ケータイ Watch
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「W53CA」開発者インタビュー
EXILIMのDNAを受け継ぐ高画質・スリムなカメラケータイ

W53CA
 カシオの今夏2機種目となるWIN端末の「W53CA」は、同社のデジタルカメラブランド名を冠する、「EXILIMケータイ」だ。その名のとおり、5メガピクセルのカメラを搭載し、カメラ機能を重視しているという。

 カメラのスペックは画素数で比較されがちだが、実際には画素数が高ければ良いという問題ではない。画質には、レンズや画像処理といったさまざまな要素が影響する。手ぶれ補正などの補助機能も充実していないと、スペック通りの画質で撮れない。

 EXILIMの名前を冠するケータイでどこまでカメラが作り込まれているのか。今回はカシオの開発本部 デザインセンター 第四デザイン室の井戸 透記氏、同室の花房 紀人氏、カシオ日立モバイルコミュニケーションズの開発設計本部 ハード設計グループの山本 真也氏、同社 事業統括グループ 企画チームの本間 敦氏に聞いた。


「EXILIM」の名に恥じぬようなデザイン

カシオの井戸氏(右)と花房氏(左)
――まず、W53CAの商品コンセプトをお聞かせください。

本間氏
 A3012CA以来、auのカメラ付きケータイをリードしてきたカシオ計算機として、満を持してEXILIMの名を冠したケータイを開発しました。デジタルカメラのEXILIMのDNAを引き継ぎ、「スタイリッシュで、誰でも簡単にキレイな写真が撮れる」を開発コンセプトとしています。

――どういったユーザー層を狙っているのでしょうか?

本間氏
 高画素カメラに魅力を感じ、カメラを日常で使う、ということで、若い女性をメインターゲットとしています。

――ハイスペックというと、男性向けのイメージもありますが、女性を意識されているのですね。

井戸氏
 デジタルカメラの方は30代〜40代の男性も多いのですが、実はケータイの高画素カメラに対するニーズは、女性の方が高いのです。こうしたニーズを踏まえ、女性をメインターゲットとして意識しています。もちろん男性もターゲットに入っています。

――そうなると、カシオの夏モデルは、「お風呂で使えるワンセグ」のW52CAと、このW53CAと、両方とも女性をイメージしている感じですね。

井戸氏
 今までのカシオ製ケータイのユーザーは、若い男性が多めでした。W41CAとW51CAで女性も増えましたが、「カシオ=マニアック」というイメージを持たれている面もありました。G'zOneもそうですね。これまでカシオが力を入れ続けてきた「カメラ」も「防水」も、もっと広く一般に受ける機能だと思っていますので、そういった機能を広い層に使ってもらうためにも、今回の2機種は女性を意識しています。


キーはフレームレスタイプだが、立体形状ではない イヤホンマイク端子はスライド式で、音楽ケータイとしても使いやすくなっている

レンズ回りに大きな金属パーツがあり、「カメラ」を強調している
――デザインを見ると、これまでのカシオ製ケータイとはちょっとテイストが異なる印象を受けます。レンズ回りにメタルパーツを使ってカメラを強調するなど、デジタルカメラのイメージでしょうか。

井戸氏
 EXILIMケータイと決まったときに、デザインもEXILIMを意識しました。花房と私は以前にデジタルカメラも担当していまして、EXILIMのデザインも手がけました。そんな経緯で、私たちには「EXILIMとは」というこだわりがあります。EXILIMは初期の単焦点・小型モデルから「いつでも持ち歩けて、いつでも撮れる」というコンセプトがあります。そのコンセプトをケータイでも実現したい、ということで、どうデザインするかを決めました。

――ケータイの「顔」にあたるのは、カメラがある側になるのでしょうか?

井戸氏
 プロモーションでは5メガピクセルカメラを打ち出すので、カメラ側が顔でしょうか。しかしケータイなので、ケータイらしいディスプレイ背面も重視しています。あとディスプレイを出してたたんだ状態もあり、3ウェイと考えています。

花房氏
 パッと見てカメラ、機能的に見てもカメラ、使い勝手もカメラ、それですべてを作り込んでいます。5メガピクセルのカメラを搭載している割にはスリムで、出っ張りもありません。通常だと電池側は、電池カバーやネジ穴隠しなどで「裏側感」が出ますが、W53CAの場合、ネジ穴隠しが1個もなくて、電池カバーとの境目も1本だけになっています。ケータイでは通常、電池側には入れないロゴも、この面にあしらっています。ディスプレイ回りのロゴも、EXILIMにあわせて入れています。


サイドキーは用途ごとに使いやすくなるよう、角度がつけてある。右がW53CAで左はEXLIM
 デザイン面では、そうしたカメラとしての見た目だけでなく、使い勝手にも気を遣っています。たとえばサイドキーですが、シャッターキーなどは、カメラとして構えたときに押しやすいように角度をつけています。一方で、マナーキーはケータイとして持ったときに、押しやすい位置にしています。

 カメラの画面インターフェイスなどもEXILIMにあわせてあります。使いやすさもEXILIMの名に恥じないよう、ということで、ガイド機能などでわかりやすさも追求しています。


W53CAの撮影画面。EXLIMのものをベースにデザインされているが、フルオート撮影がメインなので、マニュアル撮影機能がない EXLIMの撮影画面。W53CAの方が広角レンズなので、画角に差があるのも面白い

EXLIM(左)とW53CA(右)
――実際にEXILIMと並べてみると、W53CAもEXILIMみたいに見えますね。

花房氏
 実はパッケージもEXILIMを意識しています。EXILIMのパッケージデザイン担当にデザインしてもらいました。ちなみに、購入時の袋もEXILIMデザインです。

 本体もパッケージもここまでカメラらしい見た目だと、撮る側も撮られる側もカメラだと思ってくれます。普通のケータイとは違います。これならば、結婚式などフォーマルな場で主役に向けても失礼には見えないでしょう。


EXLIM(左)とW53CA(右)のパッケージ

広角レンズが特徴の5メガピクセルカメラ

カシオ日立モバイルコミュニケーションズの本間氏(左)と山本氏(右)
――なぜ今回、5メガピクセルのカメラを採用したのでしょうか。

本間氏
 カシオのケータイは、W31CAを最後に、カメラを中心とするのではなく、トレンド機能を搭載しながらスタイリッシュにまとめる、というように商品企画をしてきました。しかしユーザーニーズを調べると、高画素カメラのニーズがあります。それも、男性よりも女性にあります。そういったニーズに応えるべく、企画・提案をしました。さらにカシオブランドとしての強みを生かすべく、EXILIMとのコラボレーションという形で商品にしました。

――5メガピクセルともなると、ノイズの問題が大変だったと思うのですが。

山本氏
 ノイズとの闘いは厳しかったです。当初から厳しいと予想していたので、画像処理エンジンを作る際に、最初からノイズリダクションを重視してデザインしていました。センサの方も、高画素化しつつも感度は従来と同じレベルを実現しました。それでも開発中は想定外のノイズが発生したりして、ノイズとの闘いが続きましたね。

――他社ではケータイに光学ズームを搭載しているところもありますが、W53CAでは光学ズームはなく、レンズを広角にしているのが面白いですね。

本間氏
 そうですね。広角レンズは今回こだわったポイントです。やはりデジタルカメラに比べると、ケータイはいつも持ち歩くので、スナップショットを撮る頻度が多くなります。何気ない日常風景とか、人の写真とか。カラオケなど狭い場所での撮影や自分撮りで伸ばした手の距離を60cmとした場合に、3〜4人が入る画角を想定して、28mm相当(35mmフィルム換算)の広角レンズを搭載しました。


――小さなレンズで広角だと、画面周縁部のゆがみなどが問題になると思うのですが。

山本氏
 レンズを広角にすると、一般的に周縁部がゆがんだり暗くなったりしますが、それらは今回、レンズ設計の努力とデジタル処理の補正の両面で対応しておりますので、ゆがみの少ない素直な画像が撮影できるようになっています。

――手ぶれ補正機能も搭載されていますね。

山本氏
 デジタルカメラの世界では、光学式の手ぶれ補正もありますが、それだとメカニカルな機構を追加する必要があり、厚さなどに響くので、光学式の搭載は見送っています。ケータイでできることということで、デジタル処理式の6軸手ぶれ補正を採用しています。

 もう一つのアプローチとして、高感度モードも搭載しています。こちらは感度を上げて、暗い場所でもシャッター速度を速くすることで、ぶれを減らそう、というものです。具体的には、センサーの出力する4画素を足しあわせるというもので、画素数は4分の1の1280×960ドットになりますが、4倍明るくなります。


カメラモジュール。オートフォーカスのアクチュエータ変更やチップの改良により、モジュールや配線は省スペース化されている
――ほかにカメラ的な機能はあるのでしょうか。

本間氏
 デジタルカメラのEXILIMとの共通の機能としては、オートフォーカスも9点マルチフォーカスを採用しています。オートブラケット機能も搭載しています。

山本氏
 「5メガピクセルの解像感をいつでも出せる」ということをコンセプトに、画質調整をしました。明るい場所でもくっきり撮れますし、暗い場所でも感度を上げない夜景モードでくっきる撮れます。

 もう一つ、ケータイのカメラは人を撮ることが多いだろう、ということで、人物の肌色については時間をかけて調整しました。

本間氏
 記憶色再現機能もあります。空の青さや植物の緑の深さ、人の肌色などを、記憶している色に近くなるように補正します。コンセプトは「誰でも簡単に」なので、マニュアル機能よりも、「簡単にとって失敗しない機能」を重視しています。

 また、5メガピクセルの画像をキレイに表示できるように、ということで、カシオとしては初めてワイドVGAディスプレイを搭載しています。結果的に本家EXILIMを上回ってしまいましたが、携帯電話なので、ウェブやメール、地図、辞書とデジタルカメラにないアプリを引き立てるために必然とワイドVGAを搭載するに至りました。


W53CA。表面の仕上げはカラーバリエーションごとに異なる
――今夏のカシオは、防水ワンセグのW52CAとEXILIMのW53CAの2機種があるわけですが、どうせならば全部一緒にしてくれると良かったなぁ、と思うのですが。

本間氏
 W53CAはEXILIMケータイとしてスタートしているので、企画がブレないようにしています。高画素カメラと18.9mmの薄さの両立を重要視しました。

井戸氏
 ワンセグはアンテナなどの部品でデザインに影響が出ます。カメラを重視するとメモリカードスロットを外側に出さないといけないので、防水が難しくなります。W53CAには、カメラ画質がキレイで液晶もキレイでデザインもキレイ、というコンセプトがあります。そのコンセプトを考えると、今回はワンセグと防水は残念ながら載せられませんでした。

――ここまでカメラとしての完成度を高めると、EXILIMとユーザーの取り合いになってしまうのではないでしょうか。

本間氏
 デジタルカメラは30代男性を中心とした、年齢層と男性比率が高めの市場です。一方のケータイは10代〜20代が圧倒的に多い。ここのユーザー層の違いで棲み分けができています。スペック的に見ても、W53CAで5メガピクセルを実現しても、EXILIMはさらに高画素・高倍率の方向に行っているので、やはりかぶることはありません。EXILIMをご存知の方は安心して選んでもらえるだろうし、EXILIMを知らないお客様へも知名度向上という相乗効果があるかもしれないと考えています。EXILIMケータイを使って、もっと本格的なカメラを使いたくなったらEXILIMをご購入いただければ、と。

 また、EXILIMケータイを開発するに当たっては、機能、性能、デザイン、パッケージ等通常モデルとは違った要素を含んでおり、あらゆる関係者に大変なご理解とご協力をいただきましたので、それぞれの市場が共に活性化することを期待しています。

――なるほど。本日はお忙しいところ、ありがとうございました。



URL
  製品情報(KDDI)
  http://www.au.kddi.com/seihin/kinobetsu/seihin/w53ca/
  製品情報(カシオ計算機)
  http://k-tai.casio.jp/products/w53ca/

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(白根 雅彦)
2007/08/02 13:18

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