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第173回:PDF とは
大和 哲 大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


PDF

PDF文書を閲覧できるNTTドコモの「SH900i」
 PDFは、米国のアドビ システムズ社が策定した「どんなコンピュータでも同じように表示し、印刷できる」文書のファイルフォーマットです。「PDF」という名前は、Portable Document Format(移植可能なドキュメントフォーマット)の略です。その名前のとおり、さまざまな機械でこの文書を表示させることができます。

 たとえばパソコンでは、専用ソフトを使って読むことができます。ブラウザのプラグインになっている場合もありますので、インターネットで公開されているPDF文書を閲覧すると、Webページを閲覧する場合と同じように、ブラウザの画面上にそのまま表示させることもできます。パソコン用ソフトはアドビシステムズからAdobe Reader(旧Acrobat Reader)が無償で配布されています。

 携帯電話やPDAでは、「Picsel Browser」というソフトウェアがよく使われています。このPicsel Browserは、PDFのほかにWord文書なども表示することができるソフトで、携帯電話ではNTTドコモの「SH900i」、PDAではソニーのCLIEシリーズに採用されています。「SH900i」では、miniSDカードに転送したPDF文書やWord文書を、Picsel Browserの機能を使って、携帯電話の画面上で見ることができます。

 現在PDFは、電子文書のデファクトスタンダード(事実上の標準)となっていて、何らかの文書をデータとして配布される際に非常によく使われており、インターネット上での文書公開ではかなりの文書がPDF形式で配布されています。

 特に、インターネットや製品添付のCD-ROMに収録される電子マニュアル、あるいは広告やカタログをそのまま電子化した電子カタログなど、官公庁や企業のファイルの公開ではほとんどがPDF形式を利用しています。

 総務省は、政党にいくら交付金を支給し、どの党がいくら使ったかなどを記録した「政党交付金使途等報告書」をこれまでは「官報」と呼ばれる紙の本でのみ公開していましたが、3月26日からはインターネット上でも公開しています。ここでもPDF形式が利用されています。

 携帯電話関係では、ツーカーグループが携帯電話購入時に同梱される携帯電話の基本操作を解説した操作ガイド「カンタンマニュアル」を3月26日よりPDF文書で提供するようになったほか、auもPDFによる取扱説明書などを配布しています。


PDFの特徴

SH900iでPDF文書を表示させたところ
 PDF以前には、アドビシステムズが開発していた「PostScript」という言語がありました。このPostScriptを利用すると、必要なフォントを搭載した対応プリンタであれば「どんなプリンタでも同じデータから同じ結果が印刷できるデータを作れる」ことをコンセプトとなっており、PostScriptでプログラムを書くこともできました。ただし、フォントがプリンタにないと文書が崩れたり、プログラムがあまりに柔軟に書けるために書き間違えると暴走したりすることもあったほか、文書を作る工程に手間がかかるといった問題もありました。

 PDFは、PostScriptのコンセプトを踏襲しており、文書の中にフォント情報や、色、ベジエ曲線を使った図形の形・大きさの情報、そしてビットマップ画像の情報などが収納されています。専用ソフトはこの情報を使って、パソコンやPDA、携帯電話などそれぞれの端末に合わせて、どれでも同じ見た目になるよう調整して表示します。

 また、PostScriptの欠点も改良されて、PDFの仕様に盛り込まれています。たとえばフォント情報は、文書内に「フォント埋め込み」という機能を使って埋め込めるようになりました。そのため、PostScriptとは違い、文書の作成者が注意すれば、必要なフォントが内蔵されていない端末でも、意図したような見かけになる文書を作ることができます。なお文書のプログラム機能に関しては、PDFではかなり簡略化され、マシンやプリンタがハングアップするような文書は作れなくなりました。

 PDFでは、PostScriptが開発された時代にはなかった要求にも応えています。たとえば、文書のデータを圧縮したり、暗号化したりして特定の人のみ閲覧あるいは編集できるというような仕組みが盛り込まれています。

 PDF文書を作るには、アドビシステムズのPDF作成ソフト「Acrobat」を利用するのが一般的です。ただし、PDFの仕様はアドビシステムズのWebサイトで公開されており、誰でもその仕様を知ることができます。そのためサードパーティからもPDF文書を作成するソフトウェアが提供されています。また、「テキストエディタを使って手作業でPDF文書を作る」という方法を公開しているWebサイトも存在します。「仕様が公開されている」という点はPDF形式が普及した一因かもしれません。

 「Acrobat」以外で、PDF文書を作るには、高価ですが「文書を読み取るだけでPDFを自動的に作成するイメージスキャナ」を購入するという方法もあります。安価にすませたいのであれば、「Primo PDF」や、「Ghostscript(Linuxなど)」のような無償のオンラインソフトを使う手もあります。ちなみに「Primo PDF」はパソコンにインストールすると、仮想のプリンタとして登録され、印刷時に仮想プリンタを選択すると紙の印刷物の代わりにPDFファイルをパソコン上に作れるようになっています。



URL
  PDFってなに?(アドビシステムズ)
  http://www.adobe.co.jp/products/acrobat/adobepdf.html
  Adobe PDF Tech Resouces(英文)
  http://partners.adobe.com/asn/tech/pdf/index.jsp

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(大和 哲)
2004/04/01 13:28

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