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CeBIT 2001(3/22~3/28)
スペシャルレポート

日本から持っていった「エリクソン T28」と「Motorola Timeport P7689」
 GSM方式を採用するヨーロッパなどでは、国内で利用されているPDC方式やcdmaOne方式の携帯電話を利用することができない。普段から携帯電話のある生活に慣れてしまっている身としては、何らかの連絡手段が欲しいところだが、通常、旅行先の地域に住んでいない人は携帯電話を契約することができない。そのため、旅行のときは現地で利用できるレンタル携帯電話などを借りるわけだが、通話料が1分数百円と高いため、日本のときのように気軽に使うことができない。

 編集スタッフYと法林は今回のCeBIT2001の取材にあたり、インプレスが日本で契約したドイツテレコムのGSM携帯電話を手渡され、取材に持ち歩いている。端末は「エリクソン T28」と「Motorola Timeport P7689」の2種類だ。GSM方式を採用するヨーロッパに到着以来、この2台の端末を使い続けているのだが、ユーザーインターフェイスや機能など、どうも気に入らない点が多い上、移動中のさまざまな場所でGSM携帯電話が販売されているのを見かけ、プリペイド携帯電話を購入してみることにした。


日本同様、ドイツでも「0DM」端末が販売されている。ただし、要回線契約 ブレーメン市内のD2 mannesmannの携帯電話ショップ 第3の携帯電話事業者「e-plus」の携帯電話ショップ。プリペイド携帯電話も扱っている

D2 mannesmannのプリペイド携帯電話パッケージ「D2 CallYa」
 プリペイド携帯電話は国内で提供されているが、あらかじめ一定額を払い込んでおくことで、一定時間まで利用できる携帯電話のことだ。ドイツ国内ではドイツテレコム「T-Mobile」、英Vodafone系「D2 mannesmann」などがサービスを提供しており、端末をセットにした「プリペイド携帯電話パッケージ」が販売されている。GSM携帯電話では契約者情報などを記録した「SIMカード」と呼ばれる親指大のICカードを利用しているが、プリペイド携帯電話もSIMカードを採用しており、パッケージには端末と充電器、SIMカード、書類などが含まれている。

 プリペイド携帯電話のパッケージは、日本と同じような携帯電話ショップ、事業者系のショップ、電器店などで購入することができる。あらかじめ決められた時間以上、使ったときは、これらのお店や駅の売店(コンビニエンスストアのもう少し簡単なもの)などで販売されているプリペイドカードを購入し、料金をチャージすれば、使い続けることが可能だ。


ドイツテレコム「T-D1 Xtra」編

 日本で手渡された「Motorola Timeport P7689」。出発前から機能を設定するために、いろいろと触ってみたのだが、ハッキリ言って、これが全然よろしくない。どの辺がよろしくないかというと、とにかくユーザーインターフェイスがダメなのだ。まず、メニューを操作するとき、動くエリアは2行のみで、その他の行は表示内容が固定されているため、一覧性が非常に良くない。端末をポケットに入れるとき、誤動作を防ぐために簡易ロックを掛けるが、数ステップを踏まなければならない。SMS(Short Message Service)のメッセージを作るのも見るのもメニューから操作しなければならない。日本の端末のように、「メールボタン一発!」とはいかないわけだ。しかも、このTimeport 280はアジア向けのモデルのため、ボタンに中国語らしき意味不明の漢字がいくつも並んでいる。確かに、アジアでも台湾などでGSM携帯電話が利用できるが、日本人にとってはまったく無用のもの。これではせっかくの「ドイツ気分」も台無しだ(笑)。

 そこで、プリペイド携帯電話の購入を検討したわけだが、これが意外に選択が難しい。ケータイ Watch的には「王道のNOKIA」「スタイリッシュなエリクソン」あたりをゲットしたいところだが、すでに速報でもお伝えしているとおり、年内には新モデルが登場する予定だ。しかも、プリペイド携帯電話のパッケージに採用されている端末は、普及モデルが中心で、NOKIA 6210などのミッドレンジ以上の端末はプリペイドカードと端末を別々に購入しなければならない。個別に購入する場合の端末のお値段も約700DM(約4万2000円)と高い。日本で3~5万円の新端末を毎月のように購入していることを考えれば、高くないとも言えるのだが、あまり機能が豊富ではない上、滞在期間中や今後の旅行程度でしか使わないことを考慮すれば、あまりコストパフォーマンスが良くない。その結果、ドイツテレコムのプリペイド携帯電話パッケージから選ぶことにした。


「Siemens C35」
 ドイツテレコムは「Xtra」という名称でプリペイド携帯電話のサービスを提供している。プリペイド携帯電話のパッケージは「XtraPac」、リチャージ用のプリペイド携帯電話用カードは「XtraCard」といった具合いだ。ドイツテレコムの直営ショップはドイツ鉄道の駅や空港など、いろいろな場所にある。店内には携帯電話や電話機、ISDNターミナルアダプタなどが展示されており、いつでもそれらの製品を購入することができる。ISDN機器があるあたりはさすがドイツといったところだろうか。一般の携帯電話ショップなども含め、数店を見て回ったが、「XtraPac」の価格はどこもほぼ同じ。結局、確実性と今後の参考という意味も含め、ハノーバー駅構内のドイツテレコムの直営ショップで購入することにした。

 ドイツテレコムのXtraPacには、NOKIA、Siemens、Alcatelなどの普及モデルがラインアップされている。注目のNOKIAは「NOKIA 3310」「NOKIA 3320」の2機種がラインアップされているが、いずれもWAPに対応しておらず、着せ替え程度しか遊べない(これも楽しいんだけど)ため、残念ながら見送り。Alcatelはユニークなデザインが魅力だが、普及モデルはややオモチャっぽいので、これも見送り。結局、「せっかくドイツに来たのだから」ということもあり、ドイツ製の「Siemens C35」を選ぶことにした。価格は249DM(約1万5000円)で、25DM(1500円)分の通話料が含まれている。


「Siemens C35」のXtraPac。すべてドイツ語だが、「W@P」の文字からWAP対応端末であることがわかる
 早速、つたなく破綻した英語で店員に「XtraPacのC35ちょーだい」と話しかける。店の奥からブツを持ってきて、まずは本人確認のためにパスポートを提示。「ドイツ国内の住所は?」と聞かれたので、「ないけど、ホテルの住所でいい?」と答えたところ、それでも構わないそうなので、ホテルの住所を伝える。続いて、料金プランを選択する。ドイツテレコムのプリペイド携帯電話には「Xtra4You」と「XtraFriend」の2種類がある。後者の方が固定電話に掛けるときに有利なようなので、「Xtra4You」の方を選択する。「保証は1年でいいか?」と聞かれたが、滞在期間中さえ使えれば問題ないので、これもOK。あとは書類にサインをして、代金を支払えば、無事にGSM携帯電話ゲットというわけだ。

 端末を手渡されるとき、「1~2時間くらいで使えるはずだから」と言われたので、端末はブレーメンのホテルに帰ってから開けることにした(移動時間がちょうど約1時間)。今回契約した電話番号は1年間、保持され、来年、CeBIT 2002の取材で訪れたときにリチャージすれば、さらに1年間、電話番号が保持される(じゃあ、毎年、ドイツに行けってこと?)。ちなみに、ショップで手渡された書類を見ると、現住所はホテル。つまり、「ブレーメン在住の法林さん」ということらしい。

 端末をホテルに持ち帰り、まずは内容物の確認。端末とマニュアル、Xtraのサービス内容を説明する書類一式。そして、肝心のSIMカード。書類に目を通そうとして、ここでまず一撃。当然のことながら、書類はすべてドイツ語。英語の書類はまったくない。おまけに端末のマニュアルもすべてドイツ語。これは独和辞典を片手に読まないと……などと考えながら、端末のバッテリーボックス内にあるスロットにSIMカードを挿入。いよいよ電源オン。


SIMカード。中央部分を取り外して、端末に装着する マニュアルから付属書類まで、すべてドイツ語。これはちょっと参った

 まず、画面に「Willkommen T-D1」という文字が表示される。「げげ。これって、ドイツ語?」などと思っていたら、なんとメニュー内はすべてドイツ語。これは困った……。英語ならともかく、ドイツ語じゃ手も足も出ないぞ。きっと、どこかに英語表示に切り替えるメニューがあるはずと思い、まずは独和辞典で「言語」を引く。なるほど、言語は「Sprache」というらしい。メニュー内で「Sprache」を何とか探し出し、ようやく英語メニューに変更。いつもはあまり好きじゃない英語なのに、思わずホッとする(笑)。

 各機能を設定し、Motorola Timeport P7689に電話を掛けたり、SMSの送受信テストを行なってみたが、動作はまったく問題ない。簡易ロックも[#]長押しでできるし、操作性もそれほど違和感はない。WAPは回線交換での接続なので、接続までに時間は掛かるが、問題なく使える(ドイツテレコムのサイトなので、当然ドイツ語)。気になるのはSMSでメッセージを作成時に利用する「T9」という入力方式。どういうものなのかは知っていたが、実際に使ってみると、なかなか具合いがいい。ただ、コミュニケーションをする相手が日本人の場合、必然的にローマ字でメッセージを送ることになるので、状況によっては機能をOFFにした方が良さそうだ。付属のACアダプタはヨーロッパ方式のものなので、日本でも充電したいときは変圧トランスを購入するか、各国対応のACアダプタを別途、購入する必要がある。もちろん、これらの機器はドイツテレコムの直営ショップなどで購入できる。また、Siemens C35iの英語マニュアルは、同社のサイトからダウンロードすることが可能だ。

 249DMという価格は、日本の携帯電話の機能から考えれば、あまり安いとは言えないが、通話料が1分60円程度(日中昼間)、SMSが1通24円程度なので、レンタル携帯電話よりは割安だ。チャージ分を使い切った後は、リチャージして使ってもいいし、別のGSM携帯電話のプリペイドカード(SIM)に差し替えて使うこともできる。もちろん、コレクションとしてもおみやげとしても使えるだろう。


D2 mannesmann「D2-CallYa」編

 日本で購入したドイツテレコムの携帯電話、エリクソンの「T28」にもかなり飽きてきた。というのもこの端末、WAP対応じゃないので、音声通話とショートメッセージ(もちろん日本語は使えない)しか使い道がない。

 ホテルのあるブレーメンからCeBIT会場のあるハノーバーまで、毎日1時間かけてのICE通勤。帰りはノートPCを広げて原稿を書くからいいけど、行きは暇で暇でしかたがない。そんなとき、無性にiモードやEZwebなどに対応した日本の携帯電話が懐かしくなるのだ。


端末を購入した携帯ショップ 店内の雰囲気

 というわけで、買うならやっぱりWAP対応のもの。と言ってみたものの、プリペイドでWAP対応というと、かなり数が限られてくる。ハノーバーの街中にある携帯ショップを色々と散策してみた結果、ドイツ最大手のドイツテレコムよりもD2 mannesmannの方がプリペイド端末のバリエーションが多いことが分かった。ちなみにD2 mannesmannのプリペイド携帯のブランドは「D2-CallYa」という。

 で、結局購入したのは、「Trium Mars」という端末だ。ちなみに、Triumというのは、三菱電機がヨーロッパで使っているブランド名。普通の人はそんなことは知らないので、日本に帰って「俺、ドイツで携帯買ったんだけどさ。Triumのやつ」「へぇ、かっこいいじゃん」「実はTriumって三菱のね…」などとウンチクを語れる。この端末を選んだのは、そんなところまでを想定してのことなのだ。

 携帯ショップに入り、端末を眺めていると、店員から声をかけられた。いくつかショップを回って、すでにこれにしようと決めていたので、この端末がプリペイドカードとのセット販売(25DM分の通話料付き)であることやWAP対応であることをカタコト英語で確認。最後に値段を確認し、購入することを店員に告げた。すると、名前を教えてくれとのこと。自分の名前を口にしてみたが、向こうが聞き取れなかったようで、パスポートを出して、「ホレ、ここが名前」と指し示すと、その店員、カウンターのパソコンに向かって何やら打ち込み始めた。かと思うと、数分もしないうちに、そばのプリンターからレシートが打ち出され、現金で129DM(約8000円)を支払い、購入完了。この間、5分足らず。第1の障壁は意外と簡単に越えられた。


領収書とパッケージ 「Trium Mars」。D2 mannesmann契約なので「D2」のロゴが入っている

メニューがドイツ語でチンプンカンプン。片っ端から触ってどうにか英語化に成功
 その後、帰りの車中でさっそく箱を開け、SIMカードを取り付け、電源投入。……。電池が切れていて動かない。1時間後、ホテルに到着し、ようやく充電器をつないで電源投入。おー、立ち上がった。でも、メニューがドイツ語でさっぱり分からん。さっそく第2の障壁だ。  端末の操作マニュアルについては英語版も同梱されていたが、そもそも英語版のマニュアルではメニューが英語になっていて、インターフェイスが全然違っている。つまり、メニューを英語化できることは分かっても、どこをどう辿ればそうできるのかがさっぱり分からないのだ。片っ端からメニューを開いてみたところ、「Einstellungen」というメニューから「Telefoneinstellung」→「Sprache」と辿ったところで「English」という単語を発見。ようやくメニューが英語になった。これで何とか使える状態にはなった。

 そして第3の障壁、回線の開通作業。こちらについてはマニュアルに英語ページが用意されていたので、その通りやってみた。4桁のPINコードを入れて、所定の開通センターの番号に電話をかける。自動応答なのだが、これまたドイツ語でさっぱり分からない。そうこうしているうちに回線が勝手に切れてしまい、気が付くとアンテナが立っていた。というか、最初に電源を入れたときからずっとアンテナが立っていたような気もする。やはり、この辺のことは店頭で確認しといたほうがよかった、と今ごろ後悔。

 ともかく、前から持っていた「T28」のほうに電話をかけてみたところ、問題なく通話可能。WAPも問題なく利用できた。なんだか分からないが、とりあえず使えている。

 で、待ちに待ったWAP。もちろん端末に「Homepage」として登録されているのはドイツ語のポータルサイトなのだが、同梱されていたパンフレット(これまたドイツ語)にはDB(Die Bahn/ドイツ鉄道)がダイヤ検索サービスを提供しているらしいことが書かれていたので、メニューから辿ってみた。このサイトは英語版も用意されているので、わりと普通に使える。やっぱり携帯といえばコレでしょ。ニュース系のコンテンツもあるようだが、ドイツ語なのでさっぱり分からない。

 それからこの端末、実は「T9」にも対応している。T9とは、正確には「T9 Text Input」という機能のことで、auの「C406S」やNTTドコモの「SO503i」なんかに搭載されている「POBox」のこちら版みたいなものだ。例えば、「hello」と入力したい場合、普通の携帯電話では「44」「33」「555」「555」「666」と打たなければならないが、T9をオンにすると「4」「3」「5」「5」「6」と打つだけでOK。使い方を覚えておくと、英文でSMS(Short Message Service)を利用する場合、入力がかなり楽になるはず。当然、日本語は出ないけど。

 通話料は時間帯や通話先によって異なるが、ドイツ国内なら1分あたり0.15~1.69DM(約9~101円)。1分につき数百円も取られるレンタルの携帯電話より、通話料の面ではずいぶんオトク。25DM分の無料通話も付いてくるので、観光で1週間ほど滞在するくらいなら、これで十分事足りるはず。

 あとは8000円という端末の値段をどう判断するかだが、日本では購入できないシロモノなので、お土産としての価値もあるんじゃないだろうか?


「DB(Die Bahn/ドイツ鉄道)」のダイヤ検索サービス T9 Text Inputをオンにしたときのテキスト入力画面

最後に

 我々の日常生活において、今や携帯電話は欠かせないもの。それはもちろん、旅行先でも同じこと。一部地域で国際ローミングが実現され、次世代携帯電話ではより広いエリアをカバーしたローミングサービスの提供が想定されている。

 しかし、現実問題として、今日明日にも旅行で出かけるとしたら……。レンタル携帯電話の安心感も魅力だが、現地でプリペイド携帯電話にチャレンジするのもなかなか楽しいものだ。実際に購入できるかどうか、どれだけ使えるかなどは保証の限りではないが、少なくとも今回はここで紹介したような方法で、GSM方式のプリペイド携帯電話を購入することができた。今回のレポートが読者のみなさんの旅行などに役立てば幸いです。



(湯野 康隆, 法林岳之)
2001/03/30 00:00

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