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CLIE用キーボードと、意外に気に入ったPalm m130
山田道夫
1996年に開設したサイト「携帯電脳」を模様替えし、1999年1月スタートしたWeb&メールマガジン「MOBILE NEWS」編集長。モバイルノートPCからデジタルガジェットまで「小さくてデジタルなもの」にこだわった最新情報を提供している


 今回は前回に引き続きPDA用のキーボードを中心に取り上げたい。前回はPocket PC 2002搭載機で、という括りでキーボード付きPDAをご紹介した。今回はPalmプラットフォームのCLIE用オプションキーボード、米国で発売されたHandspringのキーボード付きPalm機、キーボードは搭載していないものの筆者が意外に気に入ってしまったPalm m130、ARM対応Palm OS 5などの話題を取り上げていく。


小型ゆえに魅力的なPEG-T用取り付けキーボード

PEG-T600CにPEGA-KB20を装着したところ。装着は簡単だ
 前回も書いたが、筆者は“PDAにキーボードは必須派”だ。キーボードが必須というのはどちらかと言えば少数派ではないかと思うが、筆者の場合は手書きが嫌いなためと、立ったままメモを取ることが多く、文章をそこそこ書きたいという欲求があって、キーボード必須派になった。CLIE PEG-TR70Vを購入したため、PEG-T600Cをそろそろ売ろうと思っていたのだが、PEG-T650Cの発売に合わせて、PEG-Tシリーズで利用可能な追加型の小型キーボード「PEGA-KB20」が発売された。価格は5000円弱。PDAにキーボードは必須という筆者としてはPEG-T600Cを売るのをやめ、さっそく小型キーボードを購入した。

 結論から言えば、キーボードはなかなか入力しやすい。CLIEのキーボードといえば、PEG-NR70/70Vの内蔵キーボードがまず思い浮かぶところだが、個人的な印象ではクリック感がはっきりしている分だけ、PEGA-KB20の方が入力しやすいと感じる。

 ただ、もちろんだからといって万人にお勧めできるかというとそんなこともない。日常的に取り付けておくには少し大きい気がするからだ。厚みが増すため、ポケットに放り込んでおくといった使い方には向かない。とはいっても、既存のPEG-T600Cユーザーなどでキーボードを使ってみたいというユーザーには面白い選択だと思う。しかし、これからCLIEを購入するユーザーでキーボードを使いたい用途があるなら、液晶を広く使えることも含め、PEG-NRシリーズを選択する方がいいのではないかと思う。


キー配列は特殊だが、アプリケーションボタンなどが増えたのが嬉しいところ。十分に硬くかなり入力しやすい
 ただし、気になる点もいくつかある。小型キーボードでは、キー配置については必ずどこか妥協しなくてはならないものだが、PEGA-KB20も例外ではなく、Tabキーが右端にあったり、Fnキーが左上にあったりする。また、筆者が利用してみた限りでは、フォントを強制的に変更するフリーウェアのhrFontMapperを利用していると文字の入力が極端に遅くなったり、2文字続けて入力されてしまうなどの不具合がある。非常に便利なユーティリティだが、現状ではPEGA-KB20を利用する場合は外してしまうしかないようだ。

 ちなみに、対応機種には入っていないがPEG-NR70/70Vでも利用可能なようだ。キーボードを内蔵したPEG-NR70/70Vで利用することにどういったメリットがあるかというと、いわゆるターンスタイル(液晶を閉じ、液晶を正面に向けた状態)でキーボードを利用したい、ボタンを押したいといった用途(がもしあれば)にはいいかもしれない。少しPEG-NR70/70Vの方が横幅があるような気がするが、端の方に取り付け可能だ。もっとも、メーカーサポート対象外の利用方法になること、キーボード搭載機種にさらにキーボードを取り付けて使うナンセンスさを考えると、実際に利用する人はあまりいないだろうと思う。

 話は少しそれるが、PEG-NR70/70Vユーザーで、ターンスタイルで上下ボタンが使えないことや、ハードウェアボタンが利用できない点に不満がある場合は、フリーウェアの「PageDownHack」を利用すれば上下ボタンやアプリケーションボタンを液晶の下部に割り付けることも可能だ。


取り外してみた。柔らかいところがあって逆に十分に押さえつけることができる CLIE PEG-NR70Vに装着したところ。ターンスタイルだったら利用する意味は全くないとは言えないが、サポート対象外でもありお勧めはできない

m500シリーズ用キーボードと期待のTreo 90

Palm m500シリーズ用のキーボードは日本では未発売だが、なかなか使い勝手がよかった。国内発売を期待したい
 また、一方でアメリカではPalm m500シリーズ用のキーボードが発売された。日本での発売は未定のようだが、日本で行なわれたPalmSourceで試作機を使用してみたところ、非常に入力しやすく使い勝手がよかった。日本での発売を期待したいところだ。

 さらに、米国ではHandspringが5月末にキーボード付きのTreo 90を発表している。こちらは、従来の携帯電話機能なしの純粋なキーボード付きのPDAだ。かなり小型で、STN液晶のため屋外では見にくいかもしれないが、カバー付きのデザインも含め魅力的な仕上がりだ。日本での発売はまったく未定のようだが、一部のショップが独自に輸入したり、海外から購入しているユーザーもすでにいるようだ。日本では残念なことにマニアックな製品となってしまうが、キーボード愛好家にはたまらない製品だといえる。筆者も思わず注文してしまった(正直一体どう使う気なのかは自分でもよくわからないのだが)。なかなか入力しやすそうなキーボードで非常に楽しみだ。


Palm m130って意外に魅力的?

Palm m130は筐体のデザインなどは従来機種から変更されていないが、ツートンカラーが華やかでさらに魅力的になった
 この連載を読んでいただいている読者の方ならすでにおわかりと思うが、筆者はどちらかというと多機能なPDAが好みだ。PDAでメールも読みたいし、Webをちょっと見たりもしたい。また、文字を入力する場合はキーボードがある方が好ましい。ディスプレイの解像度は高ければ高いほどいいと思うし、もちろんカラーでなければ嫌だ。液晶は微透過型(画素の8割が反射構造、2割が透過構造のモバイル向けディスプレイ)かフロントライト付きの反射型TFT液晶を利用したいと思う。もっとも、これは日本語の特殊事情も多少ある。欧文だけを利用してテキスト中心だったら低解像度でもさほど不自由は感じないだろう。

 そんな筆者だが、日本で開催されたPalmSourceでPalm m130を触ってみて、意外にも心惹かれた。従来のPalm m100シリーズのシンプルな製品にはまったく興味なかったのだが、Palm m130は非常に使い勝手が良く、またデザインが同じなのに材質と配色が変わっただけで実に筆者好みとなった。詳細な情報はカタログを見てもらうとして、気に入った点を中心に紹介していく。

 従来機種からの最大の違いはカラーディスプレイになったことではないと思う。m130のカラー液晶は、正直言って多機能な製品を見慣れた目には美麗とは言いがたく、解像度も160×160ドットのままで、カラーになったという以上の意味はあまり感じない。テキスト表示であれば問題はないが、写真などのグラフィック表示ではかなり他のPDAには劣ると思う

 しかし、それ以上に使っていて楽しいのだ。もちろん、PDAで何でもやりたいというユーザーにはとてもお勧めできないが、スケジュールやToDoやメモを確認したいといったPIMの利用が中心のユーザーにはなかなか面白い選択だと思う。付属ソフトウェアも、ひらがなをGrafftiエリアに入力して認識させる「極ひら」やWord/Excelの表示・作成・編集が可能な「Documents To Go」など、ビジネス用途ではなかなか良い選択だろう。

 デザイン的にはほとんど変化していないはずだが、シンプルな樹脂製のツートンカラーが非常に気に入っている。液晶保護カバーも採用しているため、そのままポケットに突っ込んでおいてもまったく心配ない。

 Palm m130は日常的に持ち歩き、ポケットに放り込んだり、鞄に入れっぱなしにしたりしてガシガシ使用するマシンだと思う。手荒く扱っても案外丈夫そうだ。筆者の場合は前述のように多機能好きゆえ、一定期間使ったら飽きてしまう予感はしているが、PIMブラウザと割り切って使用すればなかなか楽しい製品だと思う。とくに、初心者やデザインを重視する人にはいい選択だ。


蓋を閉じた状態でも時刻が1ボタンでわかるというのは従来機種同様。液晶カバーとしてはなかなか秀逸 カラーだということで味わいがある描画が可能ではあるが、液晶は残念ながら美しいという感じではない

アプリケーションボタンも少しへこみがあって間違って押す可能性を小さくしている。ガシガシ使いたいマシンだ PEG-NR70V、PEG-T600CとPalm m130。厚みはm130が一番あるが、丸みを帯びたデザインのため、あまり大きくは感じない

・ Palm m500 Series Mini Keyboard製品情報
  https://store.palm.com/Catalog/productdetails.asp?productnr=P10876U&parent=2072&type=1
・ Palm OS 5を出荷開始のニュースリリース
  http://www.palm-japan.com/about/pr/20020611.html


(山田道夫)
2002/06/14 11:41

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