ケータイ Watch
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「W42S」開発者インタビュー
“ウォークマンケータイ”誕生の背景

前列左から植田氏、Lin氏、岡本氏

前列左から植田氏、Lin氏、岡本氏
後列左から入交氏、米田氏、村松氏、松野氏
 音楽プレーヤーの代名詞とも言える「ウォークマン」の名を冠した携帯電話、auの「W42S」が登場した。これまでも音楽にフォーカスした携帯電話は数多くリリースされてきたが、「W42S」はそれらの端末と一線を画すべく開発されたという。

 商品企画担当の岡本氏、ビジュアルコミュニケーションデザイン担当のLin氏、ハードウェアシステム担当の松野氏、ハードデザイン担当の植田氏、ユーザーインターフェイス担当の村松氏、GUIデザイン担当の入交氏、米田氏に話を聞いた。


「ウォークマン」と名乗る理由

国内で初めて「ウォークマン」と冠するW42S

国内で初めて「ウォークマン」と冠するW42S

植田氏(左)と岡本氏(右)

植田氏(左)と岡本氏(右)
――2006年の夏モデルとして、“ウォークマンケータイ”を開発した理由は?

岡本氏(商品企画担当)
 まずKDDIさんが音楽サービスに注力されている中で、端末として単に音楽サービスに対応するだけでは特徴が打ち出せません。これまでのケータイの音楽再生機能には、再生時間や記憶容量に不足があると見ていましたので、音楽プレーヤーとして基本的なスペックをキャッチアップするのが先決だろう、ということで、ハードに注力して連続再生30時間、内蔵メモリ1GBという音楽端末に仕上げました。

 「やるからには徹底的に訴求する」ということで、スライド型デザインを採用し、閉じた時はオーディオ、開くと携帯という形にした上で、デザインやユーザーインターフェイスなど全ての面で音楽に注力した端末にしたのです。

――ソニー・エリクソンの携帯電話としては、2005年春にリリースされた「W31S」もスライド型で音楽再生が特徴とされていましたが。

岡本氏
 ウォークマンケータイと名乗る以上は、音楽専用機器としてのウォークマンと比べて、基本スペックが劣るわけにはいきません。W42Sは、ユーザーインターフェイスも含め、ウォークマンという名に遜色ないレベルと考えています。

松野氏(ハードシステム担当)
 開発期間はどう捉えるか難しいですが、約1年はかかっています。やはり「ウォークマン」という名前でマーケットに出る場合、そこでイメージされるもの全てを裏切りたくない、と開発時には考えていましたので、一般的なシリコンオーディオに匹敵する製品にすべく、デバイス開発を行なってきました。多少、苦労した点もありますね。

Lin氏(ビジュアルコミュニケーションデザイン担当)
 デザインに関して言うと、実際に費やした期間は1年ほどですが、心の中ではその半年ほど前からアイデアを練っていました。

――「ウォークマンケータイ」と名付けたのはソニー・エリクソンの考えでしょうか? 海外で先にウォークマンケータイが登場していますが、その影響は?

入交氏(GUIデザインディレクション担当)
 海外でリリースされていたウォークマンケータイは大きな成功を収めました。昨年はブランド導入の大きな節目で、各国でさまざまな活動が行なわれました。

岡本氏
 もともと音楽ケータイという考えがあり、並行してブランドの話がありました。もちろん海外の動向が日本市場に対して影響を与えた面もありますが、最終的には日本のソニー・エリクソンが独立してマネジメントを行なっています。


2005年に登場した海外向けGSM端末「W800」は“Walkman Phone”と呼ばれた 海外でのWalkman Phoneは550万台以上の販売を誇る
2005年に登場した海外向けGSM端末「W800」は“Walkman Phone”と呼ばれた 海外でのWalkman Phoneは550万台以上の販売を誇る

音楽プレーヤーとしてのギミック、ユーザーインターフェイス

スライドボディを採用

スライドボディを採用

W42Sには、音楽専用の「ミュージックシャトル」が備わっている

W42Sには、音楽専用の「ミュージックシャトル」が備わっている
――W42Sでスライド型ボディを採用した理由は?

植田氏(ハードデザイン担当)
 1つはW31Sからの流れ、ということになるでしょうか。スライドさせたときの変身・変形という意味で音楽と携帯のシーンを切り替えられます。

岡本氏
 携帯電話としては、折りたたみなど他の形状もありますが、W42Sでは音楽専用の操作部である「ミュージックシャトル」を備えています。画面を露出したまま音楽関連の操作ができる、という点はスライド型ならではのメリットと言えるでしょう。

――携帯電話では小型化を追求する流れがあります。ミュージックシャトルのデザインは特徴的ですが、ボディサイズを大きくしているようにも見えます。

植田氏
 これまでも音楽再生機能を備える携帯電話が登場してきましたが、それらのほとんどで、音楽再生はアプリケーションの1つでしかありません。しかしW42Sでは、「音楽のためのケータイ」ということをわかりやすく伝えるためにデザインを進めました。

 また、音楽プレーヤーを鞄の中に入れて、携帯電話でメールするという使い方があると思います。W42Sでミュージックシャトルを採用したのは、その使い方を1つの機器で行なえるようにするためですね。メールを作っている最中に音量を変更したい時、これまではメール画面を一旦終えて音楽再生画面に行く形でしたが、専用キーがあれば画面を切り替えることなく操作できるのです。

入交氏
 ウォークマンケータイならば、象徴的な部分があるべきではないかと。アイコンとしてのデバイスを備えるのは、デザインにおいて大きな要素の1つと言えます。

岡本氏
 コンパクトサイズを追求しすぎて、ユーザビリティが低下しては意味がありません。携帯電話と音楽プレーヤーが最も違うのは、携帯電話は「ながら」が多いということです。W42Sでは、Webブラウジングやメール中でもミュージックシャトルで音量調節などが可能です。これが音楽専用キーの意義と言えます。


ボディカラーにあわせたパッケージデザイン

ボディカラーにあわせたパッケージデザイン
――ミュージックシャトルは、音楽ケータイとしての象徴ということですね。

植田氏
 ミュージックシャトルと方向決定キー、そしてディスプレイ表示は1本のラインが通るイメージで作り上げています。たとえば、ミュージックシャトルの再生ボタンを長押しすると、音楽プレーヤー機能である「シャトルプレーヤー」が起動します。この際、再生ボタン周辺と方向決定キーが光り、ディスプレイが表示されます。瞬間的な流れですが、1つの流れになっているのです。

Lin氏
 ボディカラーも音楽を表わす二面性のあるカラーコンセプトをイメージしました。ヒートブラックは静のジャズやクラシックと動のクラブ、ロックなイメージにです。プリズムホワイトは、白の純粋さだけではなく、繊細なプリズム粒子を入れることでセクシーさも表現しています。バラードとダンス系を結合したイメージです。スパークピンクは男性にもアピールできるカラーです。キュートだけどシック、レトロでポップなイメージと、従来のピンクとは少し異なる印象を与えてくれるでしょう。各カラーに合わせたパッケージデザインも起こしました。

村松氏(ユーザーインターフェイス担当)
 着信ランプや待受画像、シャトルプレイヤーのスキン、メインメニューの配色はボディカラーに合わせています。カラーごとにデフォルトの設定が異なるのです。

――W42Sのターゲット層は? iPodなどの音楽プレーヤーと競合するのでしょうか?

Lin氏
 音楽が本当に大好きな方がターゲット層です。着うたフルのように、その場でダウンロードしてすぐ楽しめるというのもポイントでしょう。

村松氏
 iPodとは別ジャンルですね。携帯電話ならではのソリューションを外さず、音楽専用機とは違う土俵では考えています。音楽再生の基本性能で競う部分はありますが、それが携帯電話に搭載されるということで、異なる分野の製品と言えます。

入交氏
 W42Sの音楽プレーヤーソフトは、au Music Playerがベースになっていますが他のau端末でも搭載されるため、差違化しにくい部分です。ソニー・エリクソンと音楽がお見合いしたら……という形で産み出されたのが、ミュージックシャトルとLED、ディスプレイ上のアニメーションという横向きの使い方です。

植田氏
 音楽プレーヤー(シャトルプレーヤー)としてW42Sを使う場合、横画面で使うスタイルにしました。楽曲タイトルの表示、そして画面上で動きを見せる場合、縦画面では幅が狭いので表現しきれない部分があります。横画面にするとスキンでのアニメーションなどが表現できます。


ボディカラーによって、側面のコントラストやミュージックシャトルの色が異なる 同梱のリモコンもカラーによって異なる
ボディカラーによって、側面のコントラストやミュージックシャトルの色が異なる 同梱のリモコンもカラーによって異なる

シャトルプレーヤーの役割

左から米田氏、入交氏、Lin氏

左から米田氏、入交氏、Lin氏

ミュージックシャトルの再生キーから起動できる「シャトルプレーヤー」
――耳で楽しむ音楽で、なぜ視覚的な要素を取り入れるのでしょう?

Lin氏
 ムードを高めるため、という言い方ができるでしょうか。曲調にあわせて、あるいはスキンのデザインにあわせて、たとえばロックっぽい動きなど、画面上のアニメーションがさまざまな形に変化します。LEDの光で音楽再生時のテイストも変わりますので、画面や操作体系も含め、「W42S全体で音楽を体験する」のが大きなコンセプトです。

米田氏(GUIデザイン担当)
 たとえば楽曲再生中に光の粒が中央に集まって、1本のプログレスバーを形成するものを見ると、その光の粒はミュージックシャトルや方向決定キーのLEDから発せられるような演出です。光の粒が積み重なって棒になり、その長さが楽曲の再生時間・経過時間を示します。こういったデザインは、W42S全体での音楽体験につながると想っています。

入交氏
 当社のデザインの考えとして、「ユーザーが買った後、自然に楽しんでもらえるケータイ」を目指しています。アニメーションやLEDの光り方が変化しますが、それを常に見て欲しいわけではありません。気づいた時にだけ楽しんでもらえれば良いのです。使うシーンごとに変化があって、自由に楽しんでもらえる。これは最近ソニー・エリクソンが提供するau端末で心掛けているポイントです。シャトルプレーヤーは、パソコン向け音楽再生ソフトに搭載されているビジュアライズ機能の進化版と言えるでしょう。

村松氏
 シャトルプレーヤーのスキンで表示されるアニメは、ランダムに見えるかもしれませんが、使い続けていると、何かに気づいてもらえると思います。気づいた方だけがニヤリとできる、と言うか(笑)。このあたりは単なるFlashアニメーションとは異なります。

――W32Sで採用されたドラマメニューのようですね。

村松氏
 曲の雰囲気に応じて、標準スキンでは配色が、別のスキンでは花の広がる様子などで変化が起こります。それはランダムに見えて、実は法則性を持っているところがありあす。こういった「曲の雰囲気」を採るために、標準的なFlashの仕様にはない仕組みを新たに作りました。その確立は、日付や時刻、季節に関係しています。ですので、そこはドラマメニューから続くところですね。具体的な内容は、使ってからのお楽しみですが、これらは固定のアニメーションではありません。常に変化しています。

 また、ドラマメニューそのものは搭載されていませんが、音をイメージした「ビートメニュー」を採用しました。メニュー一覧の背後で小さな球が動いているのですが、これは操作にあわせた動きになります。使いこんでいくほど、ちょっとした変化があるかもしれませんよ。

岡本氏
 これらは、新しいものを模索してきた中で出てきました。音楽だけなら専用キーを設けただけで良いかもしれませんが、充電台に置きながらビジュアルを楽しんだりするなど、従来の使い方にプラスアルファして提案する形にしています。


――どのようなシーンでの利用を想定されているのでしょう?

植田氏
 最近、街中では携帯電話で楽曲を再生して、互いに「この曲知ってる?」と聞かせあっているシーンをよく目にします。このような形で、音楽に対応した携帯電話による新しいコミュニケーションが今生まれているのではないか、と感じることもあります。

岡本氏
 携帯電話は、もともと人と人を繋げるツールです。その繋がり方が通話やメールだけではなく、別の形になったとしても「携帯電話でコミュニケーションを活性化できる」と言えるのではないでしょうか。


W42Sの設計思想

村松氏(左)と松野氏(右)

村松氏(左)と松野氏(右)
――光を積極的に活用しているとのことですが、バッテリーへの影響が気になります。

入交氏
 シャトルプレーヤーの画面表示は、25秒経つと、自動的にオフになります。ずっと見ていたい場合は、メールボタンを押すと表示しつづけることができます。

松野氏
 ハード担当としては、さまざまな可能性を仕込んでいます。それをデザイナーがどう活用してくれるか。光の演出はその結果と言えますが、電力的には厳しい面もあります。一方、音楽再生して周囲の話題になるのならば、一般的な音楽プレーヤーにはない特性でしょう。

――着うたフルの内蔵メモリが1GB搭載されました。また、メモリースティック Duoでの楽曲再生時間は、着うたフルだと約10時間、ATRAC3だと約28時間と大きな差があります。

松野氏
 着うたフルとATRAC3の再生では、消費電力が異なるのは事実ですが、10時間と28時間という差になるわけではありません。1GBの内蔵メモリが着うたフル専用であること、メモリースティック Duoでの再生時間が異なることは、同じ理由に基づきます。

 我々が携帯電話を作り上げる際、「au端末としての価値をいかに向上させるか」ということを最優先事項にしています。W42Sの開発では「内蔵メモリで30時間再生を実現すること」を最も重要な点にしました。内蔵メモリはあくまでもLISMOのために用意したものです。

岡本氏
 音楽機能の軸にしているのはLISMOですが、ポータブル音楽プレーヤーを使っているユーザーに訴求するため、ATRAC3も対応しています。パソコンの中にあるMP3などの資産をATRAC3とメモリースティック Duoで引き受けていることになります。つまり着うたフルは内蔵メモリ、これまでのデジタル音楽データはメモリースティック Duoに入れるというのが基本的な使い方となります。


――「Mobile Music Enhancer(モバイルミュージックエンハンサー)」という音楽専用チップが長時間再生を実現しているそうですが。

松野氏
 音楽再生だけであれば、専用チップのみが駆動します。通常、イコライザやバスブーストを使うと消費電力があがりますが、W42Sの専用チップでヘッドホン再生すると、イコライザなどを使っても消費電力が変わりません。

 一般的にはDSPが普及しており、音楽再生機能は「全てDSPでやろう」という話になりがちです。汎用的な製品はそれなりに冗長性を備え、その部分で音色を変えていたりするのですが、それでは長時間再生が実現できません。W42Sの専用チップは、汎用性を切り捨て、長時間再生のためだけに集中しています。

――W32S、W41SとサポートされてきたEZ FeliCa(おサイフケータイ)ですが、W42Sでは採用されなかった理由を聞かせて下さい。

岡本氏
 確かに、FeliCaがあるに越したことはないのですが、「音楽」というコンセプトに注力する中、音楽再生に必要なベーシックな性能を追い求めました。つまりコンセプト面からFeliCaを採用しなかったことになります。

 もちろんFeliCaと音楽再生を組み合わせる機能はあり得るでしょう。ただし、今回はあくまでも音楽再生に注力したほうが良いだろうと判断したのです。

――ありがとうございました。



URL
  W42S 製品情報
  http://www.sonyericsson.co.jp/product/au/w42s/

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(関口 聖)
2006/06/27 11:29

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