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【ワイヤレス・テクノロジー・パーク2009】
UQ渡辺氏、「携帯との違いは“OTA契約”」

UQコミュニケーションズの渡辺氏
 5月12日と13日にわたって横浜で開催されている無線技術の展示会「ワイヤレス・テクノロジー・パーク2009」のセミナープログラム「ブロードバンド モバイル-次世代通信システムの最新技術動向」で、UQコミュニケーションズ 技術部門長の渡辺 文夫氏は、「WiMAXが拓くワイヤレスブロードバンドの世界」と題した講演を行った。

 まず渡辺氏は、「そもそもセルラー(ケータイ)ではなくWiMAXがなにを目指しているのか。電話の世界は、固定からコードレス電話になり、セルラーで1人1台となった。一方のインターネットは、最初はダイヤルアップで、5年くらい前にブロードバンドとなり、現在は3Gのデータカードが使えるようになっている。これらを比較すると違いがある。インターネットは家ではブロードバンドなのに、家の外ではブロードバンドではない。これで満足ですか、ということ。UQが目指すのは、家の外でも同じレベルのブロードバンドを提供すること。真のモバイル・ブロードバンドをスタートさせたくて、WiMAXのサービスを開始した」とし、WiMAXの目指す世界を説明した。


電話の進化 インターネットの進化

サービス概要
 サービスの現状については、現在は無料のパイロットサービスを提供していて、7月からは有料サービスとなり、エリアも7月段階で東名阪に広がることを紹介する。そしてWiMAXの端末としては、USBタイプとカードタイプがあり、さらに「もうひとつ出しているのが、WiMAXとWi-Fiのゲートウェイ。今の段階ではWi-Fi機器が多い。WiMAX内蔵機器が普及するまでは役に立つかな、と思っている」と紹介した。


エリア展開
 WiMAXネットワークのエリア状況については、2月段階で東京23区と横浜市、川崎市をカバーし、7月には関西地区と名古屋地区にも広げていくことなどを説明しつつも、「できたてほやほやのネットワークなので、当然穴がある」とし、地図上でUQ WiMAXの接続状況を共有する口コミサイトを紹介しつつ、「ユーザーから『ここでは使えなかったぞ』という意見などをもらい、日々反省しながらエリアを作っている」と語った。


都心部の詳細エリアマップ
 さらに2月26日のサービス開始時点での都心部の詳細なエリアマップを示し、「23区カバーといっても穴があった。基地局を建てるつもりで建っていない場所があった。これは7月に向けて良い状態にできると思う」とし、有料サービス時にはエリア内での品質も改善することをアピールした。


携帯電話との違いとしてOTA契約を特にアピール

WiMAXの特徴
 渡辺氏は、技術としてのモバイルWiMAXの特徴として、「高速・大容量」「高速モビリティ」「常時接続」「世界標準仕様」「OTA(Over The Air=通信経由)で契約」の5点を挙げ、とくにOTAについては、「今日の講演で1つだけ持って帰っていただくとしたら、OTAでの契約、これだけはセルラーとの違いとして認識してもらいたい」と強調した。


高速・大容量 高速モビリティ

常時接続 世界標準仕様

OTAによる契約加入
 OTA契約について渡辺氏は、「携帯電話もOTAでソフトを書き換えることはできる。しかし、WiMAXでは加入情報をOTAで書き換えることができる。携帯電話の場合、契約手続きは販売店で何十分もかかる。それに対しWiMAXは、オンラインでサインアップできる。お店でパソコンを買うと、Wi-Fiと同じようにWiMAXが内蔵されているとする。それで『あ、これ使えるじゃん』と思ったら契約すれば良い。パソコンを買ってから1ヶ月後でも半年後でも良い。お店に行く必要はなく、解約もすぱっとできる」と紹介した。

 続いて渡辺氏は、OFDMAやMIMO、FFRといったWiMAXが使っている技術をざっと挙げつつ、「面白いことに、WiMAXなどのOFDMAシステムは干渉でパフォーマンスが変わるせいで、思わぬところで良くなったり悪くなったりする。たとえばビルに囲まれて電波が悪いところが、干渉が少なくなってスループットが良くなるケースがある。逆に基地局が見えるところで悪くなることもある」と明かした。


ネットワーク構成図
 さらに基地局からインターネット網までのネットワーク構成図も示し、「携帯電話のネットワークと比べれば、『え、これだけ?』となるかもしれないが、これだけしかない。非常にコンパクト。これでも2013年までの想定キャパシティをサポートする。これは何故かというと、携帯電話と異なり、パケット通信だけでほかに何も必要ないから。設備は単純明瞭に、完全にインターネットアクセスに特化して作っている」と紹介した。

 今後の方針としては、「全国エリアの早期構築」と「WiMAX搭載PCの普及」「LTEとの差別化」「国際標準」の4つを挙げる。

 エリア構築については、「無料サービスでは、使えるところでは満足してもらっている。使えない場所があるから不満となっている。だから基地局建設のペースアップは最大の使命。エリアの密度さえ上げれば評価は高くなるので、(エリア展開の)計画は前倒しするようにがんばっている」として、力を入れていることをアピールする。さらに「上位のサービスは、MVNOやASPなどのパートナー様にやっていただく。よく『電話はやらないのですか』と質問される。ネットワーク的には可能だが、UQコミュニケーションズはやらない。そういった上位のサービスは、いろいろな方がビジネスをやろうとしているので、どんどんやってください、というスタンス。我々は、ベースとなるインフラを作ることに専念する」とも語った。


今後の事業方針 基地局計画を前倒しする

デバイスの種類
 端末の普及については、「ブロードバンドを持ち出す、というコンセプトなので、携帯電話とはビジネススタイルが異なる。ネットの世界でオペレーターデバイスはない。端末はリテール(小売り)でないといけない。イメージとしては、Wi-Fiを進化させたもの。まずはパソコンに標準搭載してもらう。オペレーターとは無関係のリテール端末も作ってもらう。たしかにUQ WiMAXも立ち上げにあたってオペレーターデバイスを出した。端末がないとサービスが使えないので仕方がない。今後もUQ自身が先行的にUQブランドで端末を出すことがあるかもしれないが、それがメジャーになることはない。デバイスは基本的にリテール」とし、携帯電話との違いを強調した。

 さらに「重要なのはエンベデッド(組み込み)面。WiMAXはすでにWi-Fiとの兼用チップが登場している。いまWi-Fiが入るデバイスには、WiMAXを入れられる」とし、ハーフミニサイズの内蔵用WiMAX/Wi-Fiコンボカードの写真を紹介しつつ、「実はわたしがいまプレゼンテーションで使っているこのノートパソコンも、すでにWiMAXが内蔵されている」と明かした。

 WiMAXの普及速度については、「パソコンへのWi-Fi内蔵は、あるとき急激に立ち上がった。WiMAXがどれだけの速度で普及するかは議論のあるところだが、相当速いペースで内蔵されていくと見込んでいる」との見解も語った。


組み込み用のWiMAXモジュール WiMAXの普及想定

OTA契約の利用イメージ
 非オペレーターのリテール端末の概念については、前述のOTA契約を絡めて実際の利用イメージを紹介する。渡辺氏は、「パソコンやゲーム機などWiMAX内蔵デバイスを買ってくると、その段階ではオペレーターフリーの、ケータイで言うところのオペレーターロックのかかっていない白ロム状態となっている。そのデバイスを起動し、WiMAXが必要だとなると、最初だけ契約用の特別な画面につながる。そこでUQ WiMAXに限らず、MVNOを含めたオペレーターから契約を選べる。そこでオンライン手続きすると、その選択したオペレーターのIDがデバイスに入る。特定のオペレーター用として売られるわけではなく、あとでオンライン手続きすることでひも付けする、そういった仕掛けになっている。ある種のMVNOは、自分のところ以外では使えない専用デバイスを出すこともあるかもしれないが、基本的にはオンラインで契約・解除ができる。UQコミュニケーションズはこういったオープンなやり方をドライブしている」と説明した。

 MVNOについては、「すでに22社が申し込んできている。対外発表しているのは@niftyとBIGLOBEだが、大小あわせてかなり増えると予想している。7月以降はどんどん増えるのでは」と拡大していくとの見方を示した。


LTEとWiMAXの事業戦略的な違い
 渡辺氏は、LTEとの違いについても言及する。まずスペックについては「2年先行している我々とまだスタートしていないLTEをカタログスペックで比較しても仕方がない」としつつも、「2年先行しているということは、逆に言うと2年古い技術と言うことになる。しかし技術は発展する。WiMAXも発展させていく」と語り、発展ロードマップ図を示しつつ技術面で遅れをとらないことをアピールする。

 さらに「いちばん違う点はネットワークの管理方法。OTAも関連するが、LTEは電話なので、ユーザー管理は相変わらずSIM、大本をたどれば電話番号となる。2つの端末でネットを使うには、SIMを差し替えて使うか、あるいはSIMが2枚あれば別契約となる。ネットの世界でこれはおかしい。一方、WiMAXはMACアドレスで管理する。実際のサービスがどうなるかはオペレーターごとに考え方が異なると思うが、技術的には1加入者が複数のアドレスを持つことも可能」とも紹介した。


WiMAXとLTEのネットワーク管理方法の違い WiMAXの技術発展ロードマップ

 最後に渡辺氏は、「WiMAXが目指しているのは、携帯電話が目指しているのとは違う世界。インターネットをワイヤレスでどこでも楽しめる、という世界を提供する。そのためには、垂直統合ではやっていけない。水平分業でやっていくようなインターフェイスを作っていく」と語って講演を締めくくった。



URL
  UQコミュニケーションズ
  http://www.uqwimax.jp/

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(白根 雅彦)
2009/05/13 15:20

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