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第225回:イリジウム とは
大和 哲 大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


地上なら世界中で使える衛星電話

 イリジウムは、地球の北極から南極にまたがる6つの軌道上に11機ずつ、計66機配置された人工衛星を利用し、都市だけでなく、山地や海上、局地なども含めて全地球を通話エリアにすることを目的にしたデジタル衛星携帯電話システムです。

 1990年6月に、米モトローラ社によって計画が発表されたこの衛星電話システムは、当初、77機の人工衛星を打ち上げて携帯電話の基地局とし、世界中どこでも使える衛星電話を普及させようというもので、77という数字にちなみ、77番目の元素と同じ名前「イリジウム」と名付けられました。

 その後、衛星の数は66機に変更されましたが、最初の衛星5機が1997年5月に打ち上げられて以来、1991年6月設立のイリジウム社を中心に、世界15カ国19社の協力によってイリジウム計画は進められ、1年間で15回に分けて衛星を打ち上げ、1998年11月1日よりサービスが開始されました。

 衛星1機あたり直径約4,400kmのエリアをカバーし、携帯電話と衛星、衛星と関門局、それに衛星同士も通信しあうことで、中継施設を作れないような場所でも携帯電話同士、あるいは地球局を経由して地上の加入電話や携帯電話とも通話ができるシステムになっています。


イリジウムは低軌道の衛星を使った携帯電話システムだ。都市だけでなく、山地会場、極点など含めて全地表をエリアとすることを目標に構築された

イリジウムのメリット

 イリジウムのメリットは、なんと言っても、「世界中どこでも通話できる」ことにあるでしょう。地上や空中など、野外であればほぼどこででも通話でき、1つの電話番号で世界中どこででも電話を受けることができます。

 通信インフラの整備が遅れている発展途上国の僻地での通信インフラとしても利用できます。また、山岳や海洋で遭難や思いがけない災害にまきこまれたときでも、イリジウム端末があれば、その場から緊急連絡が可能になるでしょう。

 ちなみに、携帯電話と衛星との通信は1.6GHz帯の電波を使って行なわれ、通信方式はデジタル携帯電話と同じTDMA(時分割多重接続)を利用しています。

 イリジウムは、インマルサットなどの衛星船舶電話に比べると、衛星が高度780kmという低い軌道上を飛んでいます。このため、低い出力でも携帯電話から衛星に電波が届くますので、携帯電話自体を小さくできるというメリットがあります。通常の携帯電話と比較すると、さすがに大きいのですが、手に持って通話できる程度の大きさの受話器が作れるなど、衛星電話としては非常に小さいサイズにすることができます。

 衛星が低軌道ということは、電波が比較的短距離で通話先に届くため、遅延が少ないというメリットもあります。


一度は休止、そして復活

 イリジウムシステムは、サービス会社本体である米イリジウム社が資金難に陥り、その余波を受け、2000年3月には日本におけるサービス事業者であった日本イリジウムが郵政省(現総務省)に電気通信事業の事業廃止許可申請を行ないました。

 その後、イリジウムの事業主体はイリジウムLLCに代わりました。以前は各国に関門局を置いて、端末の制御を行なっていましたが、関門局を米国に1局のみとしてコストダウンを図るといった変更が行なわれ、米国など各国でサービスが提供されてきましたが、日本では利用できない状況のまま現在に至っていました。

 2005年になり、日本国内において、KDDIネットワーク&ソリューションズがイリジウムシステムのサービスを提供する事業者として、名乗りを上げました。イリジウムシステムは、その仕組みが若干変更されているため、そのネットワーク構成に合わせた審査基準に改正され、サービスが5年ぶりに再開される見込みとなり、ふたたび注目を受けることになりました。順調にいけば、6月には日本でもイリジウムのサービスが利用できるようになる予定となっています。



URL
  イリジウムLLC(英文)
  http://www.iridium.com/
  KDDIネットワーク&ソリューションズ
  http://www.kddi-nsl.com/

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(大和 哲)
2005/05/17 11:57

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