもっともっと使われるようにしないといけないのではないか」として、開発者が持つべき社会的倫理感や、責任の重大さを訴えた。

 また、今後のビジネスチャンスが“放送と通信との融合”の中にあり、キーとなるのは携帯電話だとして、「この2~3年はいろんなトライがあると思う。2012年以降は大きく世界観が変わるのではないか。BREWを理解し、新たに開発側から作れる世界を示していけたらいいと考えている」と述べた。


ヒルトン東京で開催された「BREW JAPAN Conference 2008」。会場は満席に デジタルハリウッドの杉山知之氏

ユーザ目線でライフスタイルをアプローチ

KDDIの竹之内剛氏
 基調講演の第一部では、auの今後のライフスタイル戦略のポイントについて、KDDI コンシューマ事業統轄本部 コンテンツ・メディア本部 コンテンツサービス企画部長である竹之内剛氏が講演した。

 同氏はまず、auのコンテンツビジネス概況について説明。2008年3月時点の累計契約者数が3000万を突破し、シェアも約30%へ拡大。CDMA 1X WIN契約者数の約75%が定額の加入者で、パケット通信の定額化を行なったことやダブル定額により、ユーザ負担が大幅に軽減し、コンテンツへのアクセスが非常に伸びたという。

 コンテンツの利用額の推移としては、一人当たり520円を超えており、成長を支える主力サービスがゲームや着うたフル、電子書籍あると紹介。「今後の課題は、いかにしてパケット通信を使っていないユーザーにも使っていただくか」(竹之内氏)とした。

 そこで、「従来の端末はケータイマニア層への受けがよく、いわゆるアーリーアダプタに受けていた」と前置きしたうえで、今後のコンシューマ事業の戦略のポイントは、「先進イメージを確保しつつ、ケータイマニアではない、普通のユーザへのタッチポイントの拡大である」と語った。

 個々の利用者のライフスタイルに合ったサービスを提供する戦略の事例として、「au Smart Sports」「LISMO Video」「mobile fashion」「EZ MYスタイリング」「ナカチェン」などを紹介。「au Smart Sports」のテレビCMを紹介した際には、「気付かないかもしれないが、白い犬を飛び越すのがポイント」と語ると、会場からどよめきが起こっていた。

 「一歩も2歩も先にいくとお客様がついてこられない。お客様がついてこられる0.5歩くらいがポイント」として、auショップを活用し、パートナー企業と協調しながら、ユーザ目線のサービスを提供し、ケータイ電話に対する向き合い方が違う人との接点を増やす構えだ。最後に竹之内氏は、「(auの)庭にはどんな花でも咲く。皆様からこんな花を咲かせたいんだけど、というご提案があればぜひ持ってきていただきたい」と語った。


累計契約者数・シェアに関するグラフ デジタルコンテンツ流通額の推移

コンシューマ事業の戦略キーワード

「BREWを使い倒しているのは法人」、KDDIの法人戦略

KDDIの山本泰英氏
 基調講演第二部では、KDDI ソリューション事業統轄本部 FMC事業本部 FMC推進本部長の山本泰英氏が「Business au! KDDI FMC戦略2008」として、今後の法人戦略について、ソリューションと事例を交えながら説明した。

 同氏は冒頭で「法人の話は地味だが、実はBREWを使い倒しているのは法人だ」と語り、今後のビジネスとして、法人の存在が欠かせないことを強調した上で、新旧の戦略を紹介した。

 2007年上期までの法人戦略として行なわれていたのは、定額でのモバイルアクセスや、法人向け携帯端末開発による「超・ネットワーク戦略」と、通話も含めた統合コミュニケーションウェアの実現や、アウトソーシング、ユーティリティサービスなどによる「脱・ネットワーク戦略」の2本。これにより法人ユーザに対し、多くの価値を提供してきた。

 2007年10月1日より社内組織体制を一新し、新しい戦略として営業型の「FMCワンストップ戦略」、いろんなものをアプリケーションとして提供するという「ICTワンストップ戦略」、ケータイを使って、さまざまなIDを連携していこうという「ICTアライアンス戦略」がスタートしているという。

 日本の法人は150万社、3150万人におよび、法人モバイル市場はまちがいなく増加傾向にあり、これからの重要な市場であるという。市場の概観をグラフで紹介しながら、「特に中小企業の方々にぜひとも法人契約をお願いしたい」とした。

 キーポイントはやはりBREWであるとし、「ドコモと決定的に違うものを打ち出すことができるのがBREW。携帯向けJavaアプリでは実現できない本格的な法人業務に対応できる」として、BREWを用いたKDDIのソリューションが「MCPC award」で3年連続グランプリを受賞した点をアピール。綜合警備保障やヤマト運輸、コニカミノルタ、はとバスなどのシステム事例を多数紹介した。

 また、法人向けケータイ端末に求められている性能として、スタミナ、紛失しても安心のセキュリティ、水に強いタフネスさをあげた。具体的な事例として、ヤマト運輸のセールスドライバーの武器は、汗や雨に強いauのケータイであるとし、システムともども「法人の世界では確実にKDDIが認知されている」と自信を見せた。

 このほか、法人向けカードや通信モジュールの利用事例、KDDIのSaaSソリューションにも触れつつ、「KDDIは固定とモバイルを運用できる数少ないプロバイダだが、限界もある。BREWのパートナーのみなさまにご活躍いただきたい」と語り、パートナー各社に協力を求めた。


法人モバイル市場概観に関するグラフ 携帯電話を水につけるデモンストレーション

水没中でも問題なく動作している様子

展示会・レセプションは大盛況 新会長、新社長の挨拶も

挨拶する新会長の山田氏(右)

語る代表取締役社長に就任した豊富を語る真野氏
 基調講演後に開催されたツール展示会ならびにレセプションは、会場から人があふれるほどの盛況ぶりをみせ、展示ブースでは、あまりの熱気に汗をぬぐいながら解説する担当者の姿が多数見られた。背広姿のビジネスマンに混じって、ラフなスタイルの開発者の姿も多く見られたのが印象的だ。

 レセプションの最後には、6月19日にクアルコムの代表取締役会長に就任した山田純氏、ならびに代表取締役社長に就任した真野毅が登場し、閉会の挨拶を行なった。真野氏は「チャイナテレコムがCDMAに入るということで、今後さらにBREWのビジネスは増えるだろう。皆様にも好機がくると思うが皆様と情報を共有していきたい。新体制でBREWの世界を大きく飛躍させたい」と今後の抱負を語り、イベントは閉幕となった。

 2003年当初、BREWアプリはわずか数本しかなく、セミナーを開催して普及に努めたところ、6年後の現在は5000を超えるに至ったという。クアルコムジャパンの近藤氏は、「何もなかったところからここまでこれたのも、一重に開発者のみなさまの努力の賜物であり、感動している」と語っていた。「アプリが増えれば生き残り競争も激化する。そのためにもより効率よく、ローコストで開発できるかどうかが1つの課題になる」として、開発ツールの重要性を説いた。

 なお、講演の資料は、イベント終了後から、公式サイトよりダウンロード可能となっている。また、講演ムービーは6月30日14時より同サイトにて公開予定となっている。


アイ・エス・ビーによる「アプリ-BREW間のリアルタイム・ログ出力ツール」 リアルタイムイベントトラッカーで、アプリケーションの不具合の発見が早くなり、デバッグ効率が格段に高まるという。問題発生時の状態を画面イメージとして保存するために、BMPまたはJPEGで実機の画面キャプチャが可能。プレゼン資料を作りたい企画担当者にも喜ばれているという

エイチアイによる「3Dグラフィックス・ミドルウェア」 3Dのゲームやユーザインターフェイスを動かすためのリアルタイム3D描画エンジン。ゲームコンテンツ開発者は、訴求力の高いコンテンツをよりスピーディに開発できる。最新バージョンの「MascotCapsule eruption」は、auの携帯端末にも搭載されているという

KDDI MSP事務局による「ケータイカスタムキット パートナープログラム登録者に無償で提供されている、プログラミング不要のBREWアプリケーション開発ツール。業務シナリオにあわせてタグを並べるだけで、すばやくデモツールが作成できる。写真はプリンタ出力のデモツールから、入力された文字列をプリントアウトしている様子

スター・ゲームズによる「J2Bトランスレータ」。納期が早く、低価格で携帯用JavaアプリをBREWアプリに自動変換するサービス。可能通常2カ月で150万円ほどかかる移植作業が、最短で約1週間、60~70万円程度で可能になるという ソフィア・クレイドルによる「BREW4.0対応C++ライブラリとmod圧縮ツール」。「SohiaFramework UNIVERSE」は、モジュールを組み合わせることでアプリケーションが開発できる、BREW4.0対応C++クラスライブラリ。「SophiaCompress EARTH」は、実行モジュールmodファイルのサイズを、KDDIが設けた制限に合わせて圧縮できるツール

ソフィア・システムズによる「BREWアプリデバッガ」。パソコンとケータイをシリアルケーブルで接続し、BREWアプリの検証と評価を行なうツール。ソースレベルのデバッグがリアルタイムに行なえるため、検証の手間が格段に減るという 日立ソフトエンジニアリングによる「BREW4.0対応GUI開発支援ツール any Warp for BREW」。画面を見ながら、ドラッグ&ドロップ操作で部品を配置するだけで、すぐ動くプロトタイプが作成できるツール。画面デザインがすばやく作成できるため、開発工数を最大70%削減することが可能になるという

日本エンタープライズによる「企業の業務向けBREWアプリの開発キット BSAP」 BREWの知識がなくても、業務用アプリケーションが低コストで開発できるツール。写真は在庫を確認しながら見積もりから発注まで行なえるサンプル。この程度のものなら1時間程度で開発可能なため、急ぎプロトタイプを見せて欲しいといったクライアントの要望に応えられるとしている

ネットディメンションによる「uiOne対応BREW向け3Dオーサリングシステム」 3DでGUI、マニュアル、コミュニティ、ゲーム、ナビゲーションなどのユーザインターフェイス用を開発できるツール。従来技術者に頼らざるを得なかった開発部分を、デザイナー自身が行なえるため、開発効率が向上するという

イラストベースの地図をコンテンツとして簡単に配信できるツール、およびASPサービスを提供 地図はJPEGやGIFとして表示され、スクロールやズームアップなどに対応している。イベント会場や展示会場マップなど、エリアが限定された地図情報を携帯電話で配信するのに役立つ

吉田鎌ヶ迫による「P2Pによる高速通信を実現する携帯用フレームワーク SpearとSpear Multi」 リアルタイムのオンラインゲームで使われている。端末同士が直接通信できるため、サーバの運用コストが削減できるという。写真は「Spear Multi」による多人数P2P通信のデモ


URL
  BREW JAPAN Conference 2008
  http://www.brewjapan.com/seminar/report2008/
  クアルコムジャパン
  http://www.qualcomm.co.jp/


(すずまり)
2008/06/24 15:25

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