ケータイ Watch
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[2009/06/23]



「P-09A」開発者インタビュー
基本機能が充実、ハイエンド志向の薄型ケータイ
[2009/06/19]



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新規デバイス搭載で個性的なラインナップを実現
[2009/06/18]



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[2009/06/17]



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[2009/06/12]



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[2009/06/03]



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[2009/05/22]



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「923SH」「824SH」「825SH」開発者インタビュー
ソフトバンク向けシャープ端末の多彩な魅力

 7月、ソフトバンクの夏モデルとなる、シャープ製「923SH」「824SH」「825SH」が発売された。フルスペックのAQUOSケータイ、薄型防水のPREMIUMケータイ、スライド式のPANTONEケータイと、夏のシャープ製端末は多彩なラインナップが店頭に並んでいる。今回、ソフトバンク向け端末を担当するシャープ 通信システム事業本部 商品企画部の吉高氏、馬場氏、黒田氏の3人にシャープ製夏モデルの魅力について話を聞いた。


923SH
824SH
825SH

――923SH、824SH、825SHの3モデルがほぼ同時発売となりましたが、現場はてんやわんやでは?

吉高氏
 そうですね。違うタイプの商品を3機種同時に商品化するのは本当に大変でした。ただ今回のソフトバンク様向けの夏モデル3製品は、スーパーハイエンドなAQUOSケータイから、スタンダードクラム、フルスライダーまでとバランスのよいラインナップにできたと思います。

 AQUOSケータイ「923SH」は、これまで対応できていなかったGPSを搭載したほか、他社さんに先行されていたカメラ機能もキャッチアップし、“全部入りケータイ”を目指して開発しました。「824SH」は、PREMIUMケータイの質感を保ったまま、防水機能を実現できました。結果的にワンセグを搭載した防水ケータイで世界最薄となる厚さ15.3mmを実現できましたが、開発の狙いはあくまで質感の高い防水ケータイの商品化にありました。フルスライダーの「825SH」ですが、913SHから921SHに向けては、端末をハイエンドな方向へ振りました。しかし、10代から20代前半のユーザーが使いたくなるケータイをということで、サイズ感を重視しました。ソフトバンクさんから「PANTONE」の冠もつけていただき、若者向けという企画にはピッタリの製品に仕上がりました。


923SH

シャープ 通信システム事業本部 商品企画部 黒田真未氏(写真手前)
――では最初に「923SH」からご紹介いただけますでしょうか。

黒田氏
 920SHの後継機種となる「923SH」ですが、AQUOSケータイとしての商品コンセプトから液晶とワンセグ機能で最高峰のものを目指す、という部分は外せません。しかし923SHではさらに5.2メガのカメラや、GPS機能、光TOUCH CRUISERなどを搭載し、“全部入りケータイ”を目指しました。

 ポイントとなる液晶とワンセグ機能から説明しますと、前モデルと比較して、液晶サイズは3.2インチから3.3インチに、さらに色の再現性も表示色数が約26万色だったものが、約1677万色へと大幅にアップしています。920SHでも採用していた外光の乱反射を低減し、液晶本来の美しさを表現する「リフレクトバリアパネル」により、屋外でもくっきりと色鮮やかな映像が見られるだけでなく、今回は新たに、動きの激しいスポーツ映像の視聴時に、残像感を減らせる「スポーツモード」を搭載しました。そのほかには、番組録画中でも頭から再生可能な「追っかけ再生」やYahoo!ケータイの検索機能を利用した、「番組情報検索」機能などを備えています。

――番組情報検索ですが、これは番組名での検索を行うということですか?

黒田氏
 はい、ワンセグの番組名情報を検索ワードに入れています。

 2つ目のポイントとしてカメラ機能を紹介します。先ほどお伝えしたとおり5.2メガピクセルのカメラを搭載しました。高精細というだけではなくて、29mmの広角撮影に対応し、最大5人の顔にピントを合わせて補正してくれる「顔検出機能」や、「手ブレ補正機能」なども搭載しています。

――最大5人ということは、5人それぞれの顔に合わせて個別にピントを合わせるのでしょうか?

黒田氏
 いいえ、最初に5人のピントを測定した上で、最終的にはその中で一番中央にいる人物一人を選び出し、それにあわせて周囲の補正をかける形になっています。

 もう一つ面白い機能としてぜひ見ていただきたいのが、撮影後の部分ズーム機能なんです。従来はきちんと写真が撮れたかどうかをチェックするためには、一旦保存してデータフォルダから呼び出す必要がありました。ところがこの機能を使えば、撮影データを保存する前に部分拡大ができます。例えば、大人数で集合写真を撮るときに、誰か目をつむっていないかといったチェックもその場ですぐできるわけです。

吉高氏
 実は、この機能は黒田が考案した機能なんです。デジカメでも普通は保存後のプレビューしかできませんから、ユニークで実用性もある機能だと思います。


黒田氏
 ユーザビリティを向上させる新機能、「光TOUCH CRUISER」について説明させてください。これは決定ボタンと光学式センサーが一体化した部分を親指でなぞると、パソコンのマウスと同じようにスムーズな操作が可能になります。少ない指の動きでスクロールから決定まででき、従来の携帯電話の操作感はそのままに、さらに片手での操作性を向上しています。フルブラウザをスクロールしたい時、種類が豊富な絵文字からすばやく欲しいものを選ぶ時など、光TOUCH CRUISERが活躍してくれるはずです。

――光TOUCH CRUISERに対応しているアプリケーションの状況を教えてください。

黒田氏
 全てではありませんが、通常利用するアプリにはほぼ対応しています。また、「PCサイトを見る時にはこの機能を使いたいけれど、他の機能を使うときは効かないで欲しい」といったニーズに応えるべく、センサーの感度を段階別に設定できるようにしました。大きくなぞったときだけ光TOUCH CRUISERが反応するように設定したり、軽く指で触れれば、すぐに操作できるように設定したりすることが可能です。

 「モーションコントロールセンサー」についても使えるシーンをもっと増やしました。今回は単にアプリ起動だけではなくて、暗証番号を入力して左右に軽く振るだけでシークレット設定を一時解除したり、PCサイトブラウザとワンセグなど2画面表示中の操作する機能を切り替えたりすることが可能です。その他にも、音楽の選曲、ワンセグの選局、画像データの選択も左右に振るだけですし、前後に動かすと画像やPCブラウザのズームアップ/ダウンができるなど、直感的で楽しい操作ができるようになりました。

――シークレットの解除は深い階層までもぐらないとできなかったので、一時的に解除したい時には便利そうですね。

黒田氏
 待ち受け状態に戻ると自動的にまたシークレットデータは非表示になりますので、ちょっと確認したい時には使いやすいと思います。



――GPS機能について伺えますか。

黒田氏
 今回GPSを搭載するに当たり、従来からあるNAVIアプリなどのサービスだけではなく、ユーザーにとって本当に便利な機能は何かと考えました。その結果、ソフトバンク様に連携サービスをお願いして、ブラウザで高精細な地図表示と方位計ピクトの表示に対応することができ、現在地と自分が向いている方角が、押せばすぐに分かる専用の「地図ボタン」を本体に配置することになりました。

――地図ボタンを押すとすぐにGPSが起動するんですか?

黒田氏
 購入後に初めて起動した際に、Yahoo!地図の簡易版とGPSを使ってYahoo!地図を表示する、あるいはNAVIアプリのどれを使うか選択肢が出ます。ここで設定すれば、次回以降はボタン一つで使いたいものがすぐ起動できるようになります。

吉高氏
 一番のポイントは現在地をすぐ表示できることもそうですが、自分が向いている方向を示してくれる、という点です。不慣れな場所では、いくら地図があっても、例えば地下鉄の出口から地上に出た時、一体どちらに向かえばいいのか分からないんですよね。それを簡単に解決してくれるのが地図ボタンというわけです。

――デザインについて、コンセプトなど教えて下さい。

黒田氏
 中身の機能だけではなく、デザインももちろんこだわりがあります。白とピンクを見ていただくと特に分かりやすいのですが、ボディは光沢に加えて透明感を感じるパネルと金属調のフレームデザインを採用し、AQUOSケータイに相応しい高品位なデザインに仕上げました。本体サイズも液晶部分は約50mm近くありますが、逆にキーに近い下部は約49mmをキープして、女性でも持ちやすいよう配慮しています。

 そのほかにも、液晶サイズが大きくなった分、プライバシーを気にするユーザーのために、「新ベールビュー」という覗き見防止機能があります。初期設定で7種類のパターンを用意していまして、設定によってはアニメーションのように動いたりもします。また、カスタモからのダウンロード対応も予定しています。

――お話を聞く限り、本当に全方位対応のハイエンド携帯という感じですね。

黒田氏
 AQUOSケータイですから、もちろんワンセグを利用したいというお客様に認めていただきたいのですが、ハイスペックにこだわるお客様にも満足していただけると思います。


824SH

シャープ 通信システム事業本部 商品企画部 主事 馬場木綿子氏(写真手前)
――それでは続いて、「824SH」についてうかがいます。

馬場氏
 「824SH」は「The Premium Waterproof」という名前の通り、シャープ初の防水対応携帯となります。前モデルのThe Premiumシリーズ(820SH、821SH、823SH)に防水機能をプラスしたイメージです。ワンセグ防水対応携帯としては世界最薄の15.3mmなんですが、実は最初から最薄を狙ったわけではなく、使いやすくて充実した機能のThe Premiumシリーズに安心して使える防水機能を持たせるのが、当初の目的でした。

 防水のための設計は、周囲にパッキンを入れるため、溝とパッキン分の厚みと幅が出てしまいますが、The Premiumのイメージやデザインを壊さないように、薄さという点ではかなりの努力をし、結果的に世界最薄を達成することができました。

 820SH、821SHと比べてスペック面では3.2Mのカメラを搭載、2.6インチの液晶は2.8インチにスペックアップし、世界対応ケータイやPCメールなどにも対応しているので、長期間お使いいただいても不満を感じさせない充実した機能にできたのではないかと思います。

――「The Premium」はデザイン性も問われるシリーズだと思いますが、防水となったことで工夫された点などありますか。

馬場氏
 今回は金属ボディを採用しているため、やはり腐食や錆に対する評価試験は高いハードルを設けました。「Elegant Line」と「Active Line」という二つのバリエーション、全11色を用意しております。「Elegant Line」は、820SHや821SHの流れを汲んだシックなデザインとなっています。金属パネルの表面に微細なヘアライン加工を施し、深みのある質感を際立たせたデザインです。一方で「Active Line」は、金属パネルとビビッドなカラーのフレームのコントラストを際立たせた爽やかで個性的なデザインになっています。特に防水機能は女性ユーザーからの要望が多いものですから、やさしい色合いも揃えています。

――首からさげたり、シャツの胸ポケットに携帯を入れている男性よりも、バッグにしまっている女性のほうが、携帯の水没事故が多い理由って何なんでしょうか? 個人的にとても不思議なんですが……

馬場氏
 一つには、やはり台所など水周りに立つことが多いからでしょうね。あとは女性の場合、お風呂に入りながらメールを打ったり、お化粧直しの際にハンドバッグから落としてしまうケースなどがあるようです。

――なるほど、確かにそうかもしれませんね。



馬場氏
 「824SH」でもう1つ注目していただきたいのが、ヒンジ部とキーが光る「マルチイルミネーション」で、かなり力を入れています。

 ヒンジ部は携帯を閉じても開いていても見える部分ですから、着信時と操作時のどちらでも、イルミネーションが楽しめます。キーなんですが、こちらは1つ1つのキーに対して、計20個のLEDを内蔵しておりまして、様々なパターンで美しく点灯します。従来の製品ではパネル部分にイルミネーションが配置されていたので、ユーザー自身は操作中には見えませんが、824SHの場合、人に見せるよりも自分で見て楽しむためのイルミネーションなんです。癒し効果を出すために、BGMとイルミネーションを合わせたリラクゼーションタイムや、データフォルダの画像とBGM、イルミネーションを連動させたスライドショーといった演出も用意しました。

――イルミネーションを搭載して欲しいという要望は強いのでしょうか?

馬場氏
 そうですね、ユーザーさんからの要望で防水とイルミネーションは特に多いです。主に女性からと思われがちですが、実は男女問わずイルミネーションは欲しい機能の一つのようです。

――もともとキー照明のLEDは入っているわけですから、それを制御するコントローラーを追加したことで、パターンを作ってるわけですよね?

馬場氏
 はい、ヒンジ部とキー部両方のLEDを制御するコントローラーを追加しました。また、1つ1つのキーにLEDを入れたことで、全てのキーが均一に明るくなりますから、暗いところでの視認性もあがって、美しさと実用性を兼ね備えています。実用性という点では、以前から爪が長くても押し易いと好評だった「アークリッジスリムキー」の進化版を採用しています。既存のアークリッジキーは隣同士のキーがくっついていましたけれど、今回はキー間隔をあけまして、キーの押し間違いにも配慮しています。シートキーとは思えないほどの確かなクリック感や指のフィット感がありますので、これは実際に触ってぜひ試していただきたいです。

――確かにシートキーらしくない(?)押しやすさがありますね。ところで、防水を重視するために、逆にはぶいてしまった機能などはありますか?

馬場氏
 いえ、前モデルからはぶいた機能というのは特に何もありません。今回は初の防水ワンセグケータイとして取り組みましたが、The Premiumシリーズということで、薄型かつ使いやすく、さらに高機能とかなりバランスのとれた製品になったと思います。

――防水携帯にチャレンジすると、たいていは想定していなかった問題などで苦労されるようですが。

馬場氏
 防水対応の設計によってどうしても厚みや幅が増してしまい、それを補うためにスペックダウンして薄さを優先させたくなりますが、「824SH」に限ってはスペックダウンはありません。あえて言うならば、防水のためにシートキーである、というところでしょうか。


825SH

シャープ 通信システム事業本部 商品企画部 部長 吉高康浩氏
――では最後に3機種目の、「825SH」についてお願いいたします。

吉高氏
 本当は「825SH」のメインターゲットに合わせた、もっと若い開発担当者がいるのですが、今日は私からのご説明で我慢してください(笑)。

 フルスライダータイプの携帯は、913SHと921SHに続く3機種目となります。921SHではハイエンドを目指しましたが、今回はもっと若者をターゲットにした商品を作りたい、というのがメインコンセプトでした。若い世代にスライドタイプを好むユーザー層がいて、もっとコンパクトなスライダーを使いたいというユーザーは多いと見ています。816SHを発売した時には手ごろな値段という理由も大きかったでしょうが、やはりあのサイズ感が人気で、学生を中心とする若いユーザーが非常に多かったです。816SHはフルスライダーではなかったですし、ワンセグもありませんでしたが、今回は816SHのサイズ感でフルスライダーの実現を目指しました。

 従来機種にあった前面のセンサーキーをなくし、コンパクトさを可能にする一方で、モーションコントロールセンサーに対応し、新しい使い方を提供しています。921SHでもご存知の通り、端末を振って操作するクイックショートカット機能を搭載していましたが、初めてということもあり、対応しているアプリや操作は多いけれど、複雑すぎてユーザーが覚えきれず、結局実用性が薄くなってしまいました。

 その反省から、よく使う機能をいかに簡単にすばやく呼び出せるかがポイントだと、分かってきまして、縦で振ればテレビが起動、横で振ればカメラが起動と、機能をシンプルに絞り込みました。もちろんこれは、ユーザーさん側で設定変更が可能です。また、振る回数も右に1回左に2回などややこしいことはやめて、適当に数回振ればOKという形にしています。2回、3回という回数を説明すること自体が、面倒なイメージになりますから、2回振って起動しなかったら3回振ればいい、ぐらいの気持ちで(笑)。

 このほか、動作中の機能を終了する時ですが、いちいちスライドさせてメニューから終了させるのは面倒な上にスマートではありませんよね。そこで本体の背面を指でトントン、と軽く叩くだけで終了できる「タップ機能」を搭載しました。


――アプリの起動以外で、モーションコントロールが対応している機能はありますか?


吉高氏
 923SHでも搭載しておりますが、左右に振ってワンセグの選局や音楽の選曲、画像データの選択や、前後に振って画像やPCブラウザのズームイン/アウトなど、直感的で楽しい操作ができます。また、「825SH」では、「魅せフォト」という、ちょっと遊び心のある機能を用意しました。これは人に撮影した写真を見せる時、いちいちデータフォルダを開いて、その中から探すのではなく、本体を前後に振るだけで、あらかじめ登録しておいた画像がすぐに表示される、というものです。フォルダの中には見せるつもりのない画像が入ってることもありますし、大量に保存してるときは目当ての写真を探すのも大変でしょう。男性の場合は、子供やペットの写真を待ち受けに設定するのは恥ずかしい、という人にぜひ利用して欲しいです。



――コンパクトさ以外で、デザインへのこだわりは何かありますか?

吉高氏
 デザインについては、若者をターゲットにポップな本体カラー8色展開をしましたところ、ソフトバンクさんの方で「PANTONE」の冠をつけていただきました。

――色展開の後にPANTONEブランドとしての発売が決まったんですね。

吉高氏
 はい、シャープから製品コンセプトや機能などをソフトバンクさんに説明したところ、それならばPANTONEのスライドタイプとして販売したほうがイメージをしやすいだろうと、ご提案いただきました。

――PANTONEなのに20色ないということは……これから新色が追加されると思っていいんでしょうか。

吉高氏
 これからは同じPANTONEでもカラーバリエーションだけではない幅広い商品展開が必要でしょう。「825SH」は、液晶面も着色した上に、わずかに曲面を持たせてあります。本来ならば反射のことを考えて、液晶面はフラットな方が良いわけですが、手に持った時のフィット感や可愛らしさ重視して、あえて丸みのある液晶面にしました。その代わりに、反射を抑えるために、リフレクトバリアコーティングを内側からかけて、画面が反射で見にくくならないように配慮はしました。

――表面側にはコーティングはないんですか?

吉高氏
 ブラックとディープバイオレットとローズレッドの3色は、端末表面の指紋が目立ちやすい色なので、この3色限定ではありますが防汚コーティングを施してあります。

 スライダータイプというのは市場が広がってきたとはいえ、まだまだユーザーさんが限定されるスタイルです。ニーズにどう合わせるか、そしてどう市場を広げていくかが課題ですね。スライダータイプが好きなユーザーさんというのは、逆にこだわりも強い方が多いように思います。若者向けのスライダー携帯は以前からありますが、「825SH」はフルスライダーでワンセグも搭載し、実用性がありつつ使って楽しいモーションコントロールなど、新しい使い方を提案しました。新たなユーザー層を掘り起こせるかなと期待しています。


――スライド式はこだわりというか、ニーズも多彩で非常に難しそうではありますね。


吉高氏
 大画面が市場のトレンドの現状、どこを狙っていくかという、コンセプトとターゲット層をきっちり打ち出さなければ、結局誰も欲しがらない製品しかでき上がらないでしょうね。本当に難しい製品です。

――確かに、スライドタイプの携帯は市場が読みにくい製品だと言えます。ところで、表のセンサーは、あえて外したのでしょうか? それともコンパクトさや、フィット感を優先するためですか?

吉高氏
 あえて外しました。といいますのも、モーションコントロールセンサーを使うシーンをこちらからより具体的に提案し、若いユーザー層に訴求したかったからです。

――たしかに、操作系に加速度センサーを利用するチャレンジについては、各メーカーさんも使いきれてない感がぬぐえませんでした。

吉高氏
 若者をメインターゲットと連呼してきましたが、一方でコンパクトなスライダーモデルは40代の女性にも実は評価が高いんです。このあたりの評価が読めていないのですが、面白いというか不思議ですよね。

――923SH、824SH、825SHと、こうして3機種が揃うと、実にスキのないラインナップですね。最後に、読者向けのコメントをお願いいたします。

吉高氏
 「923SH」については、説明したとおりAQUOSケータイとして高機能かつ大画面というところに重きをおいたメインモデルです。ただ、今回一番プッシュしたいのは実は「824SH」でして、単なる防水モデルが出ましたというくくりにはしたくない製品です。基本機能もしっかり作ってありますし、今までシャープ端末ではやや弱かったイルミネーションも、LEDの配置から光らせ方までこだわりました。防水機能はもちろんアピールはしていきますが、そこだけじゃないというところを伝えていきたいですね。「825SH」については、若者にどれだけこの製品を評価してもらえるのか、その反応を次のスライダーモデルに反映させるために、我々も楽しみにしています。

――本日はありがとうございました。



URL
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  http://www.sharp.co.jp/
  923SH製品情報
  http://www.sharp.co.jp/products/sb923sh/
  824SH製品情報
  http://www.sharp.co.jp/products/sb824sh_elegant/
  825SH製品情報
  http://www.sharp.co.jp/products/sb825sh/

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(編集部, 麻生 ちはや)
2008/07/15 16:43

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