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第132回:iアプリDX とは
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大和 哲 1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら。 (イラスト : 高橋哲史) |
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近日発売予定の505iシリーズ
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近く発売されるドコモの携帯電話「505i」シリーズでは、iアプリ関連機能がいろいろと強化されています。
対応するDoJaプロファイルは2.0から3.0へバージョンアップし、一時的にデータを補完しておくことができる携帯電話内のメモリ「スクラッチパッド」はこれまでの100KBから200KBまで増えるなどの機能が追加されています。しかし、もっと注目されているiアプリ関係の新機能といえば、やはり「iアプリDX」への対応でしょう。
「iアプリDX」とは、新しいタイプのiアプリで、たとえば電話帳やメール機能との連携や着信音の操作など、携帯電話の持っているデータや機能との連携が可能になるというものです。コンテンツ製作者は、「iアプリDX」を利用することで、これまではできなかったタイプのアプリケーションを作ることができます。
たとえば、ソニーコミュニケーションネットワーク(So-net)から提供予定の「ポケットポストペット」は、iアプリDX対応のアプリケーションです。このソフトは、パソコンのメールソフトとして人気のある「PostPet」の携帯電話版で、画面上の仮想ペットがiモードメールを相手に届けます。この「iモードメールの発送や表示」というのが、これまでのiアプリではできなかったことなのです。
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So-netの「ケータイポストペット」
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■ iアプリDXでできること
iアプリDXで新しく使えるようになった機能、できるようになったことを挙げていくと以下のようになります。
1.iモードメールとの連動機能
これまでiアプリからは、iモードメール関係の機能を利用することはできませんでした。iアプリDXでは、メールの発信やメールを受信し、その内容をiアプリ内で利用するということもできます。
2.携帯電話本体に登録されたデータを自由に利用できる
携帯電話内には電話帳や着信履歴といった、登録されたいろいろなデータがあります。通常のiアプリではこれらのデータは限られた操作しかできませんでしたが、iアプリDXではこれらの操作を自由に行なうことができます。
たとえば、電話帳に関しては、504iS以前(DoJa2.0)対応iアプリでは、全く操作することができませんでした。新しい505i以降(DoJa3.0)対応の通常のiアプリでは、電話帳に新しいデータを登録することだけができます。しかし、iアプリDXでは、電話帳へデータを登録できるほか、削除や参照、データの一部だけ変更などの操作を自由に行なうことができます。
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電話帳の登録 |
電話帳の変更・削除 |
504iS以前のiアプリ |
× |
× |
505i以降のiアプリ |
○ |
× |
iアプリDX |
○ |
○ |
3.様々なインターネットサイトへの接続
通常のiアプリでも、インターネットサーバーに接続してデータを読んだり書いたりすることはできます。しかし、セキュリティ上の問題から、アクセスできるサーバーは、iアプリ本体をダウンロードしたサーバーに限られていました。
iアプリDXでは、ダウンロードしたサーバー以外の、インターネット上のどのサーバーにでもアクセスすることができます。たとえば、これまでは作ることができなかったブラウザソフトなども作ることができるのです。
4.iエリアに対応
これまでもiモード公式メニュー以外のサイトで、携帯電話の位置情報を得て、その情報を元にコンテンツを配信できる「iエリア」の機能を使う「オープンiエリア」という機能がありました。しかし、「オープンiエリア」はiアプリでは使うことができませんでした。というのもiエリアに使用するサーバーが指定されており、このことが「iアプリはダウンロードしたサーバー以外にアクセスできない」という制約にひっかかってしまうからです。iアプリDXでは、ダウンロードサーバー以外のサーバーにもアクセスできるようになったため、iエリアにも対応できるようになりました。
■ iアプリDXを配布できるのは公式サイトだけ
もともと、iアプリがメール機能や電話帳機能、それにインターネットのサイトに自由にアクセスできなかったのは、それがセキュリティホールとなってしまうことが懸念されたからでした。
たとえば、コンピュータウイルスを考えてみてください。最近よくパソコンで見られるコンピュータウイルスは他のコンピュータにウイルスを感染させるために、パソコンの中のアドレス帳データを見て、送れるアドレスに片っ端からメールでウイルスを送りつけて感染のチャンスを狙います。
もし、電話帳のデータを見たり、メールを勝手に送りつけることがiアプリからできてしまうと、同じようなウイルスを作られてしまうということも考えられるわけです。
iアプリDXでは、携帯電話の機能を使えるようにする代わりに、セキュリティ確保のために、「公式サイトで配布されるiアプリのみが、端末内の機能を利用できる」としています。つまり、ドコモの審査があるので勝手にウイルスなどを作って配布することはできないだろう、というわけです。
一般サイトで配布するiアプリ(たとえばユーザーが作ったアプリ)では、DoJa3.0の機能を使うことはできますが、iアプリDX対応のiアプリを配布することはできないのです。ちなみに、これまでユーザーがiアプリを作るのに使ってきた、ドコモより配布されている開発用ドキュメントにもiアプリDXの作り方は一切記されておらず、勝手にiアプリDXを作ることができないようになっています。
ちなみに、このiアプリDX対応のiアプリのことを、同社のドキュメントでは「トラスティッドiアプリ」と表現されていることもあります。トラスティッドとはTrasted、つまり「信用されている」ということです。携帯電話の機能を使うにはキャリアに信用されていなければならない、というわけです。
■ URL
iアプリコンテンツの作成について(NTTドコモ)
http://www.nttdocomo.co.jp/p_s/imode/java/
■ 関連記事
・ ドコモ、505iで採用されたiアプリの新仕様を公開
・ ドコモの505iシリーズ、関連記事リンク集
(大和 哲)
2003/05/13 12:40
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