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【WIRELESS JAPAN 2008】
総務省渡辺氏、無線通信の現状と行政の取り組みを紹介

総務省の渡辺氏

日本の電波利用の変遷
 ワイヤレスジャパンのネットワークコンファレンス「4G+将来NWフォーラム」において、総務省 総合通信基盤局 電波部 電波政策課長の渡辺 克也氏は、「ブロードバンドモバイルの実現に向けて」と題した講演を行い、総務省としての無線通信への取り組みを説明した。

 まず渡辺氏は、日本における電波利用の歴史を振り返りつつ、「2005年ごろになると局数は1億局を超えた。いま現在のわれわれの生活を見ると、電波が使えなくなっては生活できるか疑問に思えるくらい。ケータイはプライベートでもビジネスでも使われるようになった。そのほかにもさまざまな生活インフラに使われている。もはや電波なしには生活が成り立たないくらい浸透した」とし、電波を使った無線通信の重要性を訴える。

 それらを踏まえた上で渡辺氏は「政府としては今後も電波利用を促進しよう、と動いている。ビジネスや生活をより良いものにするべく、電波など使えるものは有効利用していこう、というのが施策となっている」と説明する。

 その上で、今後の施策にはケータイや無線LANを含めた移動通信システム、有線ブロードバンドの代替システム、ITS、情報家電の4つの柱があると語る。


携帯電話の歴史と発展動向
 続いて渡辺氏は、これまでの携帯電話の歴史を振り返りつつ、「第3世代以降はグローバルへの展開や音声通話以外のアプリケーションも重要になってきた。そして今後も3.5Gや3.9G、4Gに向かい、これらの要素は高度になっていく」と今後に対する見解を述べる。さらに「技術の進化も、昔なら10年や15年単位だったが、今後は長くて10年、短ければ5年というスパンで進化していく」とし、進化速度が速くなっているとも説明する。

 さらにモバイル関連市場のグラフを示し「最終的には1兆円を超えるレベルになる。3.5Gなどの議論も、単にスペックアップするだけではなく、アプリケーションサイドとどうやって相乗効果を作っていくか、という面を無視はできない」と語る。

 またトラフィック動向についても、「2010年にはデータ通信がいまの4倍くらいになると予想している。いまのネットワークシステムではパンクしてしまう。それを打開するために、転送速度を上げる必要がある。これが道路であれば、車線を増やすことでトラフィックを緩和できる。しかし通信はそうはいかない。日本のブロードバンドは車線が増えたあと、車の大きさが倍になった。また、この増えた車線でどのようにビジネスを作っていくかも重要」と説明する。


モバイル関連市場動向 トラフィック動向

3.9Gの導入に向けて
 こうした流れに対する動きとして渡辺氏は3.9G(LTEやUMB)について話題を移す。3.9Gのスケジュールについては、「2010年ごろの商用化に向け、取り組みが活発になっている。まだ取り組みは前半戦だが、どういったコンセプトか、ということを含め、報告する予定。秋頃には具体的な技術要件なども明らかになるのでは」との見解を示した。

 今後のネットワークの展開イメージとして渡辺氏は、「3.9GでネットワークがIPベースの別物に進化する。将来的に4Gも乗っかるようなシステムになる。今後10年の進化は、3.9Gにかかっている」とし、3.9Gの重要性を再確認する。


3.9Gで期待される効果 ネットワーク展開のイメージ

第4世代移動通信システム、いわゆる4Gについて
 3.9Gの次の4Gについて渡辺氏は、「2011年ごろの標準化を目指していて、商用化はさらにあと。しかし、それほど先のことでもない」とし、すでに差し迫った課題となっているとの認識を示す。具体的な動きとしては、「WRC(世界無線通信会議)で周波数について議論した結果、4つの周波数帯を使えるようにしよう、となった。日本としては、3.4~3.6GHzを4Gのベースにしよう、と決まった。そういったところで、技術的にどうするか、といった提案について国として取り組んでいる」と説明する。


移動通信の高速化と多様化
 また渡辺氏は、携帯電話以外の移動通信システムについても言及する。渡辺氏は、「ケータイの高速多様化の一方で、広帯域移動無線アクセス系が存在する。無線LANのような固定通信から広がるイメージ。ケータイというよりデータ通信に特化システム。ここはウィルコムとワイヤレスブロードバンド企画(UQコミュニケーションズ)に周波数が割り当てられ、ケータイとは違ったアプローチでスタートする。来春にはモバイル全体のビジネスに進展があるのではないか」と語る。


広帯域移動無線アクセスシステムの利用イメージ 広帯域移動無線アクセスの認定を受けた2事業者

 このほかにも渡辺氏は、市区町村単位の広帯域移動無線アクセスシステムやITC、新幹線でのインターネット、電子タグ、簡易無線のデジタル多チャンネル化、鳥獣被害対策の動物検知システム、2.4GHz帯のラジコン、船舶の共通通信システムの高度化、電波の人体に与える影響への取り組み、不法電波への取り組み、ユビキタス特区と拡大版ユビキタス特区など、さまざまな総務省による取り組みを紹介した。


地域向け広帯域移動無線アクセスシステム 地域向けシステムの無線申請状況

ITSでの電波の利用 総務省によるITSへの取り組み

新幹線でのインターネット 電子タグ

簡易無線のデジタル多チャンネル化 鳥獣被害対策の動物検知通報システム

2.4GHz帯のラジコンへの応用 船舶の共通通信システム

電波が人体に与える影響について 不法電波への対策

ユビキタス特区 拡大版ユビキタス特区


URL
  総務省
  http://www.soumu.go.jp/
  WIRELESS JAPAN 2008
  http://www8.ric.co.jp/expo/wj/

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(白根 雅彦)
2008/07/23 11:20

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