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第174回:番号ポータビリティ とは
大和 哲 大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


昨年11月より、番号ポータビリティ導入の是非を検討する研究会が開催されている。最終的な報告書は4月下旬に開催される研究会でまとめられる
 番号ポータビリティとは、電話を利用するために契約している事業者を変更しても、電話番号を変更する必要がなく、継続して利用できるようになるという仕組みです。携帯電話の番号ポータビリティの略語として「MNP(Mobile Number Portability:移動体番号移植性)」という単語が使われることがあります。

 携帯電話の番号ポータビリティは、既に海外では、欧州13カ国や香港、そして昨年からは米国でも開始されるなど世界各国で導入が進んでいます。

 国内では、総務省で「携帯電話の番号ポータビリティの在り方に関する研究会」が開かれており、2006年度の第2四半期末を目標として、携帯電話での番号ポータビリティを導入する方向で報告書がまとめられる予定です。携帯電話事業者4社(NTTドコモ、au、ボーダフォン、ツーカーグループ)の携帯電話番号ポータビリティが実現される予定です。なお、PHSに関しては今回は対象外です。

 この仕組みが実現されると、携帯電話を買い換える際に、電話番号の変更を気にせずに事業者を選ぶことが可能となります。このため、新しい携帯電話を購入しても友人などに電話番号を教えなおしたり、名刺をすり直したりするという手間を省くことができるようになります。また、電話料金に敏感な人にとっては、少しでも安い事業者に簡単に乗り換えられるようになることも魅力でしょう。ただし海外での例を見ると、携帯電話事業者が長期利用者割引を充実させることで、乗り換えると必ずしも得にならないようにすることも多いようです。


番号ポータビリティはどんなふうに利用できるようになるか

 日本での携帯電話番号ポータビリティに関しては、各事業者間での運用ルールや料金精算のルールなどの大まかな仕様が今後、詰められることになっているため、詳細な利用方法などはまだ未定です。

 総務省の研究会報告書案などによると、基本的イメージとしては、すべての携帯電話事業者が共通に提供すべきサービスとなる方向で、携帯電話の番号ポータビリティを利用して携帯電話事業者を変更した場合でも、「移転先」の携帯電話事業者の全サービスが利用できるようにすることが望ましいとされています。たとえば、NTTドコモの携帯電話を利用していた人がボーダフォンに契約を変更した場合、電話番号はNTTドコモのときに利用していた番号をそのままで、携帯電話のサービスはボーダフォンのサービスである「ボーダフォンライブ!」などが使える、ということになるようです。

 なお、メールアドレスに関しては、ポータビリティはなく、事業者を変更した場合、新しく契約した事業者のメールアドレスを利用することになります。先述の例で言えば、ドコモのメールアドレスである“docomo.ne.jp”からボーダフォンの“△.vodafone.ne.jp”になります。

 番号ポータビリティを実現するには、さまざまな決まりごとを各社間で決め、さらにシステムも作らねばなりません。たとえば、元の電話番号にかかってきた電話を、移転先になんらかの形で転送しなければならないわけですが、どのように回線を移転先に接続するのか「ルーティング」の方法を決めて、その仕様に合うように回線網を改修する必要があります。

 また、電話番号はどこにどのように登録しておくのか、という問題もあります。移転元の事業者が個別に管理するデータベースを作るのか、あるいは、事業者が共通に使えるデータベースを作りそこに登録するのか、といった問題です。

 現在のところ、仕組み的には、移転元のデータベースに移転者の番号を登録し、携帯電話から携帯電話への発呼には、携帯電話事業者間で移転情報をやりとりして、回線自体は直接発信元から移転先へつながるリダイレクト方式を利用して、固定網からの携帯電話への発呼には、移転元にかかってきた電話はそのまま移転元の回線を経由して、移転先の番号に接続するという「転送方式」のルーティングが、接続網の改修が最低限で済むため、第一候補として考えられているようです。


 事業者にとっては、このような番号ポータビリティの仕組みを実現するには、接続網の改修やデータベースなどの設備の新設が必要になるための費用が必要になります。これに関しては、報告案では「設備投資については、携帯電話事業者がそれぞれ自らの設備について費用の負担を行なった上で、適正な手段によりその回収が行なわれることが必要である」としていて「携帯電話の番号ポータビリティは、番号ポータビリティを利用する者以外にも広くすべての利用者の便益が確保されることから、直接便益を受ける利用者に主に負担を求める他、間接便益の受益者である携帯電話の番号ポータビリティの利用者以外に対しても間接的に負担を求めることは適当と考えられる」としています。

 現在のところ案としては、番号ポータビリティを利用する際の変更手続きなどを実費相当費用は、番号ポータビリティ利用者が負担し、携帯電話の番号ポータビリティのための設備投資、維持・運用の費用は、携帯電話の番号ポータビリティを利用者と、携帯電話事業者とが負担することが考えられているようです。

 スケジュール的には、今後6カ月間が実現方式の詳細仕様の確定、費用の回収方法や精算方法、運用ルールの策定などの仕様を検討する期間で、その後、2005年度末までにシステムが開発される予定になっています。

 続いて2006年度には、各事業者間の相互接続実験などが行なわれます。これには、選択中継事業者、国際中継事業者、IP 電話事業者なども含まれます。つまり、公専公接続を行なっている安い電話会社や、国際電話、IP電話からも携帯電話に電話をかけた際にも携帯電話の番号ポータビリティが有効になるわけです。そして、2006年第2四半期末を目標に商用サービスがスタートされる予定になっています。


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(大和 哲)
2004/04/08 12:25

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