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第160回:FeliCa とは
大和 哲 大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


試験サービスで利用される「SO504iC」。「FeliCa」ロゴの位置に非接触ICチップが内蔵されていて、ここをかざすことで携帯電話をFeliCaカードとして使える
 「FeliCa」はソニーが開発した非接触ICカードの技術方式の名称です。

 FeliCa技術を使ったICカードは、タッチするだけで改札を通れる定期券・プリペイドカード「Suica」としてJR東日本が採用しているほか、コンビニエンスストアのam/pmなどで使えるプリペイドカード「Edy」、あるいはインターネット専用クレジットカードの「eLIO」などで利用されています。現在では、かなり一般にもよく使われている馴染みのあるカードであると言えるでしょう。

 FeliCaは日本国内だけでなく、世界中で使われています。香港では「オクトパスカード」というプリペイドカードとして利用されており、地下鉄やバス、フェリー、電話、コンビニエンスストアなどで広く使えるようになっています。現在の香港居民の生活には欠かせないアイテムの1つです。

 また、他にも、シンガポール、インドのニューデリー市では地下鉄のプリペイド乗車券として使われるなど、2002年12月までに全世界で3,500万枚が出荷されています。

 FeliCaをベースにしたICカードは、形としてはキャッシュカードサイズの「カード型」が多いのですが、それ以外の形状として香港のオクトパスカードでは腕時計にプリペイドカード機能を組み込んだ「腕時計型」が発売されています。

 また、FeliCa技術を利用した非接触ICカード機能を携帯電話に盛り込む計画も現在、日本国内で進められており、こちらは携帯電話の中にICカード機能が埋め込まれるようです。

 FeliCaの開発元であるソニーとNTTドコモが先日、FeliCa搭載の携帯電話を利用したサービスの実現に向け、新会社「フェリカネットワークス株式会社」を設立すると発表しました。発表会では、携帯電話を財布や社員証の代わりとして使う試験サービスのスケジュールなどが発表されたのですが、この試験用のICカード機能内蔵の携帯電話として、SO504iCおよびN504iCが公開されました。


FeliCaの特徴

 非接触ICカードにはいくつか規格が存在していますが、これらはカードとそのデータを読み書きするリーダーライターの距離がどの程度まで利用できるかによって、密着型、近接型、近傍型、遠隔型に分けられます。FeliCaはこの中でも10cm程度の距離まで離して利用できる「近接型」に分類される非接触ICカードです。

 近接型の非接触ICカードには、ISOの国際標準規格(ISO 14443)が存在し、TypeA、TypeBという規格が標準化されているのですが、FeliCaに関しても、ISO 14443 TypeCという名前でこれに準拠したISO規格が現在策定中で、将来的にはFeliCaは世界標準規格の仲間入りする見込みです。

 ちなみにTypeAのICカードはフィリップス、ドイツのインフィニオンなどがシステムを販売しており、中国・北京市地下鉄乗車券などで利用されています。なおフィリップスでは、同社の持つTypeA対応ICカード技術を「Mifare」と呼称しています。またTypeBはモトローラが開発し、STマイクロやNEC、インフィニオンなどが推進しています。

 FeliCaは、これらICカードの中でも、


・高い通信セキュリティを保持。
通信を行なう前の相互認証、および通信の暗号化により強固なセキュリティを確保。

・1枚のカード内に複数のアプリケーションを搭載可能。
カード内の秘密鍵を事業者ごとに複数設定できるので、 1枚のカード内に複数のアプリケーションを搭載できる。他の事業者から、別の事業者のデータ内容は見られない。

・高速データ処理が可能。
TypeAカードは、106kbpsでしか機器と通信できないのに対して、FeliCaでは、211kbpsなど速度面のアドバンテージがある


という特徴を持っています。

 そのため、セキュリティ面が重要なプリペイドカード、クレジットカードとしても使われますが、特に改札など高速処理が要求される鉄道、バスといった交通機関での採用が目立っているようです。

FeliCaの主な仕様
使用無線周波数 13.56MHz
無線データ伝送速度 211kbps
書き換え可能回数 約10万回
データ容量 最大19,712bit


 また、国際規格ということでは、12月8日に、ソニーとフィリップスが共同開発した近距離無線通信規格「NFC(Near Field Communication)」がISO/IECから国際標準規格として承認されたと発表されています。

 NFCという規格は、NFCチップを搭載した携帯電話などの機器同士を10cm程度まで近づけると、お互いが認識しあって自動的に対応機器同士で情報交換ができるという仕組みです。

 ISOの規格「ISO/IEC IS 18092」にはFeliCaとMifareの通信方式が含まれていて、両者は通信互換性がある内容になっています。NFC対応機器はFeliCaとMifareのリーダーライターになれるほかに、ICカードそのもの(つまりFeliCaやMifare)の役割を果たせるので、将来的には、「FeliCaを読み書きできて、かつSuicaやEdyの機能を持つ」というような携帯電話が世に登場する日が来るかもしれません。



URL
  FeliCa 概要
  http://www.sony.co.jp/Products/felica/
  「NFC」が国際標準規格として承認 (ソニー プレスリリース)
  http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/200312/03-059/

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(大和 哲)
2003/12/09 13:31

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