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「911T」開発者インタビュー
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“春モデル最強”のフルスペック端末を送り出した東芝
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911T
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ソフトバンクモバイルの春モデルとして登場した東芝製「911T」は、厚さ17.9mmのスライド型ボディに3インチのワイドVGA液晶を搭載し、ワンセグやAF付3.2メガカメラ、Bluetooth、フルブラウザなど多彩な機能が詰まっている。
従来の東芝製端末からステップアップした感のある「911T」について、今回同社 モバイルコミュニケーション社 商品企画部 主務 影長宜賢氏と、モバイル国内営業第二部 営業第二担当 伊藤浩二氏に話を聞いた。
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東芝の伊藤氏(左)と影長氏(右)
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大画面を活かすスライド式ボディを採用
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――まず、端末の特徴を教えて下さい。
伊藤氏
「911T」はこの春、最強の端末だと思っています。どこのキャリアの端末と比較していただいても大丈夫なフルスペックなケータイです。
我々はこれまで、これだというハイスペック端末を出してこれなかったという思いがあり、今回非常に強い意欲を持って「911T」に取り組みました。東芝は元々シニア層に強く、今回、「コドモバイル」(812T)を提供することでキッズ層にもアピールできる端末を用意しました。これまで「810T」がシニア層、「811T」が若年層に受け入れられてきました。「コドモバイル」でもっとも若い層をとり、「813T」で女性ユーザー、「911T」でハイスペック層を獲得しようと考えました。
影長氏
「911T」の基本は、3インチ・ワイドVGAの大画面高精細の液晶をフルに楽しめる端末です。ワンセグを横画面でさっと見られて、大画面をもっとも活かすスタイルとしてスライド式としました。東芝のハイスペックの端末は、過去、機能を詰め込むがゆえにどうしても端末が大きくなってしまいました。今回、ソフトバンクさんが薄さに注力していることもあり、スペースユーティリティ的にも優れているスライド端末として、薄くて格好よく、機能を妥協しない端末を目指しました。
――メニュー画面の表示など、単純な大画面表示とは違いますね。
影長氏
ワイドVGAとなって、ただ画面の表示領域が大きくなったというわけでなく、拡大した部分に通常画面に別の情報を出してみようと試みました。これが、「ミニツール」「ミニフォト」として実現しました。メニュー画面の上部にカレンダーを表示させたり、メモを表示させるなど、2画面的な使い方が可能になっています。ミニツールを東芝の携帯サイトからダウンロードして追加することも可能です。
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メニュー画面には2画面表示のように情報が表示される
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メール表示も2画面表示が可能
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ワイドVGAを活かした地図表示
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背面部に3メガオートフォーカス付きカメラ。手ぶれ軽減機能も用意
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――カメラ機能などそのほかの機能はいかがでしょう?
影長氏
今回は3メガにこだわり、オートフォーカス機能も搭載しました。動画もVGAの30fpsで撮影が可能となっています。また、シャッター速度を上げることで、手ぶれを軽減する機能も用意しています。
さらに、音楽についてもこれまで東芝がこだわってきたポイントです。今回は、ツインのステレオスピーカーを搭載し、ワンセグもステレオで楽しめます。また、「910T」を継承し、音楽を記録する内蔵メモリも1GBと大容量です。もちろん、ジャストシステムの音楽転送ソフト「BeatJam」も同梱されています。
それからBluetoothも従来通りサポートしています。「910T」ではSBCコーデックに対応していませんでしたが、今回はAVプロファイルに完全対応しています。市販のBluetoothヘッドセットが利用可能で、オークリーのヘッドセットとのセット販売も予定しています。Bluetoothのヘッドセットを使って、ワンセグの音声を飛ばすことも可能です。
あとはGPS機能ですね。「903T」で初めてGPSを搭載しましたが、今回はワイドVGA+スライド式ということで、これまでよりも利用しやすいはずです。
――HSDPAにも対応しました。
影長氏
そうですね、通信はHSDPA方式に対応し、アンテナ系だけでも通信アンテナ、Bluetoothのアンテナ、ワンセグのアンテナ、GPSのアンテナを搭載しています。さらに、FeliCaのアンテナも入っており、それをコンパクトにまとめました。
――ソフトバンクが薄型をプッシュしていますが、技術的に薄型化と高機能化というのは相反するところだと思います。今回、厚さ17mmと薄型端末と言っていいところまで実現されましたが、モジュールを実装する際に新たな解決策があったのでしょうか?
影長氏
結局、地道に空きスペースをなくしていくことにつきます。大きなモジュールを配置し、その隙間に小さなモジュールをつめていく。もちろん、ただ配置するだけでなく、電波の効率性のほか、コンパクトになれば熱が発生しやすいので、それをどう分散するかというところも課題です。本当に何度も何度も検討していきました。
ただ、詰め込み過ぎてスクエアになってしまってもデザイン性を失います。どうカッコイイ形におさめるのか、デザインを損なわないために配置をやり直すこともありましたね。ディスプレイ側のボディは光沢感があり、数字ボタン側のボディは別の素材感としています。限られたスペースの中で、かっこいいデザインになったと思っています。
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厚さ17mm
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オークリーのヘッドセットとのセット販売も実施する
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コンパクトながらフルスペックの端末だが、ボタンの押しやすさなどにも配慮したという
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――使いやすさの面でもこだわりを感じます。
影長氏
キーの押しやすさは、購入する上で高いポイントになるところですので、できるだけスライドする部分を大きくして、コンパクトながら大きなキーを搭載しました。限られたスペースでいかに押しやすくするかをこだわりました。
――インターフェイスなどソフトウェア部分の特徴は?
影長氏
「フォトdeショー」というユニークな機能を用意しました。横置きの充電台に置いたときに待受画面を表示させておくのは味気ないので、データフォルダ内の画像をスライドショーで表示したり、卓上カレンダー風に表示させるといったことが可能です。充電しているときも楽しい機能となっています。また、フルブラウザの横画面表示にも対応しています。
――今回も「くーまん」が入っていますね。
影長氏
3Gの当初に「くーまん」の搭載を見送ったところ、ユーザーさんから非常に反響をいただきました。再度搭載するようになってからは好評を得ています。
伊藤氏
実際、「くーまん」はかなり反応があります。東芝製ケータイを購入した理由を調査すると、「くーまん」がいるからという理由も少なからずあります。コールセンターには「搭載してくれてありがとう」といった声もいただいているんですよ(笑)。なお今回、新機能であるフォトdeショーやフォトアニメ壁紙、ミニツールなどにもちゃんと「くーまん」が登場します。
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ボディカラーは4種類。左からシルバー、ブラック、ホワイト、レッド
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――東芝製端末がいっきにステップアップしたように感じたのですが、何か方針の転換があったのでしょうか?
影長氏
実は機能面では、ワンセグに大画面、あとはそれぞれの機能をバージョンアップしていったというところです。新機能として大きなところでは、おサイフケータイぐらいですね。しかし、端末の魅力度という意味では大きくステップアップしたと思っています。コンパクトな端末にこれだけの機能を詰め込むため、開発陣は不退転の覚悟で挑みました。
伊藤氏
今回、3インチのワイドVGAを活かす方法を追求しました。どうやったらこの大画面がうれしいのか、というのがポイントでした。ブラウザのようにフルに表示された方がうれしいものもあれば、メニュー画面などでは表示スペースが大きいというのではなく、ミニツールを使った2画面表示をするなど、1つ1つは細かい部分ですがが、使い勝手の良いものになっているはずです。
――ターゲットは?
影長氏
やはりハイスペックな端末ですので、格好よさを非常に意識しました。曖昧にしないためにも我々としてはかなり男性にふった端末だと思ったのですが、白やシルバーは女性にも好評でした。カッコイイものを持ちたいという方に受け入れられるものだと思っています。
伊藤氏
スライド式の端末自体が女性に受け入れられやすいようですね。
――現在のケータイは、ワンセグに注目が集まっています。「911T」の場合、“全部入り”というのがポイントになるのでしょうか。
影長氏
そうですね。大きな液晶、ワンセグを含めて全部の機能が搭載されており、それが厚さ17mmに収まっていると。ユーザーさんが迷いなく購入できる端末になっていると思います。
伊藤氏
「911T」をアピールする立場としては、今回の端末は「ソフトバンクの中で選ぶならコレ!!」というのでは悔しいですね。ここまでやりきったので、他のキャリアのユーザーさんもMNPで是非この端末を使って欲しいですね。
――本日はありがとうございました。
■ URL
製品情報(東芝)
http://www.toshiba.co.jp/product/etsg/cmt/softbank/911t/911t_menu.htm
製品情報(ソフトバンクモバイル)
http://mb.softbank.jp/mb/product/3G/911t/
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(湯野 康隆, 津田 啓夢)
2007/03/16 11:51
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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