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【第8回ケータイ国際フォーラム】
ドコモ尾上氏とKDDI渡辺氏がLTEとWiMAXを解説

 京都で開催されているイベント「第8回ケータイ国際フォーラム」の2日目となる12日、NTTドコモ 執行役員 研究開発推進部長の尾上誠蔵氏とKDDI 理事 ネットワーク技術本部長の渡辺文夫氏が「次世代技術LTEセミナー」と題したセッションに登場し、それぞれLTEとWiMAXについて解説した。同セッションのコーディネーターは京都大学大学院 情報学研究科教授の吉田進氏が務めた。


LTEでは3Gで苦労した点を改良

尾上氏

NTTドコモ 執行役員 研究開発推進部長の尾上誠蔵氏
 ドコモの尾上氏は、「最近、WiMAXが話題になっているが、LTEはそれほどでもない」と冗談交じりに話を切り出した。同社では、「3Gで苦労した点を改良し、3Gそのものを発展させていく方向で検討を始めた」という。

 その苦労の具体的な例として、「PDC(2G)はシンプルでいい方式で、接続遅延(ディレイ)が小さかった。今はだいぶ改善されているが、3G(W-CDMA)はたくさんの人をつなげてはじめてスピードが出る仕組みで、当初大変苦労した」と振り返る。それもあり、LTEでは遅延の短縮を目指したとのことで、現状で「往復の遅延11ms、片道なら5msを達成できている」と語る。ハンドオーバーについても3Gで苦労した点といい、こちらについてもLTEでは改善される見通しが立っているという。

 また、尾上氏は「3Gの立ち上げに際しては、2年ぐらい誰もついてこなかった」と当時の孤立した状態を振り返る。「LTEでは、あくまでもダントツの1位ではなく、集団で立ち上げたい。2012年には他社の導入も予定されており、ドコモは先頭集団として2010年からLTEを導入していく」とスケジュールを示した。


WiMAXは電話なのか?

渡辺氏

KDDI 理事 ネットワーク技術本部長の渡辺文夫氏
 WiMAXサービスをスタートしたUQコミュニケーションズの肩書きも持つKDDIの渡辺氏は、冒頭に「LTEの話だと尾上さんと同じになってしまうので、今日はUQの帽子をかぶってお話ししたい」と語り、WiMAXの特徴について解説した。

 渡辺氏は、WiMAXの特徴について、「広帯域・大容量」「高速モビリティ」「常時接続環境」「世界標準仕様」の4つを挙げた。同氏によれば、「このうち3つはLTEのようなセルラーと同じだが、『常時接続環境』についてはちょっと違う。セルラーの場合はダイヤルアップという概念があるのに対し、無線LAN(WiFi)にはそれがない。つまり常時接続」と、WiMAXと無線LANは兄弟のような関係だと説明する。

 同氏は、「現在はUQ自身で端末を供給しているが、将来的にはノートPCなどの商品に組み込まれるケースがほとんどになる見込み。今、PCにはみんな無線LANが内蔵されて、当たり前のように使っている。WiMAXもそうなる」と語る。

 ビジネスモデルとしても「垂直統合でサービスを提供するつもりはなく、MVNOにもどんどん使っていただきたい」という渡辺氏。「そうするための仕掛けも用意している。PCを買ってくると、WiMAXモジュールが内蔵されているが、俗に言う白ロムの状態になっている。そこで『どのオペレーターと契約しますか?』と聞かれ、ISPのIDとパスワードを入力すれば、使えるようになる」と今後主流になるであろうWiMAXの使い方を例示した。

 また、同氏は「3GはSIM(電話番号)でユーザーを管理するが、WiMAXには電話番号が無い。MACアドレスで管理されている」と仕組みの違いを説明。その上で「WiMAXでは1加入でマルチデバイスが当たり前。パソコン、ゲーム機、車にも内蔵されるとなると、1個ずつ契約する、というのは料金的にもあり得ない」と語った。


WiMAXやLTEで実現されるアプリケーション

吉田氏

京都大学大学院 情報学研究科教授の吉田進氏
 両氏のプレゼンテーションが終わったところで、コーディネーターの吉田氏と3名でのディスカッションに移った。ディスカッションでは、吉田氏から「WiMAXやLTEでは、具体的にどんなアプリケーションが登場してくることになるのか」と両氏に質問が投げかけられた。

 渡辺氏は「逆説的だが、WiMAXはインターネットアクセスの手段で、WiMAXサービスなどというものは存在しない。WiMAXのためにサービスを作るのはナンセンスで、インターネットにあるものを使っていただく。我々が何か特別なサービスを用意するつもりはない」と述べた。

 一方、吉田氏から「ディレイが小さいLTEはどうか」と聞かれた尾上氏は、「遅延に対して、グローバルではあまり気にされていなかったが、ドコモは3Gの反省を踏まえて遅延の短縮を提案した。具体的なサービスはこれから考えていかないといけないが、答えの半分は渡辺さんが言われたように、オープンなサービスをそのまま使っていただくということ。残り半分は、LTEという新しい技術で新たなサービスを自分たちの手で作りたい。決算会見の際に当社の山田(社長)が言ったように、例えば、しゃべったら、翻訳してその人の声で相手に伝えるとか、新たな能力で新たなサービスをやっていきたい」と語った。



URL
  第8回ケータイ国際フォーラム
  http://www.itbazaar-kyoto.com/forum/


(湯野 康隆)
2009/03/12 22:04

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