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第4回:パケット通信とは
大和 哲 大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


 携帯電話やPHSではよく「パケット通信方式」「回線接続(回線交換)方式」という言葉を目にします。これらはそれぞれ、パソコン通信のデータ、あるいはメールやWebコンテンツなどデジタルデータを携帯電話などへどのように送受信しているか、その方法を表わしている言葉です。


利用者から見た、パケット通信と回線接続の違い

 一般に、「パケット通信方式」「回線接続(回線交換)方式」、この2つでは料金の課金の方法が全く違います。回線接続方式は通常の会話と同じく電話線に接続した時間によって課金されます。一方、パケット通信方式の場合は料金は通話した時間ではなく、「どれだけデータをやりとりしたか」で決まります。

 たとえば、NTTドコモのDopaやiモードなどのパケット通信では1パケット(=128バイト。全角文字で64文字分)が0.3円になっています。つなぎっぱなしにしていても、送受信したデータが同じなら、料金は違いません。あくまでもデータ量だけで料金が決まります。

 このため、パケット方式では、時間間隔を空けてデータをやりとりするような場合でも、つなぎっぱなしにしていて全然問題ありません。しかし、回線接続方式でこれと同じことを、あまりお金をかけずにやろうとすると通信のたびに回線を切断したり、接続したり、という手間が必要になります。下は例としてパケット方式を使ったサービスでの課金の方法とその料金を表示しています。

【パケット通信の課金例】
事業者名サービス名称データ単位
NTTドコモDopa(28.8kbps)128バイト0.2円(ミドルプラン)
iモード128バイト0.3円
DDI-セルラー/IDOPacketOne128バイト0.1円
EZアクセス128バイト0.27円


パケット方式と回線接続方式の違い

 両者の違いは、通信する際にデータを運ぶ方法の違いからきています。

 回線接続方式では、端末からデータの送受信をすると基地局まで1回線を完全に占有して通信を行ないます。つまり、普通に電話で人間が会話するのと同じで、ひとつの線があったら、そこが話中であったら使うことができないわけです。例えると、回線接続方式はデータという石油をパイプラインを使って流しているようなものです。油を流している間は他の油を流せません。



 それに対して、パケット方式では1つの回線を何台もの端末で分け合います。つまり常に回線を占有しているわけではなく、回線が開いていたら使いたい端末が使う、という方式になっているわけです。回線接続方式がパイプラインなら、パケット通信はペットボトルに水を詰めた石油をベルトコンベアで運んでいるようなものだといえるでしょう。

 ペットボトルに「誰が受け取るのか」さえ書いてあれば、何人がコンベアの先で待っていても、コンベアの上さえ開いていれば、いつでも荷物が送れるわけです。ただし、どんなに送るものが少なくとも、1つ荷物を送るとペットボトル1本分のスペースを消費します。同様に、携帯電話でも、メールでたとえパケット1個分を1文字オーバーした65文字分のデータを送ったとしても、料金は2パケット分徴収される、などのデメリットも存在します。

 Packetとは英語で「小包」の意味です。情報を適当なデータサイズの塊にしたことが、郵便や宅配便の小包を連想させることからこの名がついたのでしょう。ちなみに、このパケット通信という方法は携帯電話などだけでなく、さまざまなデータ通信、たとえばインターネット(TCP/IPという技術)でも使われています。パケット通信はデータを一定の単位で区切るので、データの誤りなどが見つけやすく、データ通信とはとても相性がいいのです。


通信速度はあくまで「最大値」

 逆に、パケット通信の欠点としては、回線が混み始めると通信速度が遅くなってくる、ということがあげられます。これは回線の太さが決まっている以上、一定時間に運ぶことのできるデータには限りがあるため、一度に多くの人が使おうとすると、データを送りきれなくなってしまうからです。

 意外なデメリットとしては、たとえば、NTTドコモには「Dopa」というパケット通信プランがありますが、このパケット通信はiモードと共用しているために、iモードユーザーが多くなるとDopaの通信速度が遅くなる、などの影響がでることがあります。回線接続方式では回線を送り手受け手が1人ずつで基本的に速度が遅くなることは基本的にはあり得ません(ただし、α-DATA64など、仕組みによっては速度が低下することがあるものもあります)。


パケット方式のデータ通信が使える携帯・PHSは

 現在、携帯電話で使えるパケット通信を利用したデータ通信にはNTTドコモの「Dopa」、DDIセルラー・IDOの「PacketOne(64)」があります。

 Dopaでは最大28.8kbpsの通信速度でデータを送受信できます。PacketOneでは最大14.4kbpsで、PacketOne64では携帯電話から回線への通信速度は14.4kbpsですが、回線から携帯電話への通信速度は64kbpsとなっています。

 また、今年中にはH"(エッジ)のDDIポケットが、128kbpsのパケット通信サービスを提供予定であると表明しています。

 データ通信以外でも、携帯電話でさまざまなWebコンテンツを使える、iモードやEZアクセス(パケット対応機種)などのサービスもこのパケット通信を利用してデータのやりとりをしています。


次回予告

 本連載では、毎週ひとつずつ、移動体通信に関する用語を解説していきます。次週お送りする第5回では「次世代携帯電話(IMT-2000)」の概要を解説します。




URL
  NTTドコモ「DoPaの原理(パケット通信とは)」
  http://www.nttdocomo.co.jp/products/dopa/mobile/packet.html
  IDO「パケット通信サービス」
  http://www1.ido.co.jp/digital/mobile/packetone/index.html


(大和 哲)
2000/07/11 00:00

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