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第142回:燃料電池 (FC・Fuel Cell) とは
大和 哲 大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


 最近の携帯電話には、次々と新しい機能が搭載されています。たとえばJavaで書かれたプログラムが動き、メガピクセルクラスのデジタルカメラ機能が搭載されています。また将来、一般に提供が開始されそうなものとしては、試作品も展示されたことがある地上デジタル放送の受信機能などが挙げられます。しかし、今後続々と新機能が携帯電話に搭載されたとしても問題になることがあります。それは“消費電力”です。新機能を搭載すればするほど、電力を消費しがちになり、端末自体の使用時間が短くなってしまうのです。

 現在、携帯電話のバッテリーは、主にリチウムイオン充電池(海外ではニッケル水素電池やニッカド電池も)が使われています。リチウムイオン電池も性能はニッカド電池などに比べるとずいぶん良いのですが、それでも限度があります。

 たとえばJavaアプリでは、携帯電話が待ち受け状態にあるときにはプログラムの実行を一時的に止めるというような工夫をすることで、電力を節約するようにしています。しかし地上デジタル放送の受信などが実現すると、映像を受信して画面に表示している間はずっと電力を消費し続けますから電力節約も難しくなるでしょう。しかし、1日1時間受信したら再充電が必要、というような携帯電話ではそもそも電話として使い物になりません。そこで、携帯電話用に使えるさまざまな次世代電池が注目されています。燃料電池は、次世代の電池として注目されているデバイスの1つです。


燃料電池の仕組み

 燃料電池は、非常に効率よく大電力が取り出せるデバイスとして、携帯電話だけでなく、ノートパソコン、電気自動車などでの利用においても注目されていますが、その仕組みや使い勝手は、リチウム電池のようなこれまでの充電池とは大きく違います。

 リチウムイオン電池は、電池中のリチウムを含む金属酸化物・炭素を組み合わせたもので、充電されるとマイナス極の炭素結晶などにリチウムイオンが挿入され、逆にリチウムイオンが放出されると起電力が発生して電力を機械に供給できる、という仕組みになっています。リチウムイオン電池のように充電して、さらにその電気を放電するような電池を「2次電池」といいます。

 燃料電池は、充電・放電を行なうのではなく、水素と酸素を用いて水が作られるときに電気が発生するという「水の電気分解の逆反応」を利用して発電を行ないます。燃料を補給すると発電が開始され、2次電池のような充電は必要ありません。燃料が使われて無くなってしまうと電力を供給できなくなりますが、そのときはまた燃料を補給すればふたたび発電が開始されます。イメージ的には「充電できる電池」ではなく、「携帯できる超小型の化学発電施設」と考えたほうがすっきりするでしょう。燃料電池には発電施設としても、燃料を熱や動力に変えることなく直接電気エネルギー変えることができるので、エネルギーの変換効率も高いという特徴があります。

 燃料電池には、利用される電解液や燃料などによっていくつか方式があり、それぞれ大型の発電施設、あるいは小型の機械に向いている、などの特徴があります。リン酸を電解質として使うリン酸形燃料電池(Phosphoric Acid Fuel Cell:PAFC)はコジェネレーション用など、イオン交換樹脂膜を利用する固体高分子形燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell:PEFC)は自動車など、イットリア安定化ジルコニアという酸化物を利用して、発電に摂氏1,000度近い高温が必要な固体酸化物形燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell:SOFC)は中規模な発電所のような役割が期待されています。

 携帯機器で主流になると考えられているのは、メタノールを利用した燃料電池で、固体高分子形燃料電池の一種である「ダイレクトメタノール方式(Direct Methanol Fuel Cell:DMFC)燃料電池」と呼ばれる方式です。ちなみに“ダイレクト”とは、メタノールと水の混合物を使って発電を行なう過程で、気体の水素そのものを発生させる「改質」という工程を踏まずに発電することを指しています。

 DMFC燃料電池の仕組みとしては、触媒電極に白金が混ぜられており、メタノールが白金に触れて分解され、水素イオンと二酸化炭素が発生します。反対側の電極に達した水素イオンは空気中の酸素と結合して水となり、このときに電気が発生します。

 ダイレクトメタノール方式燃料電池は水素を発生させるということがないため民生用としても安心して使うことができることも注目されている点です。


ダイレクトメタノール方式燃料電池の簡単な仕組み。触媒に触れたメタノールと水の混合物から水素イオンが発生し、これにより電気を発生する

実用化の目処は?

 燃料電池が一般に使われるようになるには、いくつかのハードルがあります。まず、安全性の問題があります。燃料電池では、メタノールや水素といった非常に燃えやすい燃料を使うため、これらを安全に取り扱う必要があります。パソコンや携帯電話といったものは家庭用として一般の人に使われるうえに、電車や車の中など多くのシーンで使われます。温度、振動などにも対処しなくてはなりません。

 また、現在はまだ燃料から電気への変換効率が高くなく、実用化に向けてはさらに向上させる必要もあります。燃料の補給の方法も大きな問題です。どのように供給するのかも問題ですし、また、ユーザーが安全に補給を行なえる方法も考えなくてはなりません。

 このような課題を乗り越えて、現在、携帯機器用の燃料電池はいくつかのメーカーで研究が行なわれていて、報道や一般へ公開されているものもあります。

 たとえば、NECでは、今年2月に、燃料電池で動作するノートPCと携帯電話のデモを行なっています。NECは、携帯電話やコンピュータ向けの燃料電池の開発に関して、たびたび報道されているメーカーで、たとえば発電の効率を上げるためにカーボンナノチューブを利用した電極を開発したというニュースが本誌でも取り上げられました。

 デモで使われていたN504iの場合、現行のリチウムイオン電池での連続通話時間は約135分ですが、試作された燃料電池では約3時間の連続通話を実現しており、製品化の際には、リチウムイオン電池と比べて10倍の連続通話時間まで引き伸ばすことが目標となっているそうです。また同社では、2004年末〜2005年にかけてノートパソコンで燃料電池を採用した製品が登場し、携帯電話では2005年あたりから実用化が始まるとしています。携帯電話のほうが実用化の時期が遅くなるのは、やはり携帯電話のほうが使われる環境が厳しい、という面があるからだそうです。

 このほか東芝も、先述の「ダイレクトメタノール型燃料電池(DMFC)」を開発し、ノートパソコン向け燃料電池は2004年を目処に製品化を目指すと発表しています。ドイツで開催された展示会「CeBIT 2003」では、同社開発の燃料電池でノートパソコン「Libretto」を動作させるデモが行なわれました。

 燃料電池は、充電が必要ありませんが、燃料の補給が必要になりますから、どうやって供給するか、そのインフラなども搭載機器の登場にあわせて整備が行なわれることになるでしょう。たとえば、エタノールのカートリッジがコンビニなどで売られるようになるのではないかと考えられています。



URL
  NECが燃料電池で動作するノートPCのデモを実施(PC Watch)
  http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0226/nanotech.htm

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(大和 哲)
2003/07/23 12:33

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