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第353回:ISDB-Tmm とは
大和 哲 大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


日本でのマルチメディアメディア放送採用最有力規格

 「ISDB-Tmm」は、モバイルマルチメディア放送方式の1つで、携帯機器向けマルチメディア放送向けの規格です。

 現在、日本の携帯電話で受信できるマルチメディア放送として、最も普及しているのは地上デジタル放送の「ワンセグ」ですが、規格としては、ISDB-T方式の一部に基づいて放送されています。

 「ISDB-Tmm」は、ISDB-Tを発展させた規格で、この規格を利用した放送では、ワンセグと同様のリアルタイム映像を視聴できるほか、ビデオや音楽や電子書籍などのコンテンツを自動的に端末に配信し、携帯電話に蓄積しておいて、いつでも見られるような蓄積型コンテンツ視聴が利用できるようになります。

 NTTドコモやフジテレビジョン、スカイパーフェクト・コミュニケーションズ、ニッポン放送などが業務執行社員を務める企画会社「マルチメディア放送企画」は、ISDB-Tmmをはじめとする、ISDB-T関連規格(ISDB-Tファミリー)を推進する団体「ISDB-Tマルチメディアフォーラム」に参画しています。

 2011年に地上アナログテレビ放送が停波することで、「その周波数帯(VHF帯/UHF帯)をどう使うか」といった将来的な方針は、総務省主催の「携帯端末向けマルチメディア放送サービス等の在り方に関する懇談会」などで話し合われている最中ですが、同じマルチメディア放送としては「MediaFLOなども使えるようにして欲しい」と開発企業などが訴えている一方、10月29日に総務省で開催された「携帯端末向けマルチメディア放送サービス等の在り方に関する懇談会」において、マルチメディア放送企画は、「放送は1つの規格だからこそ安定して提供されてきた」「2つの規格が存在すると、ユーザーの混乱を招き、普及を阻害する」などとして、1種類の規格のみ採用することを求めています。


ISDB-Tのマルチメディア拡張規格

 「ISDB-Tmm」は、ISDB-Tファミリーの一部であり、ISDB-Tがワンセグで用いられていることを踏まえると、将来日本国内で利用されるであろう携帯機器向けマルチメディア放送向けの規格としては、最も有力な候補の規格と見る向きもあります。

 ISDB-Tファミリーの技術には、デジタルラジオの規格としてISDB-Tsbという規格がありますが、「ISDB-Tmm」は、ワンセグにISDB-Tsbをミックスしたような規格となっています。

 技術的には、リアルタイム放送のほかに、DSM-CC データカルーセルというデータ転送方式が利用されており、ファイル型コンテンツを配信できるようになります。カルーセルとは、回転木馬を意味する英単語から来ており、送信するファイルを細切れにして、同じデータを周回で何度も送信する方式です。

 端末側は、データを受信し、ファイル1つ分を全て受信すると、ユーザーが視聴できるように端末内にファイルを復元します。

 ISDB-Tmmでは、より少ない電力で待機し、緊急時に受信機を自動起動する仕組みや、コンテンツ課金の仕組みも導入されているので、緊急災害放送や、ペイパービュー放送なども可能になります。

 他のISDB-Tと共通の規格も取り入れています。たとえば、映像と同期したデータ放送が可能ですが、このデータ放送のデータのマークアップ言語としてはBMLが使われます。これは、現在、地上デジタル放送で使われているISDB-TのCプロファイルと同様であり、この仕組みで作られたコンテンツを再生するブラウザは、ワンセグなどで利用されているものをベースにできるという強みがあります。

 ハードウェアを見ると、ISDB-Tmmの基本的な仕組みはワンセグと同じですから、放送局側は、他の方式と比べて新たな装置をほとんど必要としないという利点があります。

 しかし、ISDB-T方式は、日本以外の国で採用された例があまり多くありません。日本だけがISDB-Tファミリーを利用し、他の国では他の方式が採用されてしまうと、日本だけ独自に発展する「技術のガラパゴス化」に陥る懸念や、携帯電話の第2世代方式におけるGSMとPDCの関係を再現するのではないか、と指摘する声もあります。



URL
  ISDB-T マルチメディアフォーラム
  http://www.isdb-t.jp/
  マルチメディア放送企画の要望書(PDF形式)
  http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/chousa/mobile_media/pdf/071009_2_sa-2-42.pdf
  マルチメディア放送企画 懇談会資料(PDF形式)
  http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/chousa/mobile_media/pdf/071029_2_si2.pdf
  携帯端末向けマルチメディア放送サービス等の在り方に関する懇談会
  http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/chousa/mobile_media/

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(大和 哲)
2007/12/25 12:39

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