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第150回:無線ICタグ(RFID) とは
大和 哲 大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


 無線ICタグは、ICとアンテナを内蔵したチップです。IC内にさまざまな情報が記録されており、専用のリーダーを使ってこの情報を読んだり書いたりできます。

 お店で売っている品物や、物流で配送される荷物などには“タグ”と呼ばれる札がついています。これには商品の種類や値段が、荷物なら配送先が文字やバーコードで記されています。文字で書かれたものは人が目で読まねばなりませんし、バーコードは読取機を使わなければなりませんが、無線ICタグは電波経由でデータを読み取りますので、読取機さえ置いておけば自動的に記載内容を確認することができます。

 無線ICタグのように無線を使って個別の自動認識を行なう仕組みをRFID(Radio Frequency IDentification、「電波での識別」の略)と言います。無線ICタグはRFIDを実現する仕組みのひとつです。RFIDが身近に利用されている例としては、書店などでの品物の無断持ち出し防止用に使われているICタグシールなどがあります。


無線ICタグの中身

パッシブ型の無線ICタグでは電池を持たない。その代わりに、アンテナコイルでリーダーからの搬送波から電力を発生して、電源、あるいはクロックとして使用している
 無線ICタグは、その活動の仕方によって2つに分けることができます。1つは、電源を内蔵していて自分から電波をリーダーに発するアクティブ型。もう1つは、リーダーからの電波を受けるだけのパッシブ型です。

 現在、さまざまな用途に使えるものとして特に注目されているのはパッシブ型の無線ICタグです。このタイプの無線ICタグは、電源を内蔵していません。よって、パッシブ型無線ICタグの電源は、タグ内のアンテナでリーダーから発信されている電波を拾うことで、その誘導起電力を利用して発電を行ない、これで電力、および命令を実行するための時間の単位となるクロックを作り出します。さらに、発電された電力を利用してICを駆動し、メモリに記録されているデータをリーダーからの電波にあわせて送信したり、あるいはメモリ中のデータを書き換えたりします。

 このタイプの無線ICタグは電池がない分軽く、また製造コストも低く済むというメリットがあります。なお、無線ICタグにはいくつかの標準規格があり、たとえば「ISO SC31」という規格に準拠したものでは、使用される電波の周波数が13.56MHzになっています。米国のマサチューセッツ工科大学が中心になって設立された国際標準の無線IC研究機関「Auto-ID Center」の規格準拠のタグでは900MHzのものもあります。またマイクロ波を利用する製品も存在します。

 無線ICタグは、その種類によって、性能にも差がありますがタグと読み取り機がかなり離れていてもデータの読み書きが可能なものもあります。形状としては、紙のタグの中に含まれていたり、フィルムの中にアンテナコイルおよびICチップが埋め込まれていたり、プラスチックカード状になっていたりとさまざまです。最近では、ごま粒サイズという非常に小さなカプセル状にしたICタグなども製品化が予定されています。


無線ICタグの特徴

 無線ICタグの特徴は、読み取り機とタグを接触させなくても使うことができるということです。たとえば、無線ICタグと同じように、プラスチックカードの中にメモリLSIを内蔵させてデータを読み書きするものとしては「スマートメディア」のようなものがありますが、これはカードに金属の端子が備えられており、リーダー側の端子と接触させることでLSIを駆動させるための電気を供給したり、読み書きするデータをやり取りしたりします。しかし無線ICタグの場合は、データのやり取りを端子経由で行なうのではなく、電波を使っています。そのため、端子と端子を接触させる必要がありません。

 無線ICタグがリーダーと電波をやりとりできる距離は、ICタグの使う電波の周波数や出力、アンテナなどにもより異なってきますが、ミリメートル単位からメートル単位で使えるようになっています。そのため、無線ICタグがリーダーの上に置かれるだけで情報を読み書きしたり、ゲートの中を通過するだけでデータを読ませるというような使い方が可能です。たとえば物流現場では、品物が入ったダンボールやパレットに無線ICタグをつけておけば、トラックやフォークリフトに乗せたままでも何がそこを通過したのかをチェックすることも可能になります。

 無線ICタグ、すなわちRFIDはモノに触らず、人手を介さず商品の情報を高速に読み取れたり、一度に複数の読み込みもできるようになったりするため、ユビキタスなどさまざまな用途で応用が期待されている技術です。


ケータイではKDDIがトライアルサービスを

 携帯電話でもこの無線ICタグを使った応用がいろいろ試されています。KDDIが、9月19日から、銀座にある百貨店「プランタン銀座」において、無線ICタグと携帯電話を連動させたメール配信サービスのトライアルを行なうことになっています。

 このトライアルでは、来店客500名に携帯電話用ストラップの形をしたICタグが配布されます。このICタグのIDには、登録ユーザーが持つ携帯電話のメールアドレスが記録されていて、顧客が店内に設置されたICタグリーダーへICタグストラップをかざすと、リーダーに接続されたメール配信サーバーがICタグリーダやデータベースに登録された情報を参照し、メールアドレスを読み取ったリーダーが設置されている場所で実施されているイベント情報などを、携帯電話にメール配信するというようなサービスが行なわれるそうです。

 KDDIは、ICタグを利用した携帯電話への情報配信など、新たなサービスプラットフォームの開発を進めており、今後は携帯電話本体へのICタグリーダーの搭載やモバイルショッピングへの応用などについても実用化を検討していく、としています。


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(大和 哲)
2003/09/17 12:17

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