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第9回:WAPとは
大和 哲 大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


そもそもWAPとは…

 WAPとは、携帯電話などの携帯体端末からインターネットや通信サービスへを利用するために作られた、世界共通の仕様です。

 このWAPの仕様はWAP Forumというフォーラムで決められています。規格はアメリカのフォンドットコム社が中心になって策定しているのですが、フォーラムにはアメリカのモトローラ、フィンランドのノキア、スウェーデンのエリクソンをはじめとした世界中の主な通信機・携帯電話機メーカーが参加しています(ちなみに、リスト中には日本のNTTドコモの名前もあります)。

 実際のサービスは、世界のいくつかの国ですでに始まっていて、日本でも、au(DDI-セルラー/IDO)によって「EZweb」という名前でサービスを行なっています。このWAPサービスに対応した端末を使うと、WAP用に作られたインターネット上のコンテンツを端末で受けることができます。


WAPのシステム

 WAPのコンテンツには、テキスト(文書)や白黒二値画像、そして最近では256色画像も使うことができるようになりました。

 システム的には、まずWebサーバーがあり、ここからコンテンツがインターネット上を流れて、携帯電話事業者のゲートウェイサーバーを経由して、ユーザーの携帯端末までデータが流れてきます。iモードでもNTTドコモのゲートウェイサーバーを経由しますし、インターネットの「プロクシサーバー」などもデータ経路上にサーバーが置かれますが、これらのサーバーは基本的に流れているデータをそのまま通すだけの役割であるのに対して、WAPのゲートウェイサーバーは、それらよりももう少し積極的にいろいろな仕事を行ないます。

 たとえば、WAPでは、インターネット上から流れてきたコンテンツのデータを、ゲートウェイサーバーが一度バイナリデータという形式に変換して端末に送信しています。バイナリデータは一般にテキストよりはデータが小さくなりやすいので、データ転送速度の遅い携帯電話には有利になるためです。

 また、サービスによってはゲートウェイが中心になってコンテンツやサービスを作り出すこともあります。

 ちなみに、WAPのEメールサービスは、このゲートウェイサーバーによって作られています。つまり、ユーザーがメールを読むときには、WAPゲートウェイからメールサーバー上にあるメールを読んで、WAPサービスとしてメールを表示する、という仕組みを作ることによって携帯電話でのメールサービスを行なっているわけです。そのおかげでEZ Webでは最大で2000文字のメールの受信ができますが、受信したメールを保存するのにサーバー側の制約でメール保存箱に最大14日間までしか保存できない、という制約がついています。みんなが使うサーバーですので、いつまでもメールをサーバーにおきっぱなしにしているとあっという間にサーバーの容量がいっぱいになってしまいますからね。


独特の作法をもつWAPサービス

 このWAPの特徴は、携帯電話機とインターネットを使ったサービスである、ということです。その意味ではNTTドコモの「iモード」サービスにも似ています。

 大雑把に言うと、iモードとWAPとの仕組み上の大きな違いは、iモードが従来のWWWに近い形をなるべく取っているのに対して、WAPが積極的にこれと違う仕組みを取り入れていることでしょう。

 たとえば、それは画面の操作性に現れています。

 iモードもWAPも、携帯電話内蔵のメモリが少ないため、1度に画面に表示できるページの長さには限度があります。iモードでは、1ページ1ページが単なるHTMLコンテンツなので、次のページに飛ぶにも普通にハイパーリンクで飛ばします。そのときの操作もPCなどと同じように、4方向キーなどでカーソルを移動して、クリックで移動します。WAPでは、同じような状況では新しく作られた「ソフトキー」というボタンがあり、これを押すと次のページにいくようにほぼ統一されています。



 また、コンテンツそのものの作りもWAPには独特の作法があります。

 iモードのコンテンツはコンパクトHTMLという、WWWのHTMLを縮小した言語を使って作られますが、WAPコンテンツはHTMLとは考え方の違う「WML/HDML」という言語を使って作られます。


WML/HDMLとは

 WAPコンテンツは、WML(Wireless Markup Language)という言語で書かれることになっています。これは、WAPの規格を決めるWAP Forumで決められた仕様なのですが、元々は、つまり、携帯端末用コンテンツの作成用として「Phone.com社」社が作った「HDML(Handheld Device Markup Language)」が元になっています。

 WAPに対応したゲートウェイサーバーは、HDMLとWML、両方の言語に対応していますが、WMLはWAPフォーラムで現在規格策定が進行中であり、現状、HDMLの方がWMLより多くの機能が盛り込まれているため、現状では、ほぼすべてのコンテンツが「HDML」準拠で書かれています。ですので「EZ WebのコンテンツはHDMLで書かれている」と言ってもほぼ間違いではありません。

 さて、このHDMLはHTMLから派生した言語なのですが、モバイル端末でのWebブラウジングがスムーズに行なえるように、「カード・デッキ構造」という従来のHTMLとは大きく違う構造に作り変えられました。

 HTMLでは基本的に1つのページが1つのHTMLファイルとなっていますが、HDMLでは複数のページがひとつのファイルになっています。HDMLでは、このページを「カード」と呼んでいるのですが、HDMLではこのカードのうち関連したカードをまとめて「デッキ」と呼んでいます。HDMLファイルは、この何枚ものカードが束ねられたデッキが1単位になっています。

 携帯電話では一般に、固定電話に比べて通信スピードも遅く、また、移動中は必ず接続が維持できるとは限りません。ですので、できればデータが取れるときにまとめてとったほうがいいことになります。そこで「キャッシュ」と言って、必要になりそうなデータをまとめて読んでおくわけです。あるカードが読まれるときに、そのカードのデッキは読まれているカードに関係のあるカードを束ねているわけですから、ここのデッキの中のカードのデータが次に使われる可能性が高いですね。そこで、このデッキ単位でまとめ読むことで、いちいちページが切り替わるたびにページのデータを読み込まずに、スムーズにコンテンツを表示できるます。そのような理由もあって、HDMLはこのような構造になっているのです。

 また、HDMLは携帯端末という、パソコンと比較すると表示能力の小さいデバイスを使っていますので、画面を飾るタグの種類も少なく、また、画面を作るデータ量も小さくなるように工夫されています。



WAPコンテンツを作るには

 HDMLはHTMLとは仕様が異なるため、従来のHTMLエディタでWAPコンテンツを作ることはできません。

 HDMLの中身自体はHTMLと同じくテキスト(普通に文章が書かれた)ファイルなので、テキストエディタが書くか、あるいは専用のアプリケーションを使う必要があります。一般向けには、EZWebホームページで「マイデッキエディター」という、PC上で文字を入力していくだけで簡単なHDMLファイルを作れるプログラムが配布されています。一般の方がEZWebコンテンツを作るには、これをダウンロードして使うといいでしょう。







URL
  HDML簡単作成ツール 「マイデッキエディター」
  http://www.ezweb.ne.jp/editor/editor.html
  WAP Forum(英文)
  http://www.wapforum.org/
  WAP Forum(英文)
  http://www.wapforum.org/


(大和 哲)
2000/08/22 00:00

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