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第112回:非接触型ICカード とは
大和 哲 大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


いろいろな場面で使われ始めた非接触型ICカード

WPC EXPO 2002で行なわれていた非接触型ICカードを利用した情報配信サービス
 ICカードは、内部にICチップが内蔵されたカードです。サイズは携帯電話のストラップにつけられる程度のごく小さなものから、キャッシュカードやクレジットカードと同じ程度のサイズまであります。

 このICカードには接触型と非接触型とがあります。接触型ICカードは、リーダー・ライターと呼ばれるICカードの読み書きを行なう機械に、直接ICカードを差し込んでデータのやり取りを行ない、非接触型ICカードは、カードの端子と機械の端子を接触させることなく、記録されたデータを読み書きできるカードです。

 現在、非接触型ICカードはすでに社会のいろいろな場面で使われており、これからもいろいろな応用が期待されているデバイスです。

 既に日本国内では、ICカードタイプのテレホンカードが利用できる公衆電話があります。このタイプの公衆電話では、密着タイプの非接触型ICカードを利用しており、従来のテレホンカードを利用するタイプと違って、機械の中にカードを入れる必要はなく、電話機の上にICテレホンカードを置くだけで利用できます。

 また最近では、自動改札機の上にかざすだけで利用できる定期券やプリペイドカード(JR東日本の「Suica」)、コンビニエンスストアの店頭やパソコンにつないだリーダー・ライターの上にカードを置くだけで利用できる電子マネー(ソニーの「Edy」)などもあります。これらは、ソニーが開発した非接触型ICカード「Felica」を利用しています。

 携帯電話関連では、10月16日より開催されたデジタル機器の展示会「WPC EXPO 2002」において、非接触ICチップと携帯電話を連携させたサービス「WPC Touch info Service powered by LE-X」が提供されました。

 これは、非常に小さいキーホルダー型の非接触ICチップと携帯電話のメール機能を利用して提供されたサービスです。ICチップには携帯電話のメールアドレスと関連付けられたIDが登録されており、会場内に設置されたスキャナに認識させると、スキャナに接続されたコンピュータが携帯電話のメールアドレスを判断し、情報をメールで配信するという仕組みになっていました。

 携帯電話における接触型ICカードと非接触型ICカードの違いは、UIMカードなどが接触型のICカード、このようなキーホルダー型のICチップなどが非接触型のICカードだと思えばいいでしょう。


非接触型ICカードの仕組み

 ICカードの中にはICやLSIが組み込まれています。単純にメモリ機能のみのものや、セキュリティ機能などを組み込んだワイヤードロジックタイプ、あるいはCPUが組み込まれているマイクロコンピュータタイプなどに分類されます。

 また、非接触型ICカードの場合には、アンテナコイルと呼ばれる渦巻状に巻かれた配線、さらに電源や電圧を一定にするためのコンデンサなどの部品が薄いカードの中に内蔵されています。

 非接触型ICカードは、電波を使ってリーダー・ライターとデータをやりとりします。アンテナコイルは電波を出力するアンテナとして使われると同時に、発電機としての役割も果たします。ICカードといえども電子機器ですから、動くためには電気が必要です。

 アンテナコイルは、配線が渦巻いた「コイル」状の形をしているわけですが、コイル内を通り抜ける磁力線の数が変化すると起電力が誘起される「電磁誘導現象」が利用されています。つまり、カードをかざす部分から磁界を発生させておき、そこをカードが通過すると、カード内のアンテナコイルから電力が発生するのです。その電力でICを動かして、リーダー・ライターへデータを送るための電波を出力しているわけです。


 非接触型ICカードでは、カード内のアンテナコイルが電力を発生する。この電力によってICカード内のデータを電波に乗せてリーダー・ライターに送ることで、データのやりとりをする。

 ちなみに、この非接触型ICカードには、データが読み書きできる距離によって「密着型(2mm以内)」、「近接型(10cm以内)」、「近傍型(70cm以内)」といった分類があり、それぞれISOによって制定された国際標準規格も存在しています。

・非接触型ICカードの分類
通信距離 使用周波数 データ通信速度 国際標準規格
密着(CICC) ~2mm 4.91MHz 9.6kbps~ ISO/IEC10536
近接型(PICC) ~10cm 13.56MHz 106kbps~ ISO/IEC14443
近傍型(VICC) ~70cm 13.56MHz ~10kbps ISO/IEC15693


 非接触型、接触型ともにICカードの特徴は、大きな容量のデータを記録できること、そしてセキュリティに優れていることです。

 これまでキャッシュカードなどに使われていた「磁気カード」はプラスチックカードに磁気テープがつけられたもので、磁気でデータが記録されていました。しかし、磁気記録は、たとえば砂鉄をカード上に撒けば、縞模様でデータの内容が見えるというほど、記録密度が低いもので、「1トラックタイプ」と呼ばれるものの場合では、記録できるデータはわずか72バイト(制御情報など含む)しかありませんでした。これではせいぜい銀行の口座番号や、クレジットカードの会員番号くらいのデータしか記録できません。

 ICカードでは、半導体のメモリがカード上にあり、データ容量は5KB程度、もしくはそれ以上が一般的になってきています。これだけの容量があれば、カード上に様々なデータを載せることが可能です。

 また、セキュリティに関しては、縞模様でデータが見えるということも問題ですが、データ改ざんが簡単に行なえるという問題もあります。データが記録されている部分が全て磁気テープですので、磁石さえあれば簡単にデータが書き換えられてしまいます。

 ICカードならば、一部をROM化しておき、データが簡単には改ざんされないようにすることが容易です。また、無理に内部を開ければ、回路が破壊されて使えなくなるようにする、といった加工も容易です。

 さらに、非接触型ICカードでは、接触部分である端子などが存在しないため、接触不良などの心配がなく、様々な環境やシチュエーションでの応用が期待されているのです。


展示会場内で非接触ICと携帯電話を使った情報配信サービス


(大和 哲)
2002/10/22 11:03

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