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第100回:JBlend とは
大和 哲 大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


JBlendとは

 「JBlend」はアプリックスという会社の製品で、組み込み向けのJavaプラットフォームです。コンピューター用のOSには、例えばパソコンで有名なWindowsやUNIXなどがありますが、このJBlendの出生は国産のOS「JTRON」という規格に沿った実装として作られました。

 JTRONは、国産のOSである「TRON」の組み込み機器版「ITRON」上でJavaを動かす、というものです。もともとITRONはリアルタイムOSですので、この上でJavaを動かすJBlendもJava環境にはリアルタイム性、つまり入力に対して即座に反応できる性能をもっています。機械などに組み込むには大変適した造りとなっているわけです。

 ただし、現在ではJBlendはJTRON仕様準拠だけではなく、ITORNをはじめ、各種OSに対応したJava環境へと進化しています。


組み込みJavaが注目される理由

 組み込み向けJavaとは、例えばパソコンやサーバーといった「コンピューターであること」を目的としたものではなく、それ以外の目的で使われる機械のためのJavaシステムです。現在では家電製品や自動車などの身近なものから、発電所や産業プラント管理システムといった産業用のものまで、様々な機械がコンピューターで動いており、携帯電話もこのような機械のひとつです。こういったものの上で動くソフトウエアが、組み込む用途のソフトウエアになります。

 Javaは、サン・マイクロシステムズが開発した「Write once, Run Anywhere」、つまり同じソフトがどの環境でも使えるようになることを目指したプラットフォームで、現在では非常にポピュラーなプラットフォームのひとつです。開発ツールの入手も容易で開発もしやすいことから、現在では多くのソフトウエアが書かれています。

 組み込み機器向けのソフトウエアは、ひとつひとつの機械ごとにソフトを開発してももちろん構いませんが、現在ではソフトもどんどん高度で多様な要求をされるようになってきているので、開発コストが高くなり、ひとつひとつの機械に開発してもペイするとは限らないようになってきています。

 例えば、携帯電話の場合で考えてみましょう。最近では携帯電話も話すだけではなく、ゲームやスケジュール帳といったソフトが動くことがウリになるようになりました。しかし、ゲームは遊ぶと飽きてきますし、1本2本だけでしか遊べないのではそれほどウリにはなりません。しかし、1つの機械のためだけにたくさんの本数のソフトを開発するとコストも馬鹿になりません。その機械のプラットフォームが独自のものであれば、ソフトどころかソフトを作るための開発ツールなども専用に作らなくてはなりませんから、コストはどんどん跳ね上がってしまいます。

 コストを下げて、なおかつ高度な複雑のソフトを開発するには、できるだけソフトが共通に使える方がいい、ということになります。それも、既に開発ツールなどが整っている環境の方がより良い、ということになります。

 そのようなわけで、他の機械とソフトを共通に使えるプラットフォームで、なおかつ既にポピュラーなものである、Java環境の組み込み向けプラットフォームが注目されているのです。


携帯電話とJBlend

 携帯電話で用いられているJBlendは、「microJBlend」と呼ばれる非常に小さなJava環境です。これはJavaの規格の中でも、最も小さな規格である「J2ME(Java 2 Micro Edition)」、「CLDC(Connected Limited Device Configuration=ネットワークに接続できる制約のある機械向けの設定)」、「KVM」に相当する実装ということになります。

 特徴としては、アプリックスが独自開発したKFTT(ソフトウエアによるKVMの高速化技術)を搭載していることで、小さいながらも高速でプログラムの実行が可能なJava仮想マシンとなっていることが挙げられます。

 また、microJBlendにはもうひとつ特徴があります。それは、移植性に優れているということです。microJBlendはTRONに限らず、CPUやOS、ターゲット機器の分野を選ばない仕組みとなっています。現在市販されている多くの携帯電話には、ITRON準拠か、それとほぼ同等の機能を持つリアルタイムOSが搭載されています。

 このmicroJBlendは、NTTドコモの携帯電話では、ソニー・エリクソン製のSO503i/SO503iS/SO504iに採用されています。J-フォンやauのJavaプラットフォームでは、このJBlendが全面的に採用されていて、Javaが動く携帯電話にはすべてこのJBlendが利用されています。

 日本国内で発売されているJava対応携帯電話は、今年6月中旬の時点で合計39機種になりますが、このうち11メーカーの23機種でアプリックスのmicroJBlendが搭載され、出荷台数の累計は今年5月末の時点で780万台を超えていると発表されています。


・ アプリックス
  http://www.aplix.co.jp/
・ 「JBlend」のWebサイト
  http://www.jblend.com/


(大和 哲)
2002/07/16 12:27

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