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【WIRELESS JAPAN 2008】
ドコモ山田社長、「○○してくれるケータイ」を

ドコモの山田社長

市場は成熟期に移行
 ワイヤレスジャパンの基調講演「モバイル通信サービス事業の将来ビジョン」で、NTTドコモの代表取締役社長の山田 隆持氏は、「ドコモの変革と新しいモバイルへの挑戦」と題した講演を行った。

 山田氏はまず日本の携帯電話市場グラフを示し、「ケータイの市場は成長期から成熟期に入った。成熟期では戦略が違ってくると考えている。新規の獲得だけではなく、既存顧客を重視し、お客さま主導のサービスを提供しなければいけない」と語り、さらに「成長期から成熟期になったところで、ドコモも変革する」として、4月18日に発表された「新ドコモ宣言」や新しいコーポレートロゴについて紹介する。

 さらに山田氏は、「お客さまの満足というのは、サービスだけなのか。サービスだけではなく、端末の作り方などすべてを含めて見直しをしている。お客さまの視点ですべての見直しを検討し、やるべきことは実施してきている。『ドコモはやっぱり変わったよね』とお客さまに言ってもらえるよう、全社一丸となって取り組んでいる」とし、変革への取り組みをアピールした。

 今後の方向性としては、「ケータイ市場は成熟期に入り、残っているマーケットは法人や2台目需要となった。これまでのように大きく契約数が伸びる時代ではない。そういった時代のケータイとは何か。ケータイはお客さまに強く結びついている。24時間持ってもらって、個人認証もできて、GPSもついている。そういったケータイならではの特質を発揮できれば、さらなる高度化ができるのではないか。そこにチャレンジして、イノベーションを起こしたい」と語る。


ドコモの変革 すべての面を再検討

ケータイの機能を4つのレイヤーに分類

「○○してくれる携帯電話」
 山田氏はケータイの機能を「コミュニケーション」「情報アクセス」「生活支援」「行動支援」の4つに分類し、「行動支援という新しい機能をケータイに載せていく。一部は秋冬モデルから搭載したい」と明らかにする。

 行動支援について、山田氏は「これまでのケータイは『○○ができるケータイ』だった。行動支援は『○○してくれるケータイ』になる。お客さま個人に対して、何かをしてくれる」と説明する。

 ここで山田氏は、「情報」を「ストック型/フロー型」と「継続・網羅/単発・地域」の2つの軸で分類し、「いままでのインターネットの情報は、ストック・継続網羅型だった。検索エンジンで検索し、図書館的に情報を利用する。こうした情報に加え、フロー/単発・地域型の情報もプッシュでどうにか扱えないか、ということをいま開発に取り組んでいる」と語る。

 その具体例として、「たとえばお気に入りのスポーツチームを登録しておけば、その情報を教えてくれたり、試合結果をスケジューラーに登録してくれる。通勤で使う電車を設定しておくと、遅延情報などをケータイに送ってくれる。これらはひとつの例に過ぎない。いろいろと創意工夫がこなせるのではないかと考えている」と語った。

 さらに、「こうしたパーソナライズされた情報サービスは、エージェントによって実現する。サーバー上のエージェントがユーザーに必要な情報を探しだし、適切なタイミングで知らせてくれる。ユーザーの行動を支援してくれる。こういったことができれば、ケータイはあなただけの『○○してくれるケータイ』になってくれる。最初の段階で全部の機能を入れるのは難しいが、どんどん機能を強化していきたい」とも語った。


情報を分類 パーソナライズされたエージェントによる情報サービス

エージェントサービスのイメージ エージェントサービスのシステム

さまざまなものと融合するケータイ
 山田氏は、エージェントによる行動支援サービス以外に新たに取り組んでいる分野として「融合サービス」があると紹介する。「法人営業のお客さまには、固定回線とケータイを融合させたシステムが欲しい、という人もいる。そういった要求は、固定回線とケータイだけでなく、通信と放送やITSとの連携、あとは情報家電との連携もある。そういった融合が、これから一気に進行する。どのようなサービスを提供すれば、お客さまに喜んでもらえるか。この分野にチャレンジしたい」と語り、車との融合や固定回線との融合などの具体例を示した。


回線やデバイスを問わない環境 固定回線との融合イメージ

 さらに「こういったシステムを移動通信ネットワークの高度化により支えていく」と語り、Super3G(LTE)とネットワークのIP化に話題を移す。Super3Gの導入スケジュールとしては、2009年に商用装置開発を完了し、2010年に商用展開を可能にすることを予定していると紹介。さらに導入イメージについては、当初は3G内の一部エリアがSuper3Gに対応し、徐々にエリアを広げていき、ユーザーはデュアル端末を使うことになるとのイメージを明らかにした。


Super3Gのスケジュール Super3Gの展開イメージ

Super3Gのメリット
 Super3G導入によるメリットとしては山田氏は、「通信が高速化して動画ダウンロードも早くなる、これは当然。あとは高速同報伝送の実現。ライブ映像の配信などもできる。もう一つは、これは皆さんにも知っていただきたいところで、接続時間(ネットワークにつながり通信を開始するまでの時間)と伝送遅延(送られたデータが届くまでのタイムラグ)が短縮される。あっというまにサーバーからレスポンスが返ってくる」とし、接続時間と伝送遅延の短縮について、特に強調する。

 接続時間と伝送遅延の短縮については、「いままで機能のメニューは端末側に入っていた。しかしこれからは端末とネットワークが機能を分担して持つようになる。これまでは端末からネットワークサービスを起動したとき、サーバーからレスポンスが返ってくるのが遅かった。しかしSuper3Gなら、あたかも端末にサービスが内蔵されているかのようになる。サーバーと端末がうまく連携できれば、より高度なサービスも可能。端末にお金をかけずにサービスを開発できる。これからはこの点が重要になる。ここはLTEという速いネットワークだから可能なこと」と語り、Super3Gの利点をアピールした。


サーバーとの連携による高機能化 シンクライアントにも言及

端末のインターフェイスの多様化

ソフトウェアの開発量が増大
 山田氏は端末の進化についても言及する。まずインターフェイスについては「入出力機器は多様化している。これから重要なのは、いろいろなお客さまの要望に応えること。QWERTYキーボードも要望に応えて導入する。またBluetoothもこれから一気に伸びる」と語る。

 端末の進化については「ソフトウェア開発量が増大した。こういった状況で、端末プラットフォームがキーになる」とし、携帯電話向けの各プラットフォームに話題を移す。「端末プラットフォームのオープン化により、コスト低減とグローバル化が進展する。ドコモとしてはSymbian、LiMo、Androidすべてのファウンデーションに参加している」とし、手広く取り組んでいることをアピールする。

 さらに共通プラットフォーム採用時の利点として、「OS上に載せるドコモ専用のオペレーターパックと共通のグローバルアプリを分ける。これで端末ベンダーは海外のオペレーターパックを載せれば、海外に展開できる。逆に海外の端末メーカーも入って来やすい」との見解を示した。


各プラットフォームの動向 プラットフォームのイメージ図

 最後に山田氏は、「ケータイの市場は1億台を突破し、これ以上の大幅増は見込めない。2台目需要にも取り組んでいく。あとはケータイの更なる質的向上にも取り組んでいく。お客さまの快適と便利がどういったところにあるのか、そこにチャレンジしていきたい」と語って講演を締めくくった。



URL
  NTTドコモ
  http://www.nttdocomo.co.jp/
  WIRELESS JAPAN 2008
  http://www8.ric.co.jp/expo/wj/

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(白根 雅彦)
2008/07/23 19:14

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