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「824P」開発者インタビュー
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進化したミラーデザインとミドルレンジのこだわり
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パナソニック製「824P」は、2007年冬モデルの「821P」の後継機となるソフトバンクモバイル端末だ。「MIRROR II」という愛称が示す通り、「821P」に続く偏光ミラーパネルを採用しながら新たな試みに取り組んでいる。プロジェクトマネージャーの渡邊聡氏、商品企画担当の井端勇介氏、機構設計担当の近藤公氏、マニュアル担当の下村真理氏に聞いた。
■ デザインコンセプト
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824P開発陣。左から井端氏、渡邊氏、近藤氏、下村氏
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――「824P」の特徴から教えて下さい。
井端氏
1つめは先代モデルの「821P」で好評を博したデザインを継承し、さらに進化させたこと、もう1つはワンセグ機能を搭載し、ディスプレイサイズも2.8インチから3インチに大きくしたことです。
――ミラーパネルを採用したデザインを受け継いだということですが、そもそもなぜその路線を踏襲することになったのでしょう?
井端氏
「821P」のデザインは高い評価を得て、人気を獲得しましたが、一方でワンセグ非対応であることなど、満たせていないニーズがありました。今回は、そういった部分をキャッチアップしたことになります。特にワンセグについては、当初はハイエンドモデルの一部だけでしたが、昨年の段階でハイエンドモデルの標準機能になりました。今年に入って、ミドルレンジの機種においても標準的な機能という形になっています。デジタルカメラ機能もそうでしたが、新機能はハイエンドからスタートして徐々に普及していきます。ワンセグもその流れの中にあるということでしょうか。もちろんソフトバンクさんとの議論の中で、コンセプトを固めて開発してきたことになります。「ソフトバンクさんの携帯電話」は、デザインやボディカラーへこだわっていますね。
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こちらは先代“MIRROR”の821P
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――「821P」の開発者インタビューでは、偏光ミラーパネルの開発が困難だったと聞いていますが、今回はどうだったんでしょう?
近藤氏
前回のノウハウがありましたから、色の調整が課題になることはわかっていました。ただ、ノウハウがあるからといって、楽になるというわけではありません。今回はパネル形状が凸型ですので、平面だった前回とは異なる課題が出ていました。
――異なる課題とは?
近藤氏
偏光パネルということで、見る角度によって色が異なりますが、その色の調整は立体になることでより難しい部分が出てきました。偏光ミラーパネルを作るには、多層膜蒸着という技術を用いており、膜を重ねて色を再現しています。膜にばらつきがあると、数万台レベルでの量産においては、色がバラバラになってしまいます。1台だけ作り上げるのではなく、量産するからこそ苦労した点ですね。
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824Pのパネルは立体になった
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渡邊氏
平面な板状のパーツにミラー感を出すという工程と、立体的なミラーにするというのは、工法的に見ると全く異なります。
近藤氏
多層膜蒸着という技術を用いてミラーパネルを創るには、外装パーツに色を出すための蒸着をした後、さまざまな二次加工を行うのですが、平面と立体ではこのプロセスがまったく異なるのです。ただ、具体的にどう異なるのか、という点は企業秘密と言うことで詳細はお話しできません。
井端氏
逆に鏡っぽさを薄めるほど、工程としては簡単になると言えるでしょうが、やはり好評だった偏光ミラーパネルを継承するということですから、ここでは妥協できません。
――ワンセグアンテナは内蔵となっていますが、ミラー加工の影響はなかったのでしょうか?
渡邊氏
当社製の携帯電話では、ここ最近、ワンセグアンテナ内蔵型が主流です。ベースとなる技術があるからこそ、ということになりますが、今回はミラー加工しながら受信感度に影響がでないようにしています。
――受信感度に影響する物といえば、金属パーツを想像しがちですが、ミラー加工でも影響するのでしょうか?
渡邊氏
商品企画の段階から、デザイン性や商品性という観点から、ワンセグアンテナは内蔵する方針でした。外装の塗料に金属が含まれていると、受信感度に影響がありますから、そういう意味で工夫を凝らしたということですね。今回は、多層膜蒸着であれば課題はクリアできるであろうという見通しでしたが、ハードル自体は高いものだったと思います。
井端氏
たとえばメタリック塗装では、金属物が塗料に含まれるので、受信感度に影響する可能性があります。それを踏まえて、ミラー加工するには、どういう色が実現できるか検討を重ねました。
■ コンパクトにしながら大画面に
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824Pを開いたところ。3インチディスプレイを搭載している
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――画面サイズが3インチになったということですが、手に取ってみると、821Pよりコンパクトに感じます。
近藤氏
ボディサイズとしては、幅が1mm小さくなっていますので、その影響は大きいかもしれません。それでいて大画面化するということで、その分小さな液晶モジュールを利用していますし、これまでのノウハウの積み重ねで小型化に成功しています。
井端氏
8シリーズはミドルクラスと言える機種ですが、そこで3インチのディスプレイを搭載するに至ったのは、魅力として伝わりやすい要素だからです。たとえば店頭に設置してあるモックアップを手に取った場合、画面サイズの大きさは一目で分かります。全てのお店に実機があれば、実際に操作してみて、良さを実感できるのでしょうが、モックアップだけのお店もあります。そういった環境でも魅力を打ち出すには、デザイン性の追求と、わかりやすい魅力の訴求が必要です。その1つが大画面化ということです。2.8インチと比べると、わずか0.2インチですが。2インチ台から3インチ台と、桁が1つあがるというのは大きな違いでしょう。
――821Pと比べると、同時期発表の823Pと同じく、ワンセグやおサイフケータイに対応していることが違いになるのでしょうか。
井端氏
そうですね。機能面のベースは、春モデルの920Pです。カメラの画素数や液晶サイズでの違いはありますが、その他の部分ではほぼ920P相当の機能をカバーしています。特徴的なところでは、ワンセグとフルブラウザを切り替えるメディアボタンを搭載しました。
――ちなみに同時期発表の823Pとはだいぶ毛色の異なる機種ですが、製品開発時に互いに影響はあったのでしょうか?
井端氏
実は、どちらの機種も商品企画は私が担当しています。当然、互いの機種の距離感は常に見ていました。イメージからすると、824Pは夜景のパーティーのような、きらびやかな印象があります。もう一方の823Pは防水ということで、日向の明るいイメージがありますね。
渡邊氏
824Pは、デザイン面に注力した機種です。ユーザーの皆さんには、その魅力を伝えたいですね。
――ありがとうございました。
■ URL
824P 製品情報(パナソニック)
http://panasonic.jp/mobile/softbank/824p/
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(関口 聖)
2008/07/24 16:37
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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