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塩田紳二の「PalmSource Forum Tokyo 2001」レポート(2/14~2/15)
ドコモのDopa網を使ったPalm向けワイヤレス接続サービス ほか

 PalmSourceは、Palm Computingが主催するPalm OS関連開発者向けのコンファレンスである。すでに米国で昨年12月に開催されており基本的には、それをベースに日本で開催されたもの。


ドコモのDopa網を使ったPalm向けワイヤレス接続サービス

米Palm社の最高執行責任者でプラットフォーム製品担当のアラン・ケスラー氏
 初日は、まず、来日したPalm社幹部などによる基調講演から始まった。講演したのは、米Palm社プラットフォーム製品担当で最高執行責任者(COO)であるアラン・ケスラー、同最高マーケティング責任者サジブ・S・チャヒル、日本法人であるパームコンピューティング株式会社の代表取締役クレイグ・ウィル氏らと、Palm OS用のATOKを出荷したジャストシステムの浮川和宣代表取締役。

 ケスラー氏は、Palm OSを採用する各社のビジネスを含めたPalm関連製品の市場をPalm Economyと呼び、その現状を語る。ただし、基本的には米国ですでに発表済みの内容であり、日本向けの話は、すでに米国で開始したPalmマシン用のカスタマイズ可能なポータルサイトであるMy Palmを今年日本やヨーロッパでも展開するという点。今年4月より、NTTドコモのDapa網を使い、米国と同様にPalmによるワイヤレスアクセスサービスを開始する予定になっている。その時と同時かどうかはわからないが、米国と同じサービスを日本でも行なうことが確認された。

 また、Palm OSは、今後ARM CPUを採用することが決まっているが、試作ボードを使い、ARM CPU上で動作するPalm OSのデモや同OSが現在採用している米モトローラの68000 CPUのエミュレーション機能を持つことなどのデモやBluetooth搭載試作機によるデモなどを行なった。

 ジャストシステムの浮川氏は、今後の取り組みとして、パソコン上のATOKで展開しているiATOKサービスをPalmでも提供することや、新しいPalm OS 4.0への対応などについて発表。開発途中の日本語版のPalm OS 4.0の上でATOKを動かすデモなどが行なわれた。新しいPalm OS 4.0では、PCでいうIMEの扱いが整備されたため、日本語モードにしたときにATOKが動作していることを示すアイコンが表示されるようだ。

 このほか、企業向けモバイルコンピューティング市場に対してビジネスパートナープログラムを開始することや、パームコンピューティング株式会社と立教大学がPalm OSプラットフォームを利用した教育研究用情報環境の共同開発で合意したことなどが新たに発表された。

 PalmSourceは、基本的には、Palm OSに対応する開発者向けのコンファレンスが中心で、基調講演の後は、複数のトラックに分かれた技術コンファレンスが開催される。ただし、一部のものを除いて、内容は米国で開催されたPalmSourceとほとんど同じもの。もっとも、インテルのDeveloper Forum(IDF)も、マイクロソフトなどの開発者向けコンファレンスなども、まず米国で開催し、その後日本でほぼ同じ内容のコンファレンスが開催されることは多く、こうした形式は珍しいことではない。


Palm機にBluetooth機能を付加した試作機によるデモ。写真左手の人物と真ん中の人物が持つPalm機はBluetoothで通信し、対戦ゲームを行うもの。Palm OS 4.0からBluetooth対応の準備が整うという 日本法人であるパームコンピューティング株式会社の代表取締役クレイグ・ウィル氏

I/O機能付きのメモリ?スティックやSDカードなども展示

国内で開始予定のWebClippingによる情報提供例。このような形で、ワイヤレスによる情報取得が可能となる予定
 PalmSourceでは、Palm関連ビジネスを行なう各社の展示も併催されている。ここでは、その中で気になったものを紹介しよう。

 ソニーは、メモリースティックにI/O機能を持たせたデバイスを展示。モックアップではなく、GPS、デジタルカメラ、指紋認証モジュールなどが実際に同社のPalm OS採用マシンのCLIEで動作していた。ただし、実際の製品としての形態などについてはまだ未確定な部分があるとのことだ。このようなデバイスを使う場合には、デバイスドライバをどうするかという問題があり、たとえば、Palmなどでは、CD-ROMなどでドライバプログラムを供給することは不可能ではないが、携帯電話の場合はこうした方法が不可能となる。また、デバイス自体にフラッシュメモリなどを持たせ、そこにドライバを入れると、デバイス自体が同一の形状にもかかわらず、接続する装置別になってしまう(携帯電話とPalm OSマシンでは、通常の方法ではドライバプログラムを共有できない)。このあたりが、さまざまなプラットフォームをサポートするデバイス共通の問題でもある。

 Palm社自身は、拡張スロットとしてSDカードを採用する予定だが、そのデモとしてSDカード形式のI/Oデバイスのモックアップも展示されていた。SDカードは、松下や東芝などが中心になって、ソニーのメモリースティックを追撃中だが、こちらはまだモックアップで、この点では、ソニーのほうが先行している感がある。

 ただし、日本ではすでに珍しくないメモリースティックやSDカードだが、デジタルカメラや対応スロットを持つデジタルビデオ、ノートパソコンなどの製品がまだ少ない米国では、どちらもまだ珍しい存在だ。Palm社がSDカード対応のPalm機を登場させれば、これがきっかけとなってSDカードが普及する可能性もある。となると、ソニーもあんまりのんびりできない感じではある。

 ただし、Palm OS採用マシンでは、Handspring社がSpringBoard、TRG社がコンパクトフラッシュと、外部記憶メディアは各社ばらばらの状態であり、共通OSながら、相互に簡単にメモリデバイス経由での情報交換が行なえない状況がある。Palm OS 4.0では、メモリカードアクセスのための共通APIを正式採用(現在のソニーのCLIEに装備されているものがベースになるらしい)する予定だが、アプリケーション側からは共通でも、データ交換にパソコンを介したり、低速なシリアルやIrDA経由でのデータ交換などは実際には難しいと思われる。

 さて、そのHandSpring社だが、今回は、入手可能なSpringBoardを集めて展示していた。すでにかなりの数が揃っている。しかも、これらは、スロットに装着するだけでVISORで利用できるため、ドライバなどの問題のある他の拡張スロットよりも有利な部分がある。ただ、米国で発売されているVISORを携帯電話にするVISOR Phoneは、ハンドスプリング社が日本国内での展開する予定はないとのこと。


 米国でPalm社が行なっているワイヤレスアクセスサービスは、WebClippingと呼ばれる特殊なフォーマットを使って、情報提供者(サイト運営者)がPalm機にインストールするモジュールを作成し、それを介してサイトにアクセスするもの。パソコンに比べて解像度が低く、低速なワイヤレス回線を有効に使うように設計されたものだが、その日本でのサービス開始がせまっており、日本語による国内の情報提供者のデモも行なわれていた。


松下電器が展示していた超小型Bluetoothモジュール。基盤の手前に付いている小さい長方形の部分がモジュールで、それ以外は、シリアルインターフェースのための基盤。アンテナなどBluetoothに必要なハードウェアをすべて内蔵していて、いまのところ世界最小だという 松下電器のIrDA接続が可能な超小型プリンタの試作機

VISOR用Eyemodule2。VISORをデジタルカメラにするSpringBoard。従来のEyemoduleより解像度が上がり最大640x480の静止画撮影と動画の撮影も可能になった HandSpring社は、すでに出荷されたSpringBoardや周辺機器などを展示。写真右側に立ててあるVISOR Prismに装着してあるのがVISOR Phone

ソニーのメモリースティックデジタルカメラの試作品。実際に撮影が行える。こうしたコンパクトな周辺装置が充実すると魅力的なのだが ソニーのメモリースティックGPSモジュール。こちらも動作するものだという

SDカードスロットに装着するI/Oデバイス(SD I/Oカード)のモックアップ。ソニー同様、さまざまなデバイスを検討しているようである おなじくSD I/OカードのBluetooth モジュールとデジタルカメラモジュール


URL
  パーム コンピューティングのホームページ
  http://www.palm-japan.com/home.html


(塩田紳二)
2001/02/15 11:00

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