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気になる携帯関連技術
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AdaptiveMobile、子供に適切な携帯フィルタリング機能を
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アイルランドのダブリンに本拠を置くAdaptiveMobileは、携帯電話向けのセキュリティソリューションを提供する企業だ。セキュリティ機能というと、ウィルス対策ソフトや端末の遠隔ロック機能など、現在でもさまざまなセキュリティ機能が用意されているが、同社のソリューションは、携帯電話に従来よりも柔軟なフィルタリング機能を追加するというものだ。今回は、同社マーケティング部門のSimeon Coney氏にAdaptiveMobileの事業について聞いた。
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AdaptiveMobile VP MarketingのSimeon Coney氏
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――AdaptiveMobileについて教えて下さい。
AdaptiveMobileは、2003年に設立した携帯電話のセキュリティにフォーカスした会社です。シスコシステムズやエリクソンといった携帯電話のインフラ設備を供給する会社と提携して、携帯電話事業者にソリューションを提供しています。
子供が出会い系サイトにアクセスするという問題が日本の新聞にも掲載されていましたが、ヨーロッパやアメリカでもこうした現象が起きています。我々は、こういった出会い系サイトやギャンブルサイトなど、不適切なサイトへのアクセスを防止するためのソリューションを提供しています。
フィルタリング機能を提供することで、携帯電話事業者はコンテンツから収益が得られるほか、利用制限などの規制をかけることで企業での携帯電話の利用が促進されます。こうした差別化が1つのポイントです。
現在北米では、URLのフィルタリング機能が導入されているほか、アフリカでもURLやMMSのフィルタリング機能を提供しています。また、国によっては政府がこうした制限をかける場合もあります。例えば、中東のサウジアラビアでは宗教的・政治的に問題があるためこうした機能を検討しています。
日本では、未成年がアダルトコンテンツにアクセスしないように制限が設けられているようですが、15才以下の子供たちが初めて携帯電話を手にする機会が今後さらに増えるでしょう。我々のフィルタリング機能は、細かくプロテクションをかけられるのが特徴で、単純なプロテクションではなく、12才なら非常に制限のあるもの、15才ならファッション系サイトまで、18才ならフレンドシップ系サイトまでといったように、細かい設定が可能となっています。
――具体的にはどのようなフィルタリングが可能なのでしょう?
携帯電話会社がセグメントを設定することも可能ですが、ベストは関係のある第三者、つまり親が制限をかけることだと思います。我々のソリューションでは、自分の子供のことをもっともよくわかっている親が、アクセス制限の設定を携帯電話上やポータルサイト上から行なえるのです。
時間などにも制限が可能で、例えば学校にいる間はメールは昼休みの間だけ届くといったことも可能です。携帯電話事業者はこうしたサービスを提供することでユーザーに付加価値を提供できます。当初は事業者側がデフォルトの設定を用意して、最終的に親、企業ならスタッフや自社ユーザーへのポリシーを決めるのが適切ではないかと思います。
細かく設定できることでユーザー側に利益をもたらすだけでなく、セグメント分けされたアクセス動向を分析するので、携帯電話会社は効果的なコンテンツの提供が可能となります。バイラルマーケティングという戦略がありますが、例えば、1つの情報メールがどれだけの人に口コミで広がったかもチェックできます。モバイル広告がオペレーターの1つの収益となるでしょう。
――日本では親よりも子供の方が携帯電話に詳しい現状です。この点をどうやって解決していけるでしょうか?
もちろん、親は全く知らないよりも、こうした問題について知っていた方がいいと思います。解決方法として、例えば、申込時にプリセットのパッケージを用意するというのもあるでしょう。ギャンブルサイトに子供がアクセスした場合に、親の方にアクセスしたことが通知され、アクセスを許可・却下することも可能です。また、特定の言葉が適切ではない場合に、その言葉を文字化けさせるといったプロテクションも可能となっています。ブロックすることなく、通知だけするのも可能です。
――企業ユースはいかがですか?
無線LANやHSDPAの通信カードなど、ノートパソコンで高速データ通信を利用した際のコントロールや分析が必要でしょう。携帯電話事業者がこうした情報を手に入れれば、より正しいポリシーを追加できますし、企業内などでSkypeなどを利用させたくない場合に制限をかけるといったポリシーも追加できます。
例えば、課金制のデータサービスを利用時にWindows Updateに制限をかけるなど、企業側の通信コストを抑えるための制限も可能です。これからはそういった細かいポリシーの設定が必要だろうと考えています。
また、日本では携帯電話が財布の代わりにもなっているため、個人情報の保護も大切です。携帯電話のアドレス帳にもいろいろな個人情報が入っていますし、フィッシングのウィルスも増えてきています。こうした個人情報対策にも我々のソリューションは有効です。パソコンのウィルスは拡大するだけですが、モバイルを狙ったウィルスのトレンドはアドレス帳を取るなど、ある目的を持っています。こうしたものをネットワーク側で排除するようなチェックも行なえます。
――日本での展開について教えて下さい。
日本はおそらく携帯電話の普及率、使用率のもっとも高い国です。ITへのニーズも高く、導入されれば携帯電話事業者の新たな利益をもたらすでしょう。我々は今年の4月に出資を受けて、グローバル展開できるようになりました。IMSというキーワードを最近聞くようになりましたが、こうした新しいサービスの動画やコンテンツサービスのプロテクションに必要になるのではないかと思っています。
――本日はありがとうございました。
■ URL
AdaptiveMobile(英文)
http://www.adaptive-mobile.com/
(津田 啓夢)
2006/11/13 13:48
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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