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第295回:セマンティック・ズーム とは
大和 哲 大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


2005年の「CEATEC JAPAN」では、携帯電話上でセマンティック・ズームのデモが披露された

2005年の「CEATEC JAPAN」では、携帯電話上でセマンティック・ズームのデモが披露された
 「セマンティック・ズーム」は、NECが開発した、快適なWebブラウジングを可能にする技術です。特に、携帯電話などの小さな画面や、家庭用テレビなど低解像度の画面での表示に効果を発揮します。

 パソコン用のWebページ、特にポータルなどでは、ある程度のサイズで高い解像度を前提に多くの情報を1ページに収めたレイアウトとする傾向があります。しかし、携帯電話のフルブラウザで考えるとわかりやすいですが、小さな画面ではWebページの内容を1画面内に表示しようとすると、1つ1つの文や写真は小さすぎて読むのが非常につらく、実用性としてはいまいちです。

 そこで、多くのフルブラウザには、ズーム機能やフォントサイズの拡大機能がついています。これにより小さな画面では読みにくい文や画像を詳しく見ることができます。

 セマンティック(semantic)とは、英語で「意味論的な」を意味する単語です。セマンティック・ズームでは、ズームによる画面の拡大を行ないますが、従来の画面の一部が単純に大きくするのではなく、意味合いを考えて一部を拡大します。これは、「レイアウトベースの制御表示」と呼ばれているのですが、たとえば、Webページ内のテキストを分析して、見出しなどの重要度に応じて部分部分の拡大率を制御して表示する、というようなことが可能です。

 このセマンティック・ズームを利用すると、画面の中の意味ある部分だけを比較的手早く閲覧することができるので、利用者がページ全体の概要をすばやく把握できることがメリットです。

 セマンティック・ズームのもう1つの利点は、パソコンのようなポインティングデバイスを利用せず、方向キーのみでも操作が楽にできることです。

 セマンティック・ズームでは、ブラウザがWebページのデータ、たとえば、どこが見出しか、本文はどれか、あるいは強調部分はどの部分か、といった点を理解しています。そのため、カーソルキーを押していくと次々に見出しのみを拡大表示していくというような表示が可能になります。

 移動した幅(移動量)を検知できないカーソルキーでは、従来のフルブラウザでズーム機能を使う場合、拡大表示する部分まで移動するためにカーソルキーをずっと押してスクロールさせなければならないため、時間がかかって操作性に難がありました。しかし、セマンティック・ズームを利用することで、ずっと快適に表示対象を移動させることができるようになります。


中継サーバーにページの意味を解釈させる

 セマンティック・ズームは、実際の製品にはまだ採用されていませんが、展示会などでデモンストレーションが何度か行なわれています。

 仕組みとしては、携帯電話がWebサイトへアクセスする際に、中継サーバーを経由するようになっています。

 この中継サーバーの役割は、

  1. Webページデータを読み、

  2. データから画面イメージを生成

  3. 表示要素の重要度の判別を行ない、レイアウト情報を生成し表示する

  4. 方向キーなどの入力によって、拡大表示部分などを変える


というもので、この結果を携帯電話にHTMLとXMLデータで送り表示させています。

 Webページのデータは、コンテンツとレイアウト情報に分離して、携帯電話に送られ、携帯電話では、内蔵のセマンティック・ズームUIプログラムによってページ内容を表示することになります。その際には内容によって拡大部分を変えたりすることが可能な仕組みになっています。

 セマンティック・ズームでは、内部にアノテーションデータベースと呼ばれる、コンテンツの構造を解釈するための注釈データなどが登録されたデータベースがあります。また、トランスコーディングと呼ばれる、ページデータの変換作業を行なうことになるのですが、この作業は携帯電話に内蔵されているマイクロコンピュータでは荷が重いために、現時点ではこのような仕組みが必要となるようです。

 こういった点からもわかるとおり、セマンティック・ズームを実現するには、クライアントである携帯電話、中継サーバーと比較的大がかりな仕組みが必要となるため、2003年に技術が発表されて以来、今にいたるまで本当に実用化されるのかも未定です。

 ただ、実際に触ってみると、その操作しやすさは印象的で、実用性の高い技術と言えるでしょう。


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(大和 哲)
2006/10/24 12:32

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