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第392回:超解像 とは
大和 哲 大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


低解像不鮮明画像を高解像鮮明化する技術

 「超解像」とは、低解像度の画像を1枚、あるいは他の複数の画像を元に推定した値を使って、高精細やクリアにする技術のことです。映像拡大精細化技術などとも言います。

 たとえば、動画データでは、あるフレームに注目してみると、時間的に前後するフレーム内で1つの物が上下左右どこかに移動していることなどを根拠として、「似たような画像であるだろう」と予測できます。そこで、対象とするフレームの画像と前後する似たようなデータの画像から、高精細に撮影された場合はどのような画像だったか推測し、高精細化した画像データを作り出します。この作業を全フレームに対して繰り返すと、動画データ全体を高精細化することも可能です。

 こういったアルゴリズムは、現在もさまざまなものが各メーカーや研究所によって研究、開発されています。

 たとえば、「よく似た」あるいは「同じ対象物である」ことを推測するために、画像処理で輪郭線を抽出して、被写体と背景を分離し、対象物を細かく分けて本来の画像を推測する、というような処理も研究・開発されています。

 1枚の画像だけから超解像を行う「一枚超解像」という技術も開発されています。これは、映像をアップスケールする際に、その対象となる1枚の画像から補完データを推測し、高精細化する技術で、「1つの点がおそらく周辺の色がまざってしまった」と推測し、あるアルゴリズムで色を分離して配置する混色分離技術を利用しているそうです。

 各社によってアルゴリズムや手法が異なるのですが、この辺りの差は、いずれ各メーカー製品の性能の差異や、コストの差異となって現われるようになるのでしょう。


家電、ケータイに応用が期待される技術

 超解像という技術を利用すると、手ぶれや被写体ぶれなどで不鮮明な画像や、アナログで記録され、ノイズがのってしまった古い動画を鮮明にすることもできます。また、もともと低解像で記録されたデジタル動画を、高精細のカメラで撮影したかのように鮮明に作り直すことも可能です。

 この技術の応用はさまざまな用途に使われますが、最近の流行としては、DVDの動画再生用として、ハイビジョン品質で再生する液晶テレビやBlu-rayレコーダーの新製品にこのような技術が採用される動きがあります。

 また、セキュリティー分野では、犯罪が起きたあとで、防犯カメラの映像を鮮明にするの場合に使われたりします。防犯カメラでは24時間録画を行いますが、データ量低減のためカメラ解像度が低いことがありますし、アナログのビデオテープで記録していると、テープが劣化して画像が不鮮明ということがあります。普段、何も起きていないときは良いのかもしれませんが、いざ犯罪の証拠が映っているというときは高解像度で鮮明に写っていれば、いろいろな情報を画像から引き出せます。そこで、超解像技術によって画像を鮮明にするのです。

 携帯電話関連では、解像度の低い携帯電話のカメラで撮影した映像を高画質化したり、ワンセグを高解像度にして再生する、といった使い方が応用分野として挙げられています。


CEATEC JAPANで展示された、ワンセグ拡大表示技術。これは現在のワンセグ表示と同じもの 高画質拡大技術を使用した全画面表示
CEATEC JAPANで展示された、ワンセグ拡大表示技術。これは現在のワンセグ表示と同じもの 高画質拡大技術を使用した全画面表示

 ワンセグは、携帯電話やカーナビなど移動体端末向けのデジタルテレビ放送で、解像度は最大320×240ピクセルです。ワンセグがスタートした当初、携帯電話のディスプレイはQVGA(240×320)程度が主流でしたが、最近の携帯電話はVGA(480×640)程度のディスプレイを搭載するものが登場しています。

 低解像度の動画像を高解像の表示機器に利用する方法として、アップスケール/アップコンバートといった処理が行われます。アップスケールとは、低解像の画像を高解像用に変換する作業なのですが、データ量の少ない低解像画像をデータ量の多い高解像画像に変換するわけですから、もともと存在しなかったデータを作り出すための補完アルゴリズムが必要となります。

 そこで単純に、たとえば、1つの「0」というデータを4倍にするのに「0000」と同じデータを4回繰り返せば4倍解像度の高いディスプレイに画像を表示することが可能です。現在のワンセグ対応ケータイで高解像の液晶ディスプレイを使っていても、このような処理をしたり、周辺ピクセルの中間色を表示する、いわゆる双線形補間程度のアップスケール処理を行っています。

 しかし、これらの方法ですと、単純に低解像の画像を高解像度にあわせているだけで、ひとつひとつの画像上の点が非常に荒く見えてしまったりジャギーが目立ったりするといったデメリットが発生します。

 一方、「超解像」技術を利用すれば、このようなアップスケールの際に、より自然な高解像映像を携帯電話のディスプレイに表示できるようになります。

 9月30日~10月4日に幕張メッセで開催されていた展示会「CEATEC JAPAN 2008」では、ドコモブースで、NTTドコモとモルフォとの共同開発による「映像拡大技術」のデモンストレーションが行われていました。このデモでは、通常のワンセグ画像と、超解像で拡大/精緻化/高精細化された動画を並べ、ワンセグケータイにありがちなジャギーの目立つ画像ではなく、液晶ディスプレイに合った綺麗な動画を鑑賞できることをアピールしていました。

 いずれ、このような超解像技術は多くの携帯電話やカーナビなどに搭載され、ワンセグでも高精細な画質で鑑賞できるようになっていくと期待されています。


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(大和 哲)
2008/10/14 12:26

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