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【WIRELESS JAPAN 2008】
日本通信の福田氏、「MVNOは新しい取り組みを実践する段階」

日本通信 常務取締役CMO兼CFOの福田 尚久氏
 「WIRELESS JAPAN 2008」のビジネスコンファレンスでは、日本通信 常務取締役CMO兼CFOの福田 尚久氏が登壇し、「携帯ビッグバン 急拡大するMVNO事業機会」と題した講演を行った。

 福田氏は、MVNO(Mobile Virtual Network Operator/仮想移動体通信事業者)を展開する事業者として講演を始める前に、6年前まではコンピュータ業界に10年間在籍していた経歴に触れ、「私自身にコンピュータ業界の背景があり、バイアスがかかっている」と少し冗談めいて語ると共に、「コンピュータ業界に国境は無いが、通信事業はドメスティック。日本通信では、コンピュータ業界と携帯電話業界の大きな溝を埋めようと活動している」と現在のスタンスを紹介した。


端末はフルブラウザの拡大でOS競争へ

日本の端末メーカーの市場シェア
 同氏はまず、携帯電話の端末における国内メーカーの現状について、国内10社(三菱電機を含む)を合計しても世界市場では9%にとどまるとするデータを示し、「このままでは壊滅的な状況なのが日本の端末メーカー。日本のキャリア向けに作ることで世界に出ていけず、市場には世界からも入ってこない、孤立した状況にある」と指摘した。

 さらに、iモードやEZweb、Yahoo!ケータイに代表される携帯電話向けンターネットサービスについても、「iモードは成功したモデルと言われるが、世界市場では2%程度のユーザーで、増加もしていない。日本では標準でも世界では標準ではない。将来的にも世界標準になるかといえば、そうはならないだろう」と述べ、今後の携帯電話におけるインターネットの利用は、フルブラウザとアプリによるものへ置き換わっていくとの予想を明らかにした。同氏はこの変化をパソコン業界におけるNECのPC-9800シリーズの衰退とIBMのPC/AT互換機の普及になぞらえ、2010年代には日本のiモードのシェアが4分の1程度に縮小するとの予想を明らかにした。

 これらの変化は携帯電話のデータ通信端末化が進むという予測に基づくもので、同氏はiPhoneにおけるアップルのOSや、Android、Windows Mobile 7といった、携帯のOS競争が活発になるとの見方を示した。


2010年代はフルブラウザとアプリによるインターネット利用が拡大すると予想。携帯向けインターネットは衰退するとした キャリアが支配する産業構造の問題点として示された図

海外の端末を積極的に導入

 今後同社が取り組むMVNOサービスについては、NTTドコモとの紛争事案を経て提供が開始される予定となったデータ通信サービスを取り上げた。ドコモから借り受けるネットワークについては、月あたり10Mbpsで1500万円となっており「ほぼ原価に近い価格ではないか」としたほか、「ドコモとの交渉ではお騒がせし、時間もかかった。しかし考え方を変えれば、ドコモと同等のネットワークを構築するには2兆円がかかり、10年かけても構築できないだろう。そのネットワークが使えるということ」と語り、紛争を経ても大きなメリットがあったとした。

 ドコモ網を使ったデータ通信サービスで利用する端末については、新たに中国のZTEのデータ通信端末を調達している。同氏は今後のロードマップとして、スマートフォンやスマートフォン上でのIP電話サービス、ノートパソコン内蔵モジュール、Atom搭載端末、Android端末といった流れを示した上で、「世界中のメーカーのものを日本に持ち込み、提供していく」と意気込みを明らかにした。


ドコモ網を使うbモバイル3Gは、ZTE製端末を採用 今後12か月のロードマップ

 福田氏からは海外での展開についても触れられ、アメリカで展開している、銀行ATMを無線の専用線で接続するサービスなどが紹介された。同氏は、企業における利用では専用線接続の需要が高まるとして、パソコンやスマートフォン向けの提供が重要になるとした。また、アメリカのみならず欧州、アジアでも展開し、15億人以上をカバーする構想が語られるとともに、各国で料金が同じとする施策も目指すことが明らかにされた。

 グローバル展開を語る一方で同氏は、「MVNOはサービス競争。全国でなくてもいい」として、地域展開を行う「丹後通信」構想を紹介。これは、いのしし対策や農作物の監視など、地域に根ざした場面に無線通信を利用するもので、総務省の「ふるさとケータイ」事業の基になったと説明した。同氏は丹後通信の「ひとつひとつを実行していきたい」と積極的に取り組んでいく姿勢を明らかにするとともに、「MVNOは無線を使うサービス競争に特化するのが本来の姿。新しい取り組みを実践する段階に来ている」と語り、多様なMVNOサービスを展開していく方針を明らかにした。


MVNOのグローバル展開 ふるさとケータイ事業の基になったという「丹後通信」構想


URL
  WIRELESS JAPAN 2008
  http://www8.ric.co.jp/expo/wj/
  日本通信
  http://www.j-com.co.jp/

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(太田 亮三)
2008/07/24 17:41

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